こんにちは。おやこのくふうライターの西方です。
読み聞かせや教科書で出会う「児童文学」には、ストーリーの面白さだけでなく大人もハッとさせられるような学びや気づきが詰まっています。
また、夢中になってお話に没頭する経験は、読んだ人の世界をグッと広げてくれるものです。 懐かしいベストセラーや最新の人気作品まで、おすすめの児童文学をたっぷり紹介します。
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児童文学とは、子どもが読むことを想定して書かれた文学作品のこと。明確に対象年齢が定められているわけではありませんが、主に幼児から12歳頃までの子ども向け文学が当てはまります。童話やファンタジー、詩、漫画、図鑑など幅広いジャンルがあります。
広い意味では絵本も児童文学に含まれます。多くの児童文学は言葉が主体となって内容を伝えているのに対し、絵本は文字と絵が融合されて内容を伝えています。また、絵本はひらがなで書かれているものが多いのも特徴です。
言葉が主体である児童文学を自分で読めるようになるのは小学校低学年くらいからですが、自分で読むことが難しい幼児も、大人が読み聞かせて児童文学を楽しむことができます。
3歳から5歳頃までの、未就学児でも楽しめる児童文学を紹介します。いくつかのお話が入っているものや少し長めのお話も、毎晩少しずつ読み聞かせてあげると続きを楽しみに聞いてくれると思います。
世界各国のユニークなお話が集まった「子どもに聞かせる世界の民話」。日本語訳のリズムが心地よく、動物が出てくるお話も多いので子どもも興味を持ちやすいでしょう。
「ヤギとライオン」「世界一美しいもの」「かしこいお医者のやせぐすり」など、新たな視点にハッとし、思わず関心してしまうような学びの詰まったお話が収録されています。
ワクワク・ドキドキするようなグリム童話の名作12作品を収録した童話集です。
「赤ずきん」「いばら姫」「ヘンゼルとグレーテル」など、大人も一度は読んだことのある作品が多いのではないでしょうか。グリム童話のメルヘンな世界観が子どもの想像力を書き立て、文学への興味を高めてくれるでしょう。
日本のお話にも触れておきたいなら「日本のむかしばなし」を読み聞かせてみてください。
数ある日本のお話の中でも、子どもが面白く聞けるような楽しいお話を中心とした全13編です。挿絵もあるので、子どもと一緒に絵を追いながら読んでもいいでしょう。
「注文の多い料理店」「セロひきのゴーシュ」など、読み継がれる宮沢賢治の名作10作品を収録した童話集です。
「どうなるの!?」と続きが気になるお話ばかりで、子どもの興味を引きつけます。漢字にはすべてふりがながついているので、小学生になってから自分で読み返して楽しむこともできますよ。
図書館にライオンがやってきた!?ユニークな設定にグッと引き込まれ、ライオンと関わる人たちの心の変化から目が離せません。
ある日ライオンはある事件を起こしてしまい…決まりは守らなければいけない、でも特別なこともあるとやさしく語りかけてくるお話です。
小学校低学年の子どもにおすすめの、言葉がメインの本への橋渡しになるような児童文学を紹介します。おやこで一緒に読んだり、自分読みをしたり、自由に物語の世界を楽しんでみてください。
主人公・しげるが通う保育園での、ちょっぴり不思議なお話が5話収録されています。文章はひらがなが中心で、絵もたくさん描かれているため、低学年の子どもが自分で読んでも楽しめるでしょう。
子どもにとって身近な舞台での物語にいろいろな感想が飛び出してくるかも。厚生大臣賞、NHK児童文学奨励賞など4つの児童文学賞を受賞しています。
なぞなぞが大好きな女の子が、森で出会ったオオカミになぞなぞを出しました。考え込むオオカミのようすが面白く、女の子の機転に感心します。
2つのお話が収録されており、どちらも楽しくあっという間に読むことができます。本の見返しにあるなぞなぞにもおやこで挑戦してみましょう。
卵を焼くのが大好きだったのに、卵を焼かせてもらえなくなった「ふらいぱんじいさん」が旅に出ます。ジャングルで、砂漠で、海で、さまざまな困難に出会いながらも進み続けるふらいぱんじいさん。
物語そのものはファンタジーでも、どんどん自立して自分の人生を歩む子どもたちの心に残る作品になるでしょう。
「あしたの日記」にでたらめなことを書いたら、書いたことが本当になってしまった!お母さんが鉛筆を天ぷらにしてしまい、金魚が飛び回り、空からぶたが降ってくる!?子どもの想像力をさらに広げて楽しませてくれる愉快なお話です。
「はれぶた」シリーズは全10巻出版されているので、気に入ったらぜひもう1冊手にとってみてください。
読み継がれる名作「エルマー」シリーズの第1作。エルマーは知恵と勇気を振り絞り、子どものりゅうを助けるための冒険に出発します。
エルマーがリュックにつめた輪ゴムやチューイングガムがどのように冒険の役に立つのか展開にワクワクしつつ、気づけばエルマーを応援しているでしょう。お話自体は長いですが、エピソードごとに区切って少しずつ読むのもおすすめです。
小学校中学年の子どもにおすすめの児童文学を紹介します。読む楽しさに気づき「好きなジャンル」ができてくる頃。おもしろかった本についておやこで会話を楽しむのもおすすめです。
「かあちゃんはすぐ『早く』って言う」「何日も同じごはんをつくる」といった“かあちゃん”のあるあるエピソードに子どもたちは大爆笑!
主人公の哲哉は、父ちゃんの助言をもとに母ちゃんの取扱説明書を書き始め…哲哉の心の変化とともに、子どもたちにも家族のことを考えるきっかけを与えてくれる、ユーモアたっぷりで心温まる一冊です。
大人にも人気のアーノルド・ローベル「がまくんとかえるくん」シリーズの1作目。仲良しのふたりの、のんびりしていておかしく、ちょっと切ない5つのお話が収録されています。
低学年でも読める文量ですが、少し大きくなった子どもにふたりのあたたかなエピソードを楽しんでほしいと思います。
ひとり旅が好きな男の子・ケンが不思議な黒ねこのサンゴロウに出会い、失われたうみねこ族の宝を探すのを手伝うことに。
旅のロマン、歴史、友情といった冒険物語の醍醐味が詰まった大人気シリーズです。楽しいだけではない、大人な物語への入り口にぴったりな一冊です。
ジブリ映画で有名な『魔女の宅急便』には原作があり、続きもあるのをご存知ですか?原作のキキは、ごく普通の13歳の女の子。
新しい世界にワクワクしたり、ちょっと背伸びして失敗したり、恋や友情に悩んだり。等身大のキキの姿に親近感を覚え、一緒に成長していける物語です。
推理小説への入り口としておすすめなのが、こちらの「探偵ミルキー」シリーズ。探偵に憧れるミルキー杉山が3つの事件を解き明かします。
前半の〈事件編〉には事件のあらましと事件を解くためのヒントが隠されていて、注意深く読めば真相に気づけるかもしれません。〈解答編〉を読む前にぜひ推理してみてください。
ふたりの少年が大泥棒に立ち向かう冒険物語。テンポよく展開する物語に謎解きのような要素が散りばめられていて、どんどん読み進めたくなります。キャラクター描写や少年とホッツェンプロッツの掛け合いが愉快で大人も楽しめる一冊です。
続編『大どろぼうホッツェンプロッツふたたびあらわる』『大どろぼうホッツェンプロッツ三たびあらわる』もぜひ!
掃除が好きなウォートンと、料理が好きなモートンはヒキガエルのきょうだい。ある日ウォートンがスキーで出かけると、天敵のミミズクに捕まってしまいます。
ミミズクの家でおしゃべりをしたり脱出を試みて失敗したり…ウォートンはこのまま食べられてしまうのか!?ハラハラしながらも心温まるお話です。
小学校高学年の子どもにおすすめの児童文学を紹介します。時間をかけて読むような長いお話のほか、じっくり考えたいテーマを扱っている児童文学もおすすめです。
王様に仕えるガチョウのガーウェインは、宝物殿の見張り役。とても優秀で、王様とは信頼し合っていました。しかし、ある日宝物殿から宝が盗まれると、王様も友達もガーウェインを疑います。ガーウェインの絶望、王様の苦悩、真犯人の葛藤の描写に引き込まれます。
難易度としては中学年向きですが、高学年の子どもにテーマである冤罪と人を信じることをじっくり考えてみてほしいと思います。
6年生の一将(かずまさ)の弟が先生に叱られた「事件」を深掘りするうちに、生徒たちは1つの疑問にたどり着きます。
学校とはだれのものなのか?勝敗をつけること、先生が感じるプレッシャー、我が子を守りたい大人。さまざまな立場の人、その人となりが描かれ、異なる視点で「学校」の存在意義を考えていくお話です。
ちょっぴり不思議な世界観で、爽快感のある展開が魅力のロアルド・ダール作品。『チョコレート工場の秘密』が有名ですが、小さなマチルダが頭脳を武器に大人に立ち向かうこちらの作品もおすすめです。
賢くて人と違うことを「醜い」とされてきたマチルダが、その賢さで高慢な大人をやりこめます。スカッとするラストはもちろん、そこに至るまでの展開も魅力的で、何度も読みたくなる一冊です。
ひょんなことから飼い主と離れ離れになり、東京に来てしまった黒猫ルドルフ。ノラとして暮らす地域のボス猫・イッパイアッテナと出会い、ノラ猫生活をとおして助け合うことや分け合うこと、学ぶこと、生きることを学びます。
2020年にシリーズ5作目となる『ルドルフとノラねこブッチー』も発売。児童文学賞受賞作品です。
星新一のSF短編31話を収録。ショートショートですので、読書が苦手な子どもでも抵抗なく読めるでしょう。こちらには博士と博士の発明品、ロボットがたくさん登場します。ニヤリするようなオチを楽しんで。
また、SFの世界として描かれた発明も、現代では実現に近づいているものがあるかもしれません。ぜひ、星新一ワールドから今の科学や技術にも興味を広げてみてください。
本格的なミステリと推理パズルが楽しめる「パスワード」シリーズ第1作の改訂版!ジョギング中に見つけた別荘の秘密に、風浜電子探偵団の5人が迫ります。
冒険のようなドキドキと謎解きの爽快感を味わえる、子どもに大人気のシリーズです。
魔法や魔女が出てくる長編ファンタジーとしてはもちろん、読むことで頭の中に広がる世界を楽しめる「ハリー・ポッター」シリーズ。
メインストーリーだけでなく学校で過ごす1年間や人間関係、情景描写など、隅々まで作り込まれた世界に夢中になるはず。初めて読む長編物語としてもおすすめです
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学年別におすすめの児童文学を紹介しましたが、学年にとらわれず子どもが今読みたいものを読めばOK!お気に入りを何度も読み返してもよし、新しいお話にどんどんチャレンジしてもよし。大きくなっても親が読み聞かせたっていいのです。
お話を楽しんだり、キャラクターを好きになったり、読むこと自体にハマったり。それぞれの楽しみ方で児童文学に触れてみてほしいと思います。
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ライター 西方 香澄
徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。
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