子どもにとっては楽しみでもあり、食事では補いきれないエネルギーの補給の意味でも大事な役割をしている「おやつ」。
幼児のおやつ、量はどのくらい?どんな風に選べばいい?食べすぎに注意するには?【適量の目安を解説】でも紹介した通り、幼児にとっておやつは「量」と「栄養」という内容がとても重要となります。
いっぽう、おやつというと「むし歯になるんじゃないか心配」「砂糖は歯を溶かすってホント?」そんなお悩みもよく耳にします。
たしかに、おやつはむし歯の一因になりうることはたしか。ですが、おやつの選び方や与え方で虫歯になるリスクを減らすことができるのです。
子どもの歯(乳歯)は大人の歯(永久歯)と比較すると、虫歯にならないように歯の表面を覆って丈夫に保つエナメル質も薄いため、子どもの歯は虫歯になりやすいといえます。
そのうえ、子どもは3食の食事以外にもおやつや補食など食べる回数も多いためむし歯になるリスクが高まります。乳歯だからむし歯になってもいいと思わず、むし歯を作らせないためには食べ物の種類や食べ方に留意することが大切です。
何を食べても、食べたあとに歯を磨いてさえいれば虫歯にはならないと思っていませんか?
じつは食べ物自体にも虫歯になりやすくする食べ物とそうでない物があるのです。
なにも食べていない状態のとき、人間の口内は弱酸性に保たれています。食べ物を食べることで口内が酸性になります。
酸性になると歯のミネラル分も溶け出し、むし歯になりやすい環境になります。とくに砂糖を多く含む食べ物を食べると口内は強い酸性になりやすいので、昔から「砂糖を食べ過ぎるとむし歯になる」と言われているのです。
子どもが大好きなスナック菓子は噛むうちに粘土状になって歯の溝に密着しやすく、歯を磨かずにそのまま放置すると虫歯になりやすくなります。
スナック菓子以外にもキャラメルやヌガーのように歯にくっつきやすいものも同じ理由で虫歯になりやすいといえます。
キャンディーなどなくなるまで口内に長くとどまる食べ物は、その分長く口の中が酸性の状態を保つこととなるため、むし歯になりやすい環境を引き起こします。
酸性がむし歯になりやすいならば、逆に口内をアルカリ性にする食べ物は虫歯になりにくいとい言えます。
おやつに適する代表的なアルカリ性の食品はナッツ類。咀嚼がしっかりできない小さなうちは誤飲・誤嚥の可能性が高いためナッツ類を与えるのは避けるべきですが、咀嚼がしっかりできるようになる小学生くらいからはナッツ類をおやつに与えるのは、むし歯を予防する意味でも、話題のオメガ3脂肪酸を摂る意味でもおすすめです。同様にチーズも口内をアルカリ性にするためおすすめです。
また「砂糖は酸性」とご紹介しましたが、はちみつやメイプルシロップなどは弱アルカリ性の食品なので虫歯になりにくい食品といえるでしょう。
昔から「スルメを食べさせると歯が丈夫になる」といわれているのを、耳にしたことがあるでしょうか?
硬いので咀嚼力が鍛えられるという意味もあるのですが、噛むことで唾液の分泌が促進されるというのが大きなポイントになっています。
唾液にはむし歯菌をはじめとする細菌を流す働きがあるため、唾液がたくさん分泌されるとその分むし歯リスクが下がります。スルメだけでなく、煮干しやドライフルーツなどもおやつにも取入れやすいかもしれませんね。
口内に食べ物が長くとどまるとむし歯になりやすい酸性の状態を保ってしまうので、さっと口を通過する食べ物ならむし歯になりにくいといえるでしょう。例えばヨーグルトやゼリー、アイスクリームや生クリームなどです。
もちろんどれも砂糖を含むため、酸性になるという観点からは虫歯になりやすいのですが、口の中を素早く通り過ぎて食道、胃へと流れていきます。
ですから、甘いものを食べたいときはチョコレートやキャラメルよりも生クリームタイプのケーキやシュークリームを選んで、お茶か水を飲むことで比較的むし歯になりにくいといえるのです。
甘いおやつやスナック菓子は虫歯になりやすいとはいえ、おやつは子どもの楽しみの意味合いも大きいので、量や時間を決めて食べるようにしてみましょう。
大量にだらだら長時間食べるとその分口の中が酸性になる時間が長くなるので、量を決め、おやつの時間を決めて食べ終わったら終わりにする習慣を身につけましょう。
食事のあとに歯を磨く習慣はあっても、おやつのあとは意外に見過ごしてませんか?
おやつのあとも歯を磨くようにすると虫歯になるリスクを減らすことができます。外出先などでなかなか歯を磨けない場合は口をすすぐだけでも効果は期待できます。
食べ物が口の中にある時間を短くするためにも飲み物を一緒にとって口の中を流すのも大事なポイントです。
ただし、ジュースやスポーツドリンクのような砂糖のたくさん入った飲み物は逆効果。お茶や水など砂糖を含まないものにしましょう。
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そのほか、虫歯にならない丈夫な歯をつくるため、たんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品など)やカルシウム(乳製品、小魚など)をとることも重要です。日頃の食生活で少し意識することから始めてみてくださいね。
管理栄養士・料理研究家 尾花 友理
給食委託会社において産業給食、保育園給食などの献立作成及び給食管理、栄養相談などを経験。料理研究家のアシスタントを経て、大手レシピサイト運営会社にてレシピ開発や動画撮影に従事後、独立。管理栄養士としての豊富な知識とリアルな生活者の気持ちや暮らしに寄り添った、取り入れやすい栄養アドバイスやレシピに定評がある。
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