「お昼寝をしなくなった」その成長のサインと家庭での過ごし方について保育士がアドバイスすること。

「お昼寝をしなくなった」その成長のサインと家庭での過ごし方について保育士がアドバイスすること。
「うちの子最近全然お昼寝しなくて…」。夕方疲れ果ててぐずぐずになってしまう我が子を見て、途方に暮れている保護者の方も多いかもしれません。私たち保育士は、その成長の節目を何度も見てきました。それは困ったことではなく、お子さんの体力がついてきたという喜ばしい「成長のサイン」。そしてご家庭での過ごし方を、少しだけ見直す良いチャンスでもあるのです。
目次

1. なぜお昼寝はいらなくなるの?

まず一番大切なこと。

それはお昼寝をしなくなるのはお子さんの体が順調に成長している証拠だということです。 保育園に入ったばかりの1歳や2歳の頃は、午前中にたくさん活動するとどうしても体力が尽きてしまい、お昼寝という充電時間が不可欠でした。

しかし3歳4歳と年齢が上がるにつれて、体力や持久力がついてきます。 午前中に思い切り遊んでも、夜まで体力が持つようになってきたのです。

もちろん個人差はとても大きいです。 でもいつかは必ずお昼寝を卒業する日がやってきます。それはとても自然な発達のプロセスです。

2. 園ではどうしているの?「静かに過ごす時間」

「でも園ではみんなお昼寝しますよね?」。

そう疑問に思われるかもしれません。 私たち保育園では確かに「午睡(ごすい)」の時間を設けています。 それは集団生活のリズムを作るため、そして多くの子どもたちがまだ休息を必要としているからです。

ただし保育士は子どもたちの様子をよく見ています。

なかなか寝付けない子や明らかに眠くなさそうな子。 そんな子に「早く寝なさい!」と無理強いすることはありません。

私たちはまず「お布団の上で横になって目を閉じているだけで、体はお休みできるよ」と伝えます。 そしてそれでも眠れない子には、静かに絵本を読んだりパズルをしたりする「静かな活動の時間」を提供します。

無理に寝かせることが目的ではないのです。

3. 無理に「寝かせよう」とすることの弊害

保護者の方が一番困るのは週末や休日ですよね。

「お昼寝をしないと夕方ぐずぐずになるから寝てほしい」。

そのお気持ち、痛いほどわかります。 でもここで親が「早く寝なさい!」と焦って叱ってしまうと、子どもの心には「眠ること=嫌なこと、怒られること」という、ネガティブなイメージが刷り込まれてしまいます。

そのマイナスなイメージは、夜の寝かしつけにも悪影響を及ぼす可能性があります。 お布団や寝室が「怒られる戦いの場所」になってしまうのは避けたいです。

4. お昼寝から休息へ名前を変えてみる

もしお子さんが「お昼寝イヤだ!」と抵抗するようになったら。

それはもう「お昼寝」という名前を卒業するサインです。 その代わりに新しい習慣「休息」を提案してみましょう。

「わかった。もう眠くないんだね。じゃあ寝なくてもいいよ。その代わり30分だけ、ママとゴロゴロしながら静かな音楽を聴かない?」

「ヒーローも戦いの前にはパワーをチャージするんだって。このあとたくさん遊べるように、私たちも絵本を読んで、ちょっとだけ体を休ませようよ」。

目的は「寝かせること」から「体と脳を休ませること」へと切り替えるのです。 その穏やかな時間が午後のエネルギーをチャージしてくれます。

5. 夜の就寝時間との上手なバランス

「お昼寝をしないと夜早く寝てくれる」というメリットもあります。 お昼寝をしなくなったということは、夜の就寝時間を少し早めてあげる良い機会でもあります。

逆にどうしても夕方に眠くなってしまい、中途半端に寝てしまうと、夜なかなか寝付けないという悪循環に陥ることもあります。 その場合は夕方のその一番眠い時間帯にお風呂を入れたり、少しダイナミックな遊びをしたりして、乗り越える工夫も必要です。

お子さんの一日トータルの睡眠時間を見ながら、その子だけのベストなリズムを一緒に探していきましょう。

まとめ

お昼寝をしなくなった。 それは親の手をまた一つ離れていく、少し寂しいですが喜ばしい成長の証です。 私たち保育士はその移行期を何度も見てきました。

焦らず叱らず、その子の体の声に耳を澄ませてあげること。 「寝ない子」と戦うのではなく「大きくなったね」とその成長をまず喜び、新しいリズムを一緒に作っていく。

その前向きな視点こそが、子どもの健やかな毎日を支えるのです。

ライター / 監修:でん吉(保育士)

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執筆者

保育士 でん吉

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