子どもが安心して甘えられる家であることが、いちばんの教育の土台になる話

子どもが安心して甘えられる家であることが、いちばんの教育の土台になる話
子どもが「甘える」のは、心の成長に欠かせない大切なプロセス。 保育士として多くのおやこを見てきた視点から、家庭で育まれる“安心感”の力をお伝えします。
目次

1.「甘えさせる」と「甘やかす」は違うもの

「そんなに甘えさせていたら、わがままな子になるんじゃない?」 子育てをしていると、そんな声が気になることもあるかもしれません。

でも、保育の現場で多くの子どもたちと関わってきた私が実感しているのは「しっかり甘えられた子ほど、じつは自立が早い」ということです。

「甘える」とは、安心できる大人に心を寄せることであり、子どもにとっては情緒を育む大切な行為です。 一方で「甘やかす」とは、子どものわがままを何でも聞いてしまう状態です。

この二つは、似ているようでまったく違います。 しっかり甘えられた子は「受け止めてもらえる場所がある」と感じて、自信を持って外の世界に踏み出していけます。

安心感のベースができているからこそ、少しずつ自分で頑張ってみようと思えるのです。

2.甘えられる家は「安心できる避難所」

保育園では、ときどき「おうちでこんなに甘えるんですけど大丈夫ですか?」と不安そうに相談を受けることがあります。 でも、それはむしろ「ちゃんと子どもが安心できる居場所を感じている証拠ですよ」とお伝えしています。

子どもは、外ではがんばっていたり、我慢していたりすることもあります。 だからこそ、おうちでは安心して気をゆるめられることが必要なのです。

甘えられる家というのは、子どもにとっての“避難所”です。 嫌なことがあったとき、疲れたとき、どんな自分でも受け止めてくれる場所がある。

それだけで、子どもの心はずいぶん軽くなります。 そして「安心できる場所がある」という感覚は、子どもが社会の中で人と関わるときの“土台”になります。

思いやり、自己肯定感、挑戦する勇気…すべての育ちの根っこには「安心」があるのです。

3.「だめな自分も受け入れてもらえた」経験が、自己肯定感を育てる

子どもが失敗したとき、泣きわめいたとき、イヤイヤが続いたとき。 つい「なんでそんなことするの?」「いい加減にして」と言いたくなってしまうこともありますよね。

でも、子どもにとっては「そんなときにもママがそばにいてくれた」「怒られずに、抱きしめてもらえた」という経験が、そのまま「自分は愛されている」という感覚につながります。

自己肯定感とは「自分は存在しているだけで価値がある」と思える感覚です。 これは、できる・できないではなく、どんな状態のときにも“あなたは大丈夫だよ”と伝え続けてもらうことで育っていくものです。

ですから、何かうまくいかないときにこそ、優しく寄り添ってあげてほしいのです。 「それはイヤだったんだね」「つらかったんだね」と共感するだけでも、子どもの心はとても安心します。

4.甘えられる関係は「信頼の貯金」になる

子どもとの関係性は、日々のやりとりの積み重ねでできていきます。 今すぐ目に見える成果はないかもしれませんが「甘えられる関係」は、子どもにとって“信頼の貯金”になります。

たとえば、幼児期に「抱っこして」「一緒に寝て」「もっとママといたい」とたくさん甘えた子が、小学生になってから自分から「がんばってみる」と言うようになることも珍しくありません。

それは、過去のたくさんの甘えの時間が「自分は大丈夫」「困ったときは戻れる場所がある」という信頼となって根付いているからです。

保育現場でも、信頼関係が築けている子どもは、新しい活動や挑戦にも意欲的になる傾向があります。 それは「もし失敗しても、先生やおうちの人が受け止めてくれる」と感じられているからです。

5.忙しくてもできる、甘えを受け止める小さな工夫

「甘えさせるのが大切だとわかっても、忙しくてなかなか応えてあげられない」という声も多くあります。 そんなときには、ほんの小さなことから始めてみるのがおすすめです。

たとえば、朝出かける前にギュッと抱きしめる。 寝る前に「今日もがんばったね」と声をかける。

子どもが甘えてきたら、ほんの10秒でも手を止めて目を見てあげる。 子どもは「自分に気持ちを向けてくれているかどうか」をとても敏感に感じ取ります。

時間の長さではなく「気持ちを受け止めてもらえた」と思えることが、心の栄養になります。 また「ママも疲れちゃった」と素直に伝えることも、ときには大切です。

無理に完璧を目指すよりも、お互いに心を開ける関係が、おやこの絆を強くしていきます。

まとめ

子どもが安心して甘えられる環境は、どんな教育よりも大切な土台になります。 「いつでもあなたを受け止めるよ」というメッセージを、日常の中で少しずつ伝えていくこと。

それが、子どもの心を育み、やがてしっかりと自立していく力へとつながっていきます。 甘えさせることは、決して甘やかしではありません。

忙しい毎日の中でも、ほんの小さな“心のふれあい”を積み重ねながら、おやこで安心できる時間をつくっていけたらすてきですね。

ライター / 監修:でん吉(保育士)

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執筆者

保育士 でん吉

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