夏休みに多くの学校で宿題として出される自由研究。
宿題について書かれたプリントを確認しても、「興味のあることを自由に研究してまとめましょう」とだけ書いてあり、どうしたらいいの?と困ってしまった経験のあるママ・パパも多いのではないでしょうか。
「自由」だからこそ難しく感じる自由研究ですが、せっかくだったらおやこで楽しみながら自由研究に取り組みたいものです。
今回は元小学校教員ライターの秋野みんみが、自由研究のテーマの選び方やおすすめのテーマについて紹介します。
最後におすすめの本も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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まずは、自由研究の目的について考えてみましょう。
自由研究の一番の目的は、自由研究を通して子どもの自主性や問題解決能力を育むことにあります。
普段の学校生活では、先生から学習の課題を与えられることがほとんどですが、自由研究では「やってみたい!」「これってどうして?」ということを自由に研究することができるので、普段勉強が苦手な子も夢中になって取り組んだという話はよく聞かれることです。
自分で計画を立てたり調べたり、時にはうまくいかないことがあったり…と自由研究を通して子どもは様々なことを学び、成長していきます。自由研究は研究の結果だけでなく、その過程こそが大切だと言えるのです。
ぜひ、自由研究を始める前に「自由研究をすることで、いろいろな力が育つんだよ!」と自由研究の意義を子ども達に伝えてあげてください。
その上で、どんなテーマにしようかな?と一緒に考えていくようにしましょう。
はじめて自由研究に取り組む子も多い1・2年生。まだ探求するのは難しい年齢なので、工作や生き物・植物の観察などがおすすめです。
海で拾った貝がらや石をボンドを市販の写真立てのフレームに貼り付けて、オリジナルの写真立てを作ります。 思い出の写真や絵を入れて完成です。
<ポイント>
学校から持ち帰った後もそのまま家に飾ることができるので、作品を持ち帰った後の対応に困りません。市販の写真立てを用意しなくても、段ボールに貝がらや石を貼り付けて、真ん中に写真を貼るのもおすすめです。
いろいろな花を採集し、押し花を作ります。
作った押し花は、画用紙に貼って本のしおりにしたりはがきに貼ったりして作品にしてみましょう。
<ポイント>
押し花にする前後での花びらの様子や色の変化を観察し、気付いたことや感想をまとめると良いでしょう。「花の形はどう?」「色は変わった?」などと声をかけてあげるだけで、子ども達も観察の視点が明確になりますよ。
セミのなき声をスマートフォンで録音し、インターネットでどの種類のセミのなき声なのかを調べます。セミのなき声が聞こえた場所や周りにあった木、なき声の特徴などをまとめて、セミ図鑑を作りましょう。
<ポイント>
なき声を調べてセミの種類が分かったら、図鑑やインターネットを使ってそのセミについて詳しく調べていくのも良いでしょう。
地域の公園を周り、公園ごとにどんなセミがいたのかをマップにしても面白いですね。
料理の際に切り落とした野菜の切れ端を育てて、成長の様子を1~2週間程度観察します。 根の伸びる様子や葉が増える様子などを観察し、写真やイラストを添えてまとめましょう。
<ポイント>
毎日観察を続けていく中で、野菜への愛着も沸いてくるので食育の観点でもおすすめの自由研究です。
変化が分かりやすい野菜として、にんじんや大根、豆苗などがおすすめです。
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大根、玉ねぎ、人参、パイナップルまで!!残った野菜を再生栽培!おやこで食育「簡単リボベジ」のすすめ
動物園や牧場などに行き、動物の特徴や気がついたことをまとめます。分からないことがあれば、飼育員さんに質問しても良いでしょう。
<ポイント>
1・2年生は生活科で、生き物と触れ合ったり育てたりする学習をしているので、学校での学習と繋がりやすく、低学年におすすめの自由研究です。
土ごと取ってきたアリをとうめいなビンやケースに入れて、巣の様子を観察します。
巣が広がっていく様子を観察したり、どんなえさを好んで食べるのかを観察したりしてまとめます。
<ポイント>
毎日巣が変化していく様子は、ママ・パパも一緒に研究していて楽しいですよ。
観察が終わった後は感謝して自然に返してあげるところまで、子どもと一緒に行うようにしましょう。
これまで「せいかつ」として一本化されていた理科・社会がそれぞれ科目として独立する3年生。身近なくらしの中からテーマを見つけて、子どもの好奇心を刺激したいですね。
通学路や学校の周り、家の近所などを範囲を決めてゴミ拾いをしながら歩きましょう。 拾ったゴミを分別し、数を数えて表にまとめます。 最後に、ゴミ拾いをして感じたことやこれから調べたいと思ったことなどを記録しましょう。
<ポイント>
4年生の社会科ではゴミの行方について学習するので、その応用として実際にゴミを拾って分別してみることはとても良い体験だと思います。
また発展として、ゴミのリサイクルについて考えを深めるために、地域のリサイクル工場を見学するのもおすすめです。
家の周りを歩きながら「子ども110番の家」のマークがある家や施設を探します。 見つけたマークを地図に書き込み、まとめていきます。
<ポイント>
地図は模造紙くらいの大きさに拡大したものを用意すると分かりやすいでしょう。
色を付けて分かりやすくしたり施設の写真を貼ったりしても良いですね。
さらに人通りの少ない場所や横断歩道がなくて危ない場所などを調べて、注意点を一緒に書き込めば安全マップになりますよ。
ふわふわでおいしいマシュマロの空気をぬくとどうなるかを調べます。
真空容器に大きめのマシュマロを入れて空気を抜いてみたり、空気を戻してみたりしてみましょう。
また、なぜこのような変化が起こるのかを調べてみるのも良いですね。
<ポイント>
ただ楽しいだけの実験にならないように、マシュマロがふわふわなのは多数の空気の泡が含まれているという大前提を抑えた上で実験するようにしましょう。
変化を動画に撮ったり、実験後にシワシワになったマシュマロを食べてみたりするのもおすすめです。
冷凍室を使わずに、たくさんの氷と塩を使ってアイスキャンディを作る実験です。 袋に入れた少量のジュースを氷の中に入れて、凍っていく様子を観察します。
<ポイント>
氷が溶けるときに周りの温度を下げるという性質を利用した実験です。塩を入れることで氷が素早く溶けて周りの温度もどんどん低くなります。
塩を入れる前後の氷の様子を調べて、塩にはどんな役割があるのかを考えさせるのも良いでしょう。
工場見学ができるところをインターネットで調べて、実際に行ってみましょう。 分かったことや聞いたことを写真や絵などと一緒にレポートにまとめます。
<ポイント>
工場への行き方や申込みの仕方なども子どもに調べさせてみましょう。
また、工場で質問したいことや見ておきたいことは事前にメモに書き出させておくことで、視点をもって工場見学をすることができます。
パンフレットを持ち帰ったり、写真を撮ってもいい場所は撮影してしておいたりするとレポートが充実しますよ。
授業でも実験や考察を繰り返し行う高学年。子どもの好きな分野を深堀りするテーマを選ぶと、より興味関心を高められますよ。
行ってみたい史跡について調べ、見学してみましょう。史跡全体やその周りの様子、気になったものや場所についてメモに残したり写真に撮ったりして、レポートにまとめます。
<ポイント>
史跡とは貝塚や古墳などのことなのですが、意外に小さな古墳や貝塚が地域に残っていることはよくあります。
ホームページで調べるのもいいですが、地域の歴史や史跡などについては公民館で話を聞くと情報が集まりやすいですよ。
野菜を煮てできた野菜の汁で白いハンカチを染めてみましょう。 どんな色になるのかを想像して結果をまとめます。
<ポイント>
普段捨ててしまう玉ねぎの皮やなすのヘタなどを残しておいて、染めるのに使うのも良いですね。
ハンカチではなく布を染めて、コースターやティッシュケースなどの作品にしても面白いですよ。
面白いなと思った雲を写真に撮り、インターネットや図鑑などで雲の種類を調べます。 雲を観察した日付や時刻、場所などを一緒に記録してまとめましょう。
<ポイント>
雲の中には雨を降らせる種類もあるので、可能であれば、その雲を見つけたあとの天気はどうだったかも記録できると面白いですね。
飲料水にどれくらいの砂糖が含まれているのかを調べてみましょう。 飲料水の場合は、「炭水化物=砂糖の量」と考えていくことができます。 いろいろな飲料水のラベルをチェックしてみましょう。
<ポイント>
ラベルを見る前に砂糖の量が多い順とその理由を予想させるようにしましょう。
結果との予想の違いから、また考えを深めることができますよ。
レポートにまとめる際には、ランキング形式にするのも面白いでしょう。
ヘアドネーションで寄付された髪の毛は、病気やケガなどで髪を失った子どもたちのウィッグとなります。 ヘアドネーションについて詳しく調べてみたり、実際に寄付してみたりしましょう。
<ポイント>
道徳や総合的な学習の時間などの学習でヘアドネーションについて知り、興味をもっている小学生は意外といます。
実際に寄付ができなくても、ヘアドネーションを行っている美容室に取材をお願いして話を聞くのも良いでしょう。
実験や観察だけをただ行うのではなく、全体の見通しを確認してから自由研究を進めていくことが大切です。
でも、はじめての自由研究では、おやこでどう進めていいかわからないことも。以下のステップを参考にしてみてくださいね。
実験や観察を行う前には、しっかりと準備をすることが大切です。
自由研究でやりがちな失敗例として、子ども自身がしっかりと目的意識をもたずに実験・観察だけを行い、「よく分からないけど、楽しかった!」で終わってしまうことがあります。実りのある自由研究にするためにも一番大切な過程だと言えるでしょう。
テーマについてどのように調べるかを考えましょう。
実験や観察などに必要な道具や材料を考えて準備しましょう。 筆記用具やスマートフォン、結果をまとめるのに必要な模造紙など、必要だと思うものを一度子どもに書き出させてみてから、おやこで確認するのがいいでしょう。
実験や観察を行う場合には、仮説を立てておくことが大切です。 学校でも理科や社会では仮説を立ててから実際に実験をしたり見学に行ったりしています。 その仮説と実際が正しいかどうかを調べることに、研究の面白さがあるのです。
しっかりと事前準備を行ったあとは、いよいよ実験や観察などをはじめましょう。
実験や観察では、思ったようにスムーズに進まないこともあるかもしれませんが、それも自由研究の醍醐味です。
おやこで「次はどうしてみる?」「なんでこうなったんだろうね!」などと相談しながら、失敗も楽しみながら進めていきたいものです。
デジタルカメラやタブレットを利用して、できる限り写真や映像でデータを残すようにしておくようにしましょう。
学校で使っているタブレットを持ち帰っている場合には、そちらを活用するのもおすすめです。
あとでふり返りに使ったり写真に印刷してレポートに貼ったりと、より充実した自由研究にすることができますよ。
実験や観察は、内容によっては繰り返し実験を行ったり条件を変えて行ったりして、本当にその結果が正しいのかをしっかりと考える必要があります。
例えば先ほど紹介した冷凍庫を使わずにアイスキャンディーを作る実験であれば、1回目に使ったジュースだけでなく他のジュースでも同じように凍るのかを試してみることで、実験の結果の正確性が上がります。
史跡見学やヘアドネーションについての調べ学習などは、できる限り実際に見学にいったり美容室でインタビューをしたりすることが大切です。
工場や博物館などでは、学芸員がいたり案内係が一緒に見学したりしてくれることが多いので、話を聞いたり質問をすることで、パンフレットやホームページ上には掲載されていない情報を知ることができるでしょう。
調べ終わったら、最後に結果をまとめます。
まとめる際には文字ばかりにならないように、写真やイラスト、表などを活用していくことが大切です。
まとめる方法には以下のようなものが良いでしょう。
模造紙・画用紙
紙が大きいからパッと見渡すことができる。安全マップ作りや壁新聞でまとめたい場合におすすめ。
スケッチブック
紙に厚さがあるので、写真や植物などが直接貼れる。
枚数があるので、観察日記や料理のレシピなどをまとめるのにおすすめ。
レポート用紙
研究内容を細かくまとめたい時におすすめ。
中・高学年向き。
自由研究が初めての1年生には、画用紙やスケッチブックが扱いやすいかもしれません。 高学年であれば、レポート用紙やパワーポイントに挑戦するのも良いでしょう。
最後に自由研究のテーマ探しにおすすめの本を3冊紹介します。
絵や写真が多いものやマンガで紹介されているものなど、おやこで自由研究について楽しく学べる本ばかりなので、ぜひ参考にしてください。
小学1年生から6年生まで対象で、身近な材料でできる自由研究が100テーマ掲載されています。
実験、観察、工作、調査の4つの章に分かれており、たくさんの写真と文章で紹介されているので、自由研究全体の見通しが持ちやすいでしょう。
まとめ方のコツも載っているので、これ1冊で自由研究はばっちりです。
人気の満点ゲットシリーズの自由研究編。
テーマの決め方から仮説の立て方、調べ方やまとめ方まで、ちびまる子ちゃんのマンガを読みながら学ぶことができます。
子どもと一緒に自由研究を学びたいママ・パパにもおすすめです。
キッチンやリビング、お風呂場などでできる科学のおもしろ実験が紹介されています。 「超速で氷ができるスゴ技!」や「色が変わる!?紫キャベツでカラフルラーメン作り」など題名を見ただけでわくわくするテーマがいっぱいです。
自由研究のまとめ方も掲載されており、この夏はおやこで自由研究を楽しみたい!という方におすすめです。
***
保護者にとっては頭を悩ませてしまう自由研究ですが、本気で取り組めば取り組むほど子どもの成長につながります。最初に紹介したように、自由研究の目的や意図をしっかりと理解した上で、研究に取り組むことが大切です。
ぜひ今年の自由研究の参考にしてみてくださいね。
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