アメリカの子育ての声かけには、英語ならではのポジティブな表現があふれている!NY在住ママに日本語の会話でも使えるおすすめのフレーズを紹介してもらうこの連載。
今回は子どもの選択をほめるフレーズ。ほめ上手なアメリカならでは!大人が言われてもいい気分になる言葉ですし、単なるほめ言葉ではない使い方もあるといいます。
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あけましておめでとうございます。ニューヨークで3歳の娘の子育てに奮闘中の駆け出しママ、三枝由里香です。
ニューヨークでは昨年12月半ばから、医療関係者に対してコロナウイルスのワクチン接種が始まりました。今年の夏までには一般の人々への接種も始まるとのこと。そんな状況と極寒のため、もっぱら子どもはおうちの中と近所の公園で遊んでいます。ごくたまーに、限られたお友だちとプレイデート(約束して遊ぶこと)するくらい。
完全に以前と同じように戻るには、もうしばらく時間がかかりそうですが、今年は普通にお友だちと遊べるようになることを期待したいと思います!
さて、日々の生活の中では、どんな服を着るか、何を食べるかなど、"選ぶ"という行為がたくさんありますよね。最初はママが選んだものを食べ、ママが選んだ服を着ていた子どもも、3歳くらいになると「これがいい!」「これはいや!」と主張して、自分で選ぶようになってきます。
ときには、子どもが変なものを選んでしまってイライラしてしまうことも…。
今回はそんなときに使えるポジティブフレーズ「I like your choice.」をご紹介したいと思います。
「I like your choice.」は文字通り「その選択いいね」という意味です。アメリカでは、着ていく服、食べたい物、やりたいことなど、子ども自身に選ばせることが多く、この表現は日常でとてもよく使われています。
先日、子どもが3歳になり、歯科検診に行った時のことです。
カラフルな椅子が並ぶ診察室で、まず歯医者さんが子どもに聞いたのは「何色の椅子がいい?」でした。そして、好きな色の椅子に座った後は「何色の風船がいい?」「どの歯ブラシがいい?」と続き、診療が終わった後は「どのおもちゃがいい?」と全てを子どもに選ばせてくれるのです。
そして、選んだ後は、「I like your choice.」「It's a good choice.」と言って、その選択をほめてくれます。
自分が選んだものをほめられるだけで子どもはうれしく感じるようで、終始ご機嫌で歯科検診を受けることができました。
この「I like your choice」は大人に対してもよく使います。
例えば、レストランでメニューを選んだとき。店員さんがオーダーを聞いた後に「I like your choice.」と言ってくれることがあります。レストランをよく知るプロに「見る目がある人」として認められたような気がして、ちょっとしたひと言なのに良い気分になりますよね。
このように本当にいい選択をした時に使うことが多いフレーズですが、「あれ?ちょっとおかしいぞ」という選択をしてしまったときに使うこともあります。
例えば子どもが天気の良い日に長靴を選んだ場合、「雨降ってないからダメだよ」と否定するのではなく、まずは「I like your choice. It's so cute.」「それもいい選択だね。かわいい」と言って認めてあげてから「でも今日は雨が降ってないから、こっちの靴の方が歩きやすいんじゃない?」と違う提案をしてあげます。
自分の選択に対していきなり「ダメだよ」と否定されるより、まずは「それもいいと思う」と受け止めてもらえることで、自尊心も傷つかず、違う提案も受け入れやすくなりそうですよね。
また、子どもが寒いときに薄着を選ぶなどして、親が別の案を提案しても聞かないときは、あえて「It's your choice.」「自分で選んだのよ」と確認して、自分の選択に責任を持たせるようにすることもあります。
一見突き放してるように聞こえるかもしれませんが「もう知らないからね」という突き放し方ではなく、「あなたが選んだのよ」ということで、子どもの意見を尊重しているとも取れますし、自分の選択に責任を持つべきということも学べそうですね。
さあ、このフレーズを日本語に取り入れてみましょう!
英語の意味をそのまま生かして「素敵な○○選んだね!」「それとっても可愛いね」と使ってみるのもOKですが、基本的には選択を認めてあげることがポイントなので、子どもが「これ!」と選んだ物に対して、まずは「いいね!」と認めてあげるところから気軽に使ってみてはどうでしょうか?
何かを選ぶとき、間違いも正解もないとわかっていても、「この選択でいいのかな…?」とドキドキしてしまうこともありますよね。まずは選んだ物を「いいね」と認めてあげることで、「自分が好きな物を選んでいいんだ」「自分の選択は尊重されるんだ」ということを実感させてあげましょう!
ママは子どもの選択を尊重する習慣を身に付け、子どもは自分の選択に自信と責任を持つことを学ぶ。親子で一緒に成長していきたいですね。
ライター 三枝 由里香
東京の企業でマーケティング業務に携わった後、新規事業立ち上げメンバーとして台湾に駐在。5年間の台湾生活を経て、2012年から2017年までニューヨークの出版社に勤務。現在は、台湾系アメリカ人の夫とともに、3歳の娘を日英中のトライリンガルにするべく、家では中国語、外では英語、ママとは日本語というトライリンガル子育て奮闘中。