「リトミック」ってリズム遊びかな? そんなイメージがあるかもしれません。「リトミック」を取り入れた幼稚園や保育園、そして子どもの習い事としても増えてきていますね。 「リトミック」には、音楽活動を通して様々な成長を促す効果があると言われています。
そこで、「リトミック」とはどのような活動なのか、また、どのようなメリットがあるのかを、保育士ライターの炭本まみがご紹介します。
「リトミック」は、スイスの作曲家でもあり音楽教育家でもある、”エミール・ジャック=ダルクローズ博士”が20世紀初頭に考え作られた音楽療法のひとつ。
リトミックを行うことで、幼児期という人間形成の土台ができあがる大切な時期に、注意力、集中力、思考力、社会性、協調性が培われるといわれています。
指導者が奏でる音を通して、その音を「感じ取り」「何をするか考え」「自ら行動する」知力が養われます。これは社会の中で必要とされる力であり、それが音を通して楽しく養われることから、幼児教育の現場でも注目され、実践されています。
リトミックは子ども一人でもできますが、何人かの子どもや、集団で取り組むことが多い活動です。
音を聞いて体を動かすと同時に、その音に対してどんな動きをするのか、考えたり、思い出したりするため、身体能力の成長はもちろん脳の発達にも効果があります。
音から動きをイメージする想像力や感性、どんな音が鳴るのか、鳴ったのかを聞き分ける集中力、友達と協力したり認めあう社会性や協調性、コミュニケーション能力などを育みます。
「リトミック」という経験を通して、積み重ねていくうちに、「自分でより良い方法や、今しなければならないことを判断し、行動する」という力がついてくるでしょう。
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「リトミック」は、「リズム遊び」にも似ていると感じる人も多いでしょう。二つの活動の違いはどんな点でしょうか。
リトミックは、音を聞き取り自分のタイミングで体を動かしたり、イメージした体の動きで自由に表現をします。時には、友達を誘って動きを表現しても良いなど、自ら考え行動することを目的にしているという根幹があります。
音に対する敏感な集中力、心身の発達促進、運動能力やイメージする想像力を培います。
音楽リズムは、指導者のまねをして楽器を演奏したり、踊ったり、歌ったりすることで、音に対する動きや活動が決まっています。リズム感や音感を養ったり、集団で同じ活動をすることで仲間意識を育て、一緒にすることを楽しむという共感性も育みます。
似ている2つの活動ですが、リトミックのほうがより自由で創造性が高いといえるでしょう。
「リトミック」はどのように活動をするのでしょうか。 リトミックには、基本的な活動が3つあります。
0歳や1歳でもリトミックができるの?と感じるかもしれませんが、年齢に合った無理のない楽しみ方でリトミックをすることができるのです。
0歳の場合は保護者と一緒に体を動かします。抱っこしてもらって音に合わせて保護者が歩いたり走ったりする、赤ちゃんを寝かせて音に合わせて体操をするなどして、体を動かします。
ねんねばかりの赤ちゃんも、大好きな保護者と体を動かすことで運動になり、また脳へも心地よい刺激があることでしょう。
1歳児になると、歩いたり走ったりが上手にできるようになります。音に合わせて体を動かしたり、音が止まると体の動きを止めるなど、音に反応をすることができたり、動物のまねっこもできるようになるでしょう。
身体機能がさらに成長し、走りたい・動きたい盛りの2歳〜3歳の子どもたち。ですが、ピアノの高い音や低い音、演奏の速さの変化に合わせ、自分のエネルギーを「抑える」ということも学べます。
ママと一緒にスティックを使って音の高低や早さの変化を楽しんでいます。音が鳴ると体が動いて楽しい!という子どもの姿がよく観察できますよ♩
音の高低や音の長さ・短さを体やカードを使って表現します。どんな風に感じるかは、子どもの感じ方に任せます。低くゆっくりした音は、象の足のカードを選んでいます。
4歳頃からはさらにイメージが広がり、体を使った自由な考えの表現や、友達と協力して表現する楽しさを経験できます。また、5歳・6歳になると楽器を使うこともあります。
友達との関わりが盛んになり、社会性も発達してくる時期なので、友達やクラスのみんなでリトミックをすることを楽しめるようになります。
みんなと一緒にピアノの音を感じ、ピアノの音だけでその動きをイメージし、活動しています。3歳児クラスからリトミックをスタートし、経験年数2年目の年中さんです。音にしっかり反応し、楽しめるようになります。
リトミックとはときに、ピアノの音に合わせてストーリー性のある動きを楽しむことがあります。海に潜る、魚になる、眠る、起きる、急いで泳ぐ、ゆっくり泳ぐなど、テーマを決めて楽しむことで、子どもの興味や表現力がどんどん高まります。
毎回同じ動きでなくても構いません。子どもが自由に表現できる楽しさを、しっかり見守ります。
子ども同士で、楽しい動きをしている友達がいれば、自然と真似をしだしたり、その動きがクラス全体に広がることもあります。
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「リトミック」の基本的な知識から、年齢別の活動内容についてイメージしていただけたでしょうか。リトミックで大切なのは「楽しい」「自分にもできた」という達成感や楽しさを感じることです。
できないお子さんに対して叱ったり、やり方を指示したりすると、途端に子どもは興味を失い、リトミックが苦手になってしまうかもしれません。
子どもがやりたくなるように、同じ年代の子どもと一緒に楽しめる環境を用意し、楽しめたとき、子どもが生き生きとしているときは、「できたね!」「お魚の泳ぎ方本物みたいだったよ!」と認めてあげてください。そうすることで、さらに自分に自信を持ち、楽しんで活動することができるでしょう。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。
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