離乳食、1歳から2歳の大人とは別に配慮した幼児食(前期)を経て、3歳ごろから大人とほぼ変わらなくなってくる幼児後期(3~5歳)の幼児食(後期)。ですが、量はどのくらい?栄養バランスはどう考えたらいいの?と悩むことは多いですよね。
今回、管理栄養士・尾花友理さんが教えてくれるのは、幼児食における適切な量とその量をどのように3回の食事に取り入れるかの、献立の立て方です。
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3歳頃になると色々な食体験をし、また体も成長して、大人とほとんど変わらないものが食べられるようになってきます。 成長著しい時期でもあり、また好みもはっきりしてきて、食べられるもののバリエーションや量が増えてきた分、「栄養バランスも考えてきちんと食べさせなきゃ」というプレッシャーを感じてしまう保護者のかたも多いのではないでしょうか。
では、この時期の子どもにとって、そもそも栄養バランスの良い食事って何なのでしょうか。
日本人の食事の摂取量やバランスは、「日本人の食事摂取基準」を厚生労働省が定めています。厳密に理解するのはむずかしいかもしれませんが、ポイントを理解しておくと、毎日のごはんづくりがじつはぐっと楽になるんですよ。
3歳〜5歳の子どもが1日に必要なカロリーは、女児で1,250kcal、男児で1,300kcal。これは大人のおよそ半分強になります。
また、1日の食事量の中で必要な栄養素のバランスは、大人も子どももさほど変わりはありません。
そのため、3歳~5歳の子どもは、ご飯、おかず、汁物などを大人の量の半分強を食べればよいと思えば、わかりやすいかもしれません。
栄養バランスを整えるために、まず一日3~4食で朝・昼・夜のごはんは主食+主菜(メインおかず)+副菜(サブおかず)+汁物を基本に考えるとよいでしょう。
そしてそれぞれにおいては、取り入れたい食品群が大体きまっています。
主食…ご飯、パン、麺など炭水化物を摂る
主菜…主に肉、魚、卵、大豆などたんぱく質を摂る
副菜…野菜や海藻、きのこなどビタミン、ミネラルなどを摂る
汁物…主食、主菜、副菜で足りない栄養素を補足する
つまり、一食で炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを取り入れられれば、バランスのよい献立といえるでしょう。
さらにそれぞれの内訳は以下のようになります。
主食・・・穀類から選びましょう
1日にとるべき量は300g〜350g。1回の食事では、ご飯で子ども茶碗1杯(100~120g)、パンで食パン6枚切り1枚、うどんで1/2玉くらいを目安にするとよいしましょう。
主菜(メインおかず)…主に肉、魚、卵、大豆加工品から選びましょう
1日で肉、魚、卵、大豆製品などをあわせて150g程度とるのが理想です。1回の食事で考えると、魚は切り身で1/2枚、肉は薄切りで1枚、ひき肉30gくらいを目安になります。また、忘れがちですが、子どもに食べやすい豆腐や納豆もこの仲間。調理せずに食べられるので、上手に献立に組み込みたいですね。
さらに、幼児食においてはこの主菜に野菜を合わせたほうが、子どもも食べやすいかもしれません。野菜を肉で巻いたり、魚に野菜あんをかけたりするのもいいですね。
副菜(サブおかず)…野菜や海藻、きのこなどから選びましょう
野菜を食事に取り入れるとき、頭の隅に入れておくといいのが「緑黄色野菜」と「淡色野菜」の2種が野菜にはあるということ。1日に必要な量もじつはそれぞれ異なります。
1日に必要な緑黄色野菜の量は90g。ほうれんそうでいうと2株、にんじん小さめ1本(10cm)となります。ほかにはトマトやプチトマト、ブロッコリー、かぼちゃ、小松菜などもこの仲間です。
淡色野菜の必要量は110g。キャベツでいうと2枚、大根でいうと2cm程度になります。レタス、きゅうり、もやし、なすなどもこの仲間に入ります。
そして、忘れられがちですがとても重要なのが、海藻ときのこ。ビタミンやミネラルを豊富に含み、ぜひ子どもには食べさせたい食材です。海藻、きのこ類の必要量は10〜15g。しいたけでいうと1個、エリンギでいうと1/3本です。海藻はわかめやひじきだけでなく、のりや青のり、もずく、めかぶなども。子どもに食べやすいものも多いので、上手に献立に取り入れたいですよね。
さらに、いも類の必要量は40〜60g。じゃがいもでいうと1/2個、さつまいもでいうと1/4本程度となります。
汁物…主菜、副菜で取れなかったものをここでカバー
わかめやとろろ昆布のお味噌汁、豆腐とわかめの中華スープ、野菜たっぷりのミルクスープなど。取り入れたかったけど入らなかったという食材は汁物にすると献立のバランスが整います。
また、果物の必要量は100g〜150g。りんご1/2個でいうと、バナナでいうと1.5本。乳製品の必要量は200g〜250gで、牛乳なら200ml程度となります。
3歳〜5歳は乳児の頃に比べ食べられる量は増えるものの、1日3食では1日に必要なカロリーや栄養をすべて摂ることは、なかなか簡単ではありません。そのため、おやつを補食と考え、上手に活用していきましょう。
上記の1日の食事量を朝ごはん2:昼ごはん3:おやつ1:夕飯4の割合を目安に食事を振り分けてみるとよいでしょう。
特に、果物、いも類、乳製品は3食にあてはめるのはむずかしいことも。お菓子はあくまでも嗜好品と考え、バナナヨーグルトや焼き芋などをおやつにして、乳製品や果物類、いも類などを上手に補給するのがおすすめです。
幼児食の量や栄養バランス、献立の立て方の理論、少しはおわかりになったでしょうか?でも、栄養素の話をしてしまうと作る前から気が重くなってしまうも事実。百聞は一見にしかずということで、幼児食の夕食の献立例を作ってみました。
この献立を栄養素で分類してみると
炭水化物→ご飯
たんぱく質→鮭(魚)、豆腐(大豆製品)
緑黄色野菜→ミニトマト、ブロッコリー
淡色野菜→白菜
海藻・きのこ類→カットわかめ
となります。
こうして見てみると、バランスの良い食事は見た目にも赤、緑、白など様々な食材が入っていて、見た目にも彩りが良いもの。あと一品は何にしようと思ったとき、使ってない色の食材を使うと、簡単に栄養バランスを整えることができます。
ただし、食事は毎日のこと。やっきになってバランスを整えなきゃと躍起になる必要はありません。また、1食で、1日で完璧に栄養を摂ろうと思わずに、昼は野菜が少なかったから夜は野菜を多めにしよう、朝はトーストだけで済ませてしまったから、昼は肉にゆで卵や納豆、豆腐をプラスしてみようなど1日単位そして2~3日単位でで考えてみると、気持ちが楽になるでしょう。
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子育てに役立つ名言を集めた、おやこのくふうインスタグラムは @oyako_kufu
管理栄養士・料理研究家 尾花 友理
給食委託会社において産業給食、保育園給食などの献立作成及び給食管理、栄養相談などを経験。料理研究家のアシスタントを経て、大手レシピサイト運営会社にてレシピ開発や動画撮影に従事後、独立。管理栄養士としての豊富な知識とリアルな生活者の気持ちや暮らしに寄り添った、取り入れやすい栄養アドバイスやレシピに定評がある。
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