好き嫌いが多いのは防衛本能?「一口チャレンジ」で食の世界を広げる。

好き嫌いが多いのは防衛本能?「一口チャレンジ」で食の世界を広げる。
色とりどりの野菜を一生懸命に調理したのに、お子さんはそれを見るなり「いらない」と首を横に振る。 そんな好き嫌いの壁に親としてはため息が出てしまいますよね。「どうして食べてくれないの」と。 でもその頑なな態度は、もしかすると自分の身を守ろうとする大切な「防衛本能」なのかもしれません。
目次

1. 食べないのは「知らないもの」が「怖い」から

子どもの味覚は大人よりもずっと敏感です。 特に「苦味」や「酸味」は本能的に「毒」や「腐敗」を連想させるため、防衛本能として拒否するようにできています。

初めて見る食べ物に対して、まず「これは安全だろうか?」と警戒するのは生き物としてごく自然で賢い反応なのです。

親としては栄養のために食べてほしい。 でも子どもとしては本能が「危ないかもしれない!」とアラートを鳴らしている。

好き嫌いはわがままではなく、この本能的な警戒心との戦いでもあるのです。

2. 目標は「完食」ではなく「一口の勇気」

この警戒心を解くために、親が「食べなさい!」と無理やり口に押し込むのは逆効果です。 それは「やっぱりこれは危険なものだったんだ!」という恐怖体験として記憶されてしまいます。

そこで親の目標を今日から大きく変えてみましょう。

目標は「お皿をピカピカにすること」ではありません。 目標は「ほんの小さな一口に挑戦する勇気」です。

この「一口チャレンジ」という新しいゴール設定が、おやこの食卓を戦場から遊びの場へと変えてくれます。

3. 「チャレンジ」を楽しい「ゲーム」にする工夫

「一口チャレンジ」は楽しいゲームでなくてはなりません。

まずお子さんに選択権を与えます。 「ピーマンとニンジンどっちのお野菜に一口チャレンジしてみる?」自分で選ぶことで主体性が生まれます。

そしてその一口は本当にアリさんサイズでも構いません。舌の先にちょっとつけるだけでもいい。 もしそれができたら、たとえその直後にべーっと出してしまったとしても、チャレンジは「大成功」です。

「すごい!勇気を出して挑戦できたね!かっこいい!」とその勇気を思い切り褒めてあげてください。 大切なのは食べた量ではなく挑戦できたという事実です。

4. 「おいしい」は、10回目の出会いでやってくる

一度や二度チャレンジに失敗しても、決してあきらめる必要はありません。

子どもの味覚はとても保守的です。 初めての味に慣れるまでには個人差はありますが、10回15回と何度も出会う必要があると言われています。

親の役割は根気強く食卓に出し続けること。 そしてプレッシャーを与えずに一口チャレンジの「機会」を提供し続けることです。

今日ダメでもまた来週。そのくらいのおおらかな気持ちが大切です。

5. 親がおいしそうに食べる姿が、一番の近道

そして何よりも効果的なのが、親自身がその食べ物を心からおいしそうに食べる姿を見せることです。 子どもは、大好きな親の行動を実によく見ています。

「このお野菜シャキシャキして美味しいねえ!」と親がリラックスして幸せそうに食べている。 その姿は子どもにとって「あ、あれは安全で美味しい食べ物なんだな」という何よりの証拠になります。

あなたの「おいしいね!」の一言が、子どもの防衛本能を解く一番の鍵なのです。

まとめ

好き嫌いが多いと親は栄養面を心配して焦ってしまいます。そのお気持ちよくわかります。 でも食卓を厳しい「しつけの場」にしてしまうと、子どもは食べることそのものが嫌いになってしまうかもしれません。

食卓は戦場ではありません。新しい味と出会う冒険の場所です。 「食べなさい」という圧力を「一口冒険してみよう」という楽しいゲームに変えてみる。

その小さな遊び心が、お子さんの「食べられた!」という自信を育て、いつの日かその子の食の世界を豊かに広げてくれるはずです。

ライター / 監修:でん吉(保育士)

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執筆者

保育士 でん吉

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