管理栄養士の尾花です。
米や小麦粉など一度には使いきれない食材、子育て家庭で活躍するから揚げやお好み焼き用などのミックス粉など、みなさんどこにどのように保存していますか?
暑さのピークは超えたものの、室内は年間を通して意外に温度が高いもの。当たり前のようにしている保存法が、もしかしたら間違っているかもしれません。
意外と間違っていることの多い食材の正しい保存法や保存のコツを解説します。
まずは5kg、10kgと大きな単位で購入することが多いお米。どこにどんな風に保存していますか?毎日使うものだし、取り出しやすいようにシンクの下に保存している人も多いのではないでしょうか。
お米は直射日光があたる場所、高温多湿の場所は避けて保存するのがベスト。温度や湿度の高い環境だと虫がわいたり、カビの原因になったりします。最近の住宅環境は機密性が高く、冬でも意外に温度が高いもの。常温での保存は避け、野菜室に保存しましょう。
また、一般的に販売されているお米の入った袋は通気孔が空いていることが多いのだそう。購入した袋のままの長期保存は避けましょう。におい移りや乾燥しすぎを防ぐためにも、密閉できる容器や保存袋に入れてから野菜室へ、が正解です。
ちなみに、精米されてから長期保存するとどうしても酸化して味が落ちたり、乾燥してパサついたりする原因になります。購入後1か月以内に食べ切れる量を購入すると、最後までおいしく味わうことができます。
「小麦粉は虫がつきやすい」という話を耳にしたことありますか?この「虫」の正体は、通称「コナダニ」といわれるもの。小麦粉や小麦粉を使った食材や乾物につくダニの一種です。
とくに温度が20℃〜30℃で湿度が60%以上の環境だと発生しやすいため、秋めいてきたからとはいえ、室内では安心はできません。
コナダニは高温多湿で風通しの悪い環境で増えやすいため、一度開封した小麦粉をキッチンの収納棚に入れるなどの保存法は、コナダニにとって最高の増殖環境ともいえるのです。
また、コナダニは体長が0.3mm〜0.5mmと非常に小さく、開封後クリップや輪ゴムで封をしてもすき間から中に入り、繁殖してしまうこともあるのだそう。
コナダニの入った小麦粉で作ったものを食べてしまうと、じんましんやかゆみ、ひどい場合は呼吸困難などのアナフィラキシーショック(重篤なアレルギー反応)を引き起こす可能性もあります。そして、このダニアレルギーは加熱しても防げません。
小麦粉を使うのが怖くなってしまいそうな話になってしまいましたが、正しく保存すれば心配はありません。
開封後は密閉できる保存容器や保存袋に入れ、温度も湿度も低く保てる冷蔵庫へ入れましょう。そしてなるべく早く使い切ることが鉄則。
そもそも小麦粉の使用頻度が低いという場合は、なるべく少量を購入し、こまめに使い切るようにしましょう。袋に記載されている賞味期限は、あくまで未開封の状態での賞味期限であることをお忘れなく。
参考資料:【食品安全FAQ】|東京都福祉保健局
「ミックス粉」とは、小麦粉に膨らまし粉や調味料などが入ったお好み焼き粉、天ぷら粉、唐揚げ粉などのこと。小麦粉がベースとなっているものが多いので、こちらもコナダニがつく食材です。
しかも小麦粉だけの場合よりも、うまみ成分などが入ったミックス粉の方がコナダニが増殖しやすくなるため、一層の注意が必要です。どれも一度で使い切りできず、残ってしまうシーンも少なくないはず。
そんな時には小麦粉同様、密閉できる保存容器や保存袋に入れて冷蔵庫へ。そして早めに使い切るようにしましょう。「次使うかも……」と思ってとっておいても、なかなか出番がなく「これいつ開けたんだっけ?」と記憶がないほど時間が経っている場合は、思い切って処分することをおすすめします。
常温保存で大丈夫と思いがちな、うまみ成分の多いふりかけやかつおぶし、だしパックも同様に保存法に注意が必要です。これらの食材も、コナダニの大好物。一度開封したら密閉できる保存袋に入れて冷蔵庫へ入れましょう。開封後はなるべく早く食べ切るのが基本です。
ここまで保存場所として冷蔵庫をおすすめしてきましたが、粉チーズに関していえば、開封後も常温保存でOK。冷蔵庫で保存している人も少なくないと思いますが、冷蔵庫の出し入れの温度差で、粉チーズがかたまってしまう原因になります。
粉チーズも賞味期限はあくまで「未開封の状態」での期限。開封後は早めに使い切るように心がけましょう。
参考資料:森永乳業
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いかがでしたか?食材の保存法については、以前からの方法を続けていてあまり気にしたことがないという家庭も多いのではないでしょうか。
家族の健康を守るためにも、開封後の食材の保存方法、ぜひ参考にしてみてください。
管理栄養士・料理研究家 尾花 友理
給食委託会社において産業給食、保育園給食などの献立作成及び給食管理、栄養相談などを経験。料理研究家のアシスタントを経て、大手レシピサイト運営会社にてレシピ開発や動画撮影に従事後、独立。管理栄養士としての豊富な知識とリアルな生活者の気持ちや暮らしに寄り添った、取り入れやすい栄養アドバイスやレシピに定評がある。
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