子育て中の移動手段として車を使っているママパパは多いと思いますが、実際に正しく使えている自信はありますか?
JAFの調査結果によると、なんと半数以上の人が正しく使えていないのだそう。
今回は子どもの事故防止に取り組んでいるNPO法人 Safe Kids Japanの理事長・山中龍宏さんにチャイルドシートの事故防止について話をうかがいました。
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国内では6歳未満の子どもにはチャイルドシートを設置することが義務付けられていますが、実際の設置率をご存じですか?
チャイルドシート使用状況調査(2019年調査結果)を基に作成
JAFが調査した結果によると、2019年時点でのチャイルドシート使用率は約70%。内訳を見ると年齢によって差があり、1歳未満が88%であるのに対して5歳児は半分を切る48%!
生まれてすぐの頃はほとんどの方がチャイルドシートを使っていますが、成長するにつれて親が「もう大丈夫だろう」と判断したり、子どもがチャイルドシートを嫌がったりするために減っているのかもしれません。
しかし、チャイルドシートを使っているから問題ない…というわけではないようです。
チャイルドシート使用状況調査(2019年調査結果)を基に作成
なんと、チャイルドシートを使っている人のうち、誤った使い方をしている人が57.7%!半数近くは正しく付けられておらず、正しく着座できているのはわずか42.3%という結果に。
チャイルドシートを正しく使えている人はむしろ少数派なのです。
ーチャイルドシートを正しく使えているのが半数以下というのは驚きましたが、何か理由はあるのでしょうか?
理由の一つに、車とチャイルドシートの相性があるかもしれません。 形状がうまくはまらなかったり、とても力がいったり、チャイルドシートは後付けなので取り付けが難しいんですね。
理想的な取り付けはチャイルドシートの背もたれをグッと手前に引いても車のシートとの隙間が10cm以内になるようにすること。それ以上空いていれば固定が甘いといえそうです。
設置の時点で難易度が高いチャイルドシートですが、実は最近の車にはISOFIX(アイソフィックス)というものがついており、車の固定金具とチャイルドシートを簡単に固定することができます。
amazonで購入(アイソフィックスの取り付けが可能なチャイルドシート)
アイソフィックスなら接続できている時点で設置は問題ないので安心ですね。
チャイルドシートをうまく設置していても、肝心の子どもがうまく着座できていなければ意味がありません。
チャイルドシートをうまく着座できていない理由の内訳は以下のとおり。
チャイルドシート使用状況調査(2019年調査結果)を基に作成
ーチャイルドシートの設置はできても、着座ができているのは半数以下とのこと。うまくできてない理由のほとんどが「締め付け不適正」とのことなのですが、何かいい方法はないのでしょうか?
まず、日本では欧米に比べてチャイルドシートがうまく装着できているかを調べたり指導する仕組みがほとんどありません。正しい付け方を知らないまま使用しているのが現状です。
私もよくチャイルドシートの着用について話すことがあるんですが、よく保護者の方から寄せられるのが「子どもがベルトをすり抜けてしまう」という相談です。
これは子どもが動くのが問題なのではなく、すり抜けられてしまう隙間があることが問題。
チャイルドシートの肩ベルトが子どもの肩より上から下ろすような位置にきてないでしょうか?これでは肩と肩ベルトの間に△の隙間が生まれてしまい、締め付けが不十分となってしまいます。
正しくは肩と同じか、少し下から子どもの肩を包み込むようにベルトで固定する方法です。
こうすれば子どもがすり抜けてしまう問題もなくなるはずですよ。
この他にも、特に今の時季に気をつけて欲しいのが厚着のままチャイルドシートに乗せる行為です。
こちらはアメリカNBC局で以前放送されたダミー人形に防寒着を着せた状態でチャイルドシートに乗せて車を衝突させる実験。
※NBC NEWS 2019年11月16日放送
前半はインタビューを受けた男性がいつもどおり子どもをダウンジャケットを”着せたまま”チャイルドシートにセットしていますが、その後ダウンジャケットを脱いだ状態で再度着座するとベルトが緩くなっています。
これは、抱っこ紐でも同じことがいえますよね。パパが抱っこ紐を使った後、ママが使用すると体格差でベルトが緩くなりますが、調整せずに使用すると子どもが落下する危険性があります。
チャイルドシートでも毎回ベルトを調整するのは面倒…そう思って緩いまま使用していると、いざという時に子どもをしっかり固定してくれなくなる可能性が出てしまいます。
では、では厚着をした時も脱いでいる時もしっかりベルトを調整すればいいのかというとそうでもないようです。
動画によると、ダミー人形にコートを着せた状態で車を衝突させたところ、子どもは前に投げ出され、コートは脱げてしまう結果となりました。
チャイルドシートを厚着のまま装着しても衝突時に固定されない、また、厚着のままチャイルドシートをした後、脱いだ状態で調整せずに装着すれば締め付けが緩くなり衝突時に固定されなくなるのです。
▲このような状態で車に乗ること、よくありますよね…
実際にアメリカでは厚着の状態のままチャイルドシートに乗せていて事故が起きた時にきちんと固定されていなかったと言う事例が出ているそうです。
海外で起きて日本で起きない理由はないので、寒い時はチャイルドシートの上からブランケットをかけるなどして対応するようにしましょう。
***
今回ご紹介したチャイルドシートの設置・着座の方法について、全て問題なくできていましたか?
「うちはチャイルドシートがあるしベルトをしているから問題ない」
そう思い込んでいるママパパにこそぜひチェックして欲しいポイントばかりでした。
せっかく用意しているチャイルドシート、たった一度の事故で後悔しないようにぜひ見直してみてくださいね。
NPO法人 Safe Kids Japan 理事長 山中龍宏
東京大学医学部を卒業後、同大学医学部小児科講師、焼津市立総合病院小児科科長などを歴任し、現在は緑園こどもクリニックの院長。「保育・教育施設における事故予防の実践」(日本法規出版)、「子どもの誤飲・事故を防ぐ本」(三省堂)など著書多数。
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