これは私がバス通勤をしていた頃、市内から郊外の自宅へ帰る路線での出来事です。
あるバス停で外国人観光客らしき団体客がどっと乗り込んできて、車内はあっという間に満席になりました。 通路を挟んだ私の隣には、海外から来られたと思われる親子連れが着席。 スマホで名所旧跡の写真を見ながら、楽しそうに話し始めました。
特に5、6歳くらいの男の子は、身振り手振りを交えて大興奮! 「旅の思い出に浸っているのかな、楽しそうだな」と微笑ましく見ていたのですが…。
突然、おやこの後ろに座っていた初老の男性が大きく舌打ちをしたのです。
私と同じように驚いた顔をした男の子は、振り向いて恐る恐るその男性を見つめました。 男性は眉間に深く皺を寄せ、厳しい口調で「静かに!」と言い放ちます。
男の子はキョロキョロと戸惑い、とっさに席を立ち上がりました。 一触即発か、と息を呑んだ次の瞬間。
男の子は初老の男性の前に進み出ると、深々と頭を下げたのです。
「ゴメンナサイ!」
たどたどしい、けれどハッキリとした日本語でした。
日本語がわからない様子のお父さんも、子どもの様子から事情を察したようです。 慌てて席を立ち、一緒になって「ゴメンナサイ!」と頭を下げました。
そのあまりに丁寧で、一生懸命な謝罪。 怒っていたはずの男性も思わず顔をほころばせて笑ってしまい、張り詰めていた車内は一気に温かい空気に包まれました。
その後、お父さんと男の子はなぜかキリッと精悍な顔つきで座席に戻り、目的地まで静かに過ごしていました。 その真剣な表情もまた、心の中で「かわいいな」と思えてしまった、忘れられない出来事です。
(男性/43歳/会社員)
※こちらは実際に募集したエピソードをもとに記事化しています。
おやこのへや編集部
心も体も大きく成長する幼児期から小学生の子どもたち。一人ひとりの個性が出てきて、子育てに悩むことも多いこの時期を、おやこで楽しく過ごせるよう、ヒントになる情報を発信していきます。
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