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管理栄養士が教える・幼児食と食育のきほん

買い物時保冷バッグを使ってない…なんて人も要注意!これからの季節、家庭でも頻発する【食中毒】予防の3大ルール

買い物時保冷バッグを使ってない…なんて人も要注意!これからの季節、家庭でも頻発する【食中毒】予防の3大ルール
【管理栄養士が徹底解説】夏になると一気にリスクが高くなる「食中毒」。意外に家庭でも多く発生しています。食中毒とは何か、そしてそれを防ぐにはどうしたらいいか。免疫力の少ない乳幼児や老人のいる家庭では特に気をつけたいポイントを解説します。
目次

暑くてじめじめした季節がやってきました。この温度と湿度が上がるこれからの季節は、「食中毒」の発生件数が一年でもっとも多い季節といえます。

「食中毒」というと、どうしても飲食店や施設などで発生するイメージが強いですが、じつは家庭内でも多く発生しているもの。特に、免疫力の少ない乳幼児や老人のいる家庭では、命にかかわる問題になりかねません。

そこで、食中毒とは何か、そしてその食中毒を予防するポイントを徹底解説していきます。

そもそも食中毒とは

まずは食中毒とはなにか、かかるとどんな症状が出るのかなど、基本的な食中毒の知識をおさらいしてみましょう。

食中毒とは「有毒な物質が含まれた食品や、食中毒の原因となる細菌等が付着した食品を食べることによって、下痢や腹痛などの症状が起こること」をいいます。

代表的な食中毒は卵などによるサルモネラ菌、魚介類による腸炎ビブリオ菌、食肉によるカンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O-157)などがあります。

食中毒の種類にもよりますが、主な症状は腹痛、下痢、嘔吐、発熱、頭痛などが多く見られます。乳幼児は自身を防御する力がまだ未熟なため、食中毒にかかると重症化しやすく、とくに注意が必要です。

食中毒の原因菌は一般的に暑くてじめじめした環境で活発に増殖をします。そのため、梅雨から夏にかけての季節に食中毒の発生件数が増えるのです。

料理を作って時間の経過によって腐敗する(腐る)現象と一緒くたにされがちですが、食中毒と腐敗は異なります。

腐敗するといやなにおいや酸っぱくなる、ねばりがでるなどの状態変化が起こるため、腐敗していることがわかりやすいのですが、食中毒はあきらかな状態の変化が起こりにくいため、わからずに食べてしまうことが多いのです。

食中毒を防ぐための3大ルール

では、食中毒を起こさないために、できることを詳しくみていきましょう。食中毒を防ぐのは調理中と思いがちですが、その前後から始まっています。

ルール1.買い物で注意すべきポイント

食材を買うときはなるべく新鮮なものを選びましょう。

また、肉や魚介類などはパックをポリ袋に入れ、液もれがほかの食材(特に生のまま食することが多い野菜には注意)につかないようにしましょう。

買い物には保冷バッグや保冷剤を活用して、購入後なるべく温度が上がらないようにし、家に帰ったら早めに冷蔵庫や冷凍庫で保管するようにしましょう。

ルール2.調理中に注意すべきポイント

まず、菌をつけないことが何より重要なため、絶対に気をつけたいのが調理前に「手をせっけんなどでしっかりと洗うこと」。また調理器具はかならずしっかり洗い乾燥させて清潔を保つことが基本中の基本です。

そのうえで、調理上の注意点は「しっかり加熱を心がけること」。なぜなら、ほとんどの食中毒の原因菌は75℃1分以上の加熱で死滅します。半熟卵、レアなお肉(ローストビーフなど含む)はかなりリスクが高いので、幼児には与えないようにするのが得策です。

注意すべきものは、サラダなど加熱しない生野菜。肉や魚の菌が野菜についたまま加熱しないでサラダを食べてしまい食中毒になるなんてケースもよくあります。肉や魚を触る前に加熱しないサラダなどを仕上げ、それから肉や魚を調理すると、手や包丁、まな板から菌が移る心配がなく安心です。

特に見落としがちなのが、おうち焼肉やバーベキューのとき、あるいは焼肉屋さんでの「焼肉」です。生肉に触れたトングや菜箸で焼き上がった肉を取り分けることによる食中毒。生肉を触るものと、焼き上がった肉を触るものは絶対に区別しましょう。

ルール3.保存時に注意すべきポイント

外食する機会が減り、おうちごはんの回数が増えましたよね。そんなとき多めに作って保存しておくと便利な作り置き。でも、作り置きをする際には以下のことに注意しましょう。

1)水けのない清潔な蓋付き容器(もしくはラップで蓋をする)に保存を。

容器が汚れていたり、水がついていると菌が増殖する原因になります。

2)冷蔵庫、冷凍庫で保存

冷めたら早めに冷蔵庫、もしくは冷凍庫に入れましょう。

3)食べる分だけ清潔な箸で取り分ける。

口をつけた箸や手で触れるのは絶対NGです。

4)作った日付をマスキングテープなどで貼り付け、2〜3日を目処に食べきる

食中毒は見た目、匂い、味などで異変を感じなくても起こります。早めに食べきるようにしましょう。

5)お弁当に入れる際には必ず再加熱を

持ち運びなどで温度管理がむずかしいお弁当に入れる際には、しっかり再加熱して冷ましてから入れるようにしましょう。

番外編:「カレー」の保存

「カレーはたくさん作って翌日がおいしい」と多めに作る人も多いですよね。さきほど75℃1分以上の加熱でほとんどの食中毒菌は死滅するとお話しましたが、じつはカレーに潜む食中毒菌「ウェルシュ菌」だけはちょっと特殊なのです。

このウェルシュ菌は空気のない温かい環境で急激に増え、高温の環境でも死滅しないよう、芽胞(がほう)という特殊なカプセルのような構造を作ってしまいます。いったん芽胞を作ってしまうと、100℃の温度にも耐えることができます。つまり、芽胞を作る前のウェルシュ菌は熱に弱いのですが、芽胞を作ってしまうと、温め直しでグツグツしても死滅させることができません。

むずかしい話になりましたが、つまり、残ったカレーが鍋の中でなかなか冷めないので朝までキッチンにおいておくといった状態が一番キケンなのです。

カレーが残ったら、鍋ごと水につけてかき混ぜながら冷ます、小分けにして冷めやすくするなどなるべく空気にふれるようにしながら早く冷ますことでウェルシュ菌が芽胞を作るのを防ぎましょう。

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色々と聞いてしまうとドキドキしますが、「菌をつけない・増やさない・やっつける」の3つを徹底するようにすれば、だいじょうぶです。

これからの季節、ぜひ気をつけてくださいね。

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執筆者

管理栄養士・料理研究家 尾花 友理

給食委託会社において産業給食、保育園給食などの献立作成及び給食管理、栄養相談などを経験。料理研究家のアシスタントを経て、大手レシピサイト運営会社にてレシピ開発や動画撮影に従事後、独立。管理栄養士としての豊富な知識とリアルな生活者の気持ちや暮らしに寄り添った、取り入れやすい栄養アドバイスやレシピに定評がある。

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