子どもの体力や運動能力を測定するための体力テスト。
ママ・パパが子どもの頃からありますが、今はもともとある種目に新たに3種目が追加され、新体力テストとして小・中学生を対象に実施されています。
「シャトルラン」や「上体起こし」など、新たに追加された3種目を含む気になる8種目の内容や、それぞれどんな風に測定するのか、学年ごとにどれくらいできるのが普通なのかも気になりますよね。
そこで、現役小学生ママでもあるライター・ichikaが、各種目ごとにわかることや測定方法、学年ごとの男女別平均値を紹介していきます。
新体力テストとは、子どもの体力や運動能力を調査するために、文部科学省が定めた「体力・運動能力調査」の通称です。体力テストのはじまりは1964年(昭和39年)。東京オリンピックで体育への関心が高まっている中、体力増進策のひとつとして国民の体力に関する情報を収集するために、小中学生を中心としてスタートしました。
その後、高齢化や現代人の筋力低下、安全性や妥当性を理由に種目の変更などの見直しが行われ、1999年(平成11年)に現在の新体力テストという名称に変わりました。6歳~11歳までを対象にした新スポーツテストの内容は以下の8種目です。
旧テストから継承されたのは「50m走・反復横跳び・たち幅跳び・ソフトボール投げ・握力」の5種目。ここに「上体おこし・長座体前屈・20mシャトルラン」の3種目が追加されました。
ちょうど今の保護者世代は変更の境目あたり。ママ・パパが子どもの頃に受けたものとは若干異なる可能性も!
聞きなれない種目もある中で、それぞれの種目がどんな目的で、どのように測定するのかも知っておきたいですよね。ここからは新体力テストの種目別にその測定方法と、公表されている2017年度の学年・男女別の平均スコアを見ていきましょう!
握力は専用の計器を使って物を握りしめる手の力を測定する種目です。他の多くの部位との筋力と相関関係が高い握力は、全身の筋力の程度を知るための指標にもなっています。
測定には握力計を使用します。直立の姿勢で両足を左右に開いて自然に腕を下げ、握力計が服や身体に触れないようにして力いっぱい握りしめます。右左の順に、左右交互2回ずつ実施して、良い方の記録を平均して記録します。
小学生の握力の男女別のスコアは8~20㎏前後が目安。特に高学年になると男女ともに一気に増加しますが、特に男子の増加率が顕著です。
膝を立てて腹筋運動を行う上体起こしは、筋力と筋力を持続するための能力である筋持久力を測定するための種目です。
マットの上で膝を立てて仰向けに寝転がり、補助者が膝を抑えて固定した状態で両肘と太ももがつくまで上半身を起こし、30秒間に何回行えたかを記録します。
小学生の上体起こしは10~20回前後が目安です。6年生になると1年生の倍以上の回数をこなせるようになります。特に男の子は、1年生から2年生にあがるとぐっと回数が増えるのが特徴です。
座ったまま手を伸ばし移動距離を測る長座体前屈は、腰から太ももにかけての柔軟性を見るための種目です。柔軟性が高い子は低い子に比べて、運動やスポーツでの怪我のリスクが少ないと考えられています。
規定サイズのコの字型の箱を使用します。座って脚を伸ばした状態で箱に脚を通して、手は箱の上面をに置いておきます。そのまま箱から手を離さず、箱全体をなるべく遠くへ滑らせるようにゆっくりと前屈し、初期姿勢を0とした時の移動距離を計測します。
小学生の長座体前屈は25~40㎝前後が目安です。男子の平均スコアが高い握力や上体起こしと違って、女子の方が移動距離が長く、柔軟性が高い子が多いのが特徴です。
100㎝間隔で引かれた3つのラインでサイドステップをする反復横跳びでは、感覚から受けた情報に反応して早く、正確に動けるか=敏捷性(びんしょうせい)を測ります。タイミング、力、空間の3つのコントロール能力が必要になる種目です。
100㎝間隔で引かれた3つのラインの中央にまたいで立ち、合図とともにサイドステップを行います。このとき、左右のラインを超えるか踏むようにして、右、中央、左それぞれのラインを超えるごとに1点を加算し、2回実施して良い方の記録を優先します。
小学生の反復横とびは25~50点前後が目安。1年生から6年生までで1.5倍以上になりますが、特に1年生から2年生でスコアがぐっとアップします。
20mシャトルランは20m間隔で引かれた2本の平行線内で行う持久走で、運動や作業を長く続けることができるかの全身持久性を調べる種目です。
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20m間隔で引かれた2本の平行線内を、ドレミファソラシドの音源に合わせて往復しながら走ります。音源のテンポは約1分ごとに速くなっていきますが、合図となる電子音が鳴り終わるまでに20mの線をタッチするのがルールです。
何回20mを走ることが出来たか回数を測定します。遅れが1回の場合は次の電子音までに間に合えば継続できますが、2回以上遅れた場合は終了になります。
小学生のシャトルランの回数は15~65回が目安。特に低学年から中学年にかけて往復できる回数がぐっと上がって、6年生になると1年生の時の3倍以上の回数をこなせるようになります。
50mの距離を全力疾走した時のタイムを測る50m走では、素早さや脚の力強さを測定します。
スタンディングスタートで旗を降ろす合図とともに、50mの直線路を全力疾走します。実施は1回のみ、手や足ではなく、ゴールライン上に胴がついたタイムで記録します。
小学生の50m走は8~11秒台が目安です。学年が上がるごとにタイムが縮んでいき、6年生の男子になると8秒台に入る子も多くでてきます。
立ったまま踏み切って前方に飛ぶ立ち幅とびでは、素早い動きの中で筋肉がどれだけ強い力を発揮できるかの「瞬発力」を測ります。
着地点となる砂場の30㎝~1m手前に引かれたラインにつま先を揃えて立ち、両足で同時に踏み切って前に飛びます。踏切前の両足の中央の点から、踏切後に一番踏切線に近い位置(かかと部分)との直線距離を測ります。
小学生の立ち幅とびは1m~1.5mが目安です。男女ともに1年生の時から1.5倍ほど増えて、6年生になると1.5m以上とべる子が増えてきます。
決められた範囲内にボールを正確に投げることや、遠くへ飛ばすことで、運動を調整する能力や瞬発力の高さ、力強さを測定します。
直径2mの円内からソフトボール1号サイズを中心角30度内に投げて、ボールが落下した地点までの距離を測定します。2回実施して良い方の記録を取ります。
小学生のソフトボール投げは5~25m前後が目安です。女子に比べると男子の記録が高く、伸び率も大きいです。6年生では女子と10m以上の差がでます。
新体力テストの評価方法は8種目の総合判定です。「項目別得点表」をもとに、各測定結果に応じた1〜10点の得点が加算され、合計の高い順にA〜Eの評価がつけられます。 個人の成績は学校から配布されますが、書式や記載内容、配布時期は各学校によって異なります。
娘の学校では平均値とともに数字のみのシンプルな一覧表で配られましたが、中には種目ごとの結果のバランスが一目でわかるレーダーチャートになっていたり、評価についての詳細やアドバイスが載ったものが配られる学校もあるようです。
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テストと聞くと身構えてしまう子も多いですが、新体力テストはあくまで体力を調査するためのもの。他の子と競うためのものではないので、リラックスして臨むのがおすすめ。
どんなことをするのか、どんな風に測定するのかを知っているだけでも心持ちが違うので、ぜひ種目の内容や測定方法を子どもにも共有してあげてくださいね。
ライター Ichika
山梨県生まれ。関西、九州での生活を経て11年ぶりに地元に戻りライター業をスタート。身内や友人に教育関係者が多く、たくさんのヒントを得ながら自分なりの育児を模索中。子育て経験をもとにした体験談やコラムも発信しています。
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