【じつは年末帰省で事故が多発】車移動、誤飲、転落…子どもの命を守るために親が知っておきたい気をつけるべき7つの注意点

【じつは年末帰省で事故が多発】車移動、誤飲、転落…子どもの命を守るために親が知っておきたい気をつけるべき7つの注意点
年末年始になると実家に帰省する、または親戚で集まるなどの行事ごとが多くなりますよね。実はいつもと違う環境は、子どもにとって事故の危険性をはらむシーンがいくつもあります。3~6歳の子どもを持つ親が知っておきたい、帰省中に気をつけるべき事故について、NPO法人Safe Kids Japan理事の大野美喜子さんにお話をうかがいました。
目次

今年の年末は、昨年の緊急事態宣言の影響もあり2年ぶりの帰省となる家庭が多いのではないでしょうか。
懐かしい雰囲気や人との交流にほっと気持ちも緩みそうなところですが、じつは、帰省中や年末年始の行事だからこそ気をつけなければいけない子どものケガや事故があります。

では具体的にはどんなことに注意しておけばいいのでしょうか?
子どもの事故防止に取り組んでいるNPO法人 Safe Kids Japanの理事で、ご自身も7歳・2歳のお子さんがいる大野美喜子さんに特に気をつけるべきポイントを全部で7つ教えてもらいました。

車移動で気をつけておきたい2つのポイント

実家に帰るときはマイカーを利用することが多いのではないでしょうか。
そうでなくても飛行機や新幹線などで祖父母に迎えにきてもらうというパターンも多いでしょう。

まずは車にまつわる2つの注意すべきポイントについて解説します。

1.チャイルドシートの有無を確認する

ー事故やけがを防ぐために、年末年始という観点から気をつけたいことはどんなことでしょうか?

移動が多い年末年始は、交通事故に巻き込まれる可能性が多くなります。
そのため、帰省先のチャイルドシートの有無を確認することはとても大事です。

ふだん使っている車にはチャイルドシートはマストアイテムになっていると思いますが、、年末年始は飛行機や新幹線で移動して、最寄り駅まで祖父母や親戚の車で迎えにきてもらうということもあるかと思います。
でも、ふだんから子どもを乗せることがない帰省先の車には、チャイルドシートがない場合も多いですよね。 そもそもチャイルドシートが必要だということに祖父母や親戚が気付いていないという場合も決して珍しくはありません。

せっかく相手の厚意で迎えにきてもらってたのに、「チャイルドシートがないから乗らないよ」とはなかなか言いにくいものです。
事前にチャイルドシートが必要であることを伝えて用意してもらった上で迎えにきてもらいましょう。

チャイルドシートは借りられる!

いつも実家にチャイルドシートを置いてもらうのもちょっと…という方にはレンタルするのがおすすめ。
チャイルドシートは役所や交通安全協会で無料でレンタルができるケースがじつは多いもの。ベビー用品は1日から気軽にレンタルできるサイトも多いので、ぜひ帰省前に必要なアイテムを確認してくださいね。

2.車の発進時は運転手も周囲の大人も気をつけて

ーお正月やお盆など、帰省のタイミングで家族や身近な人の車に巻き込まれたという事故もよく聞きますよね。

それは本当によくあるパターンです。
コロナでの自粛中にも、コロナ疎開をしていた祖父母宅で、農業用車にひかれて亡くなったという事故もありましたよね…。

おうちだったらお父さんお母さんだけですが、里帰りした時にはおじいちゃんおばあちゃんや親戚がいて、たくさんの見守る目があるから親としても「誰かがみてるだろう」と気が緩むという側面があるのだと思います。

今は人を感知して停まる車もありますが、すべての車に付いているわけではなく、どんな事例にも有効な対策というのはありません。

子どもは車の後ろに隠れたりすることもあるということも知った上で、車を発車するときには必ず近くに親がいて子どもを見ておく、車の人は周りをきちんと確認してから発車することを心がけてください。

家の中では5つの事故に注意!

帰省して家の中に入れば親としてもほっと一息つきたくなるところ。でも、ふだんから小さな子どもがいない前提の家の中には思いもよらぬ危険がいっぱい。
特に気をつけておきたい5つのポイントについて解説します。

1.なんでも食べちゃう!「誤飲」は気づかないうちに起きるから怖い

ー他に、家の中の事故にはどういったものがあるのでしょうか?

家の中での事故は、誤飲、転落、やけどが多いですが、特に年末年始は、ふだん家にはないものが原因になるリスクが高くなります。

たとえば、親戚が吸っていたタバコの吸い殻、ゴキブリ用のホウ酸団子、何気なく置かれたボタン電池の誤飲です。
親がタバコを吸わない家庭では、子どもにとってタバコは新鮮。火傷や、誤って口にする可能性があります。
ホウ酸団子なども実際に誤飲するケースがあるようです。

さらに、ボタン電池は特に危険。
親が飲み込んだ瞬間をみていなければ、子どもが咳き込んだり気持ち悪そうにしていてもまさか電池を飲み込んだなんて気づくことすらできないでしょう。

病院で検査して飲んだことに気づかず、何か様子がおかしい?と思っている間に重症化しやすいのでとても怖いため要注意です。

誤飲を予防するためにも、以下のことは徹底しておきましょう

  • 子どもから「見えない」ところに保管する
  • 子どもが椅子などを使っても「届かない」ところに保管する
  • 子どもが「開けられない」容器に入れる

2.ベビーゲートがない!「階段」からの転落

転落で多い場所は階段です。
ふだん暮らしているおうちはマンションでも帰省先に階段があれば、子どもは興味を持って上がりたがります。

多くの子どもを持つご家庭にはベビーゲートがありますが、ふだん子どもがいない祖父母の家では設置されていない場合はほとんど。
転落を防止するためにベビーゲートをつけるのが良いですが、それもなかなか現実的ではないですよね…。
そのため、そもそも階段に繋がるドアを開けないようにするなどの対策が必要です。

3.炊飯器やポット、石油ストーブの「火傷」に注意!

冬はやけどにも気をつけたい時期です。
たとえば祖父母の家だと、石油ストーブの上にやかんがあったり、炊飯器やポットが子どもの手の届く場所にあったりして、蒸気でやけどをすることもあります。

ふだん大人しかいないおうちでは、子どもが触らないように、入らないようにといった対策が取られていなくて当たり前。 
倒れた時にお湯漏れの恐れがあるロック機能のないケトルやポットを使っているなら、ロック機能があるものに買い替えてもらう、手の届かないところに置くなどの対策を考えましょう。

4.お風呂での溺水は親がそばにいても起こる!

ーお風呂での溺水というのもよく聞きますが、親が一緒にいれば大丈夫ですか?

お風呂での事故は保護者が一緒にいても起こります。
たとえば、親戚の集まりで大人がついお酒を飲み過ぎてしまい、油断して5分ほど寝てしまった間に子供が溺れてしまうということも……。

前回、夏のプールの事故でもお伝えしましたが、子どもは溺れたら苦しんでバタバタするというのは間違った認識で、一瞬のすきに静かに溺れます。
居眠りをしないのはもちろんですが、とにかく親の手が届く範囲で見守るようにしましょう。

年末年始は特にそういったリスクが高くなると思うので気をつけて欲しいですね。

5.お餅は「食べさせない」!が肝心

ーお餅を喉につまらせてしまうことは、子どもにもありますか?

お餅とか白玉団子みたいな粘着性の高いものはのどに詰まりやすいといえます。
以前のインタビューでは、「ブドウやミニトマトは小さく切って」とお伝えしましたが、お餅や白玉など粘着性の高いものは小さく切ったからといって、詰まらないということはありません。

4歳くらいまでの小さなお子さんに食べさせるのはやめた方がいいでしょう。

まずは迎える側にリスクを知ってもらう

みなさん基本的には気をつけていることなので、「気をつける」と気持ちだけで防ぐのは正直難しい問題といえるでしょう。
目を離さないようにしましょうというだけではパパもママも大変ですよね。

なので、私たちのチームで発信しているメッセージは、「目を離しても良い環境を作りましょう」ということ。
そのためにはまずは、事故のリスクは常にあるということを迎え入れる側にも知ってもらうことが大切です。

帰省先の祖父母も、帰ってきてくれるのが嬉しくて、まさかここで命を落とすような事故が起こるかもなんて思っていませんよね。
でも実際にそういった事故は毎年起こっているのです。

まずは保護者が家の中や周辺を確認し、これはこんな危険があって危ないからここに移動するよ、こんな危険があるからこれをつけておいてね、といった風にコミュニケーションをとることが大切です。

チャイルドシートなどのレンタルはママ・パパがして、用意したからつけておいてねといえば設置のハードルも下がります。
義両親には言いにくいと思うので、それぞれがお互いの親に伝えておくといいですね。

昔は家庭内で見守る家族の数も多かったこともあり、祖父母世代と私たちでは、子どもの事故に対する意識も違います。

リスクを伝えても「そのくらい大丈夫」と返されることもあるかと思いますが、そんな時には「〇〇でケガする事故がすごく頻繁に起きてるから」って、ちょっと大げさに言ってみてもいいでしょう。

意識の違いは私たちが受け止めつつ、孫に会えるのを楽しみにしているおじいちゃんおばあちゃんの気分を害さない程度に一緒にやっていけたらいいなと思います。

***

久しぶりの帰省となるご家庭が多い中で、以前よりも成長した子どもがどんなことに興味を持って、どんな危険があるのかというのは、おじいちゃんおばあちゃんにはわからないですよね。

だからこそママ・パパが率先してチームを結成して、コミュニケーションをうまく取りながら、安全な環境を整えていくようにしていきましょう。

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お話を伺った方

NPO法人 Safe Kids Japan 理事 大野 美喜子

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センターに所属し、AIを用いた傷害予防教育プログラムの研究などに携わっています。2歳・7歳の2人のお子さんのママ。

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執筆者

ライター Ichika

山梨県生まれ。関西、九州での生活を経て11年ぶりに地元に戻りライター業をスタート。身内や友人に教育関係者が多く、たくさんのヒントを得ながら自分なりの育児を模索中。子育て経験をもとにした体験談やコラムも発信しています。

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