子どもが家事を手伝いたがるのは、親の負担を減らしてあげようという労働力としての意識からではありません。 大人が毎日やっている魔法のような作業を、自分もやってみたいという純粋な知的好奇心と、家族の輪に参加したいという強い欲求の表れです。
大人は結果を求めますが、子どもは手先を動かし、新しい道具に触れるプロセスそのものを楽しんでいます。 まずは、お手伝いを家事の一部ではなく、立派な遊びであり学習の場なのだと捉え直すことが大切です。
忙しいときほど、自分でやった方が早いからと子どもの申し出を断ったり、途中で手を出してしまったりすることがあります。 しかし、やりたいという意欲を何度も否定されると、子どもは次第に自分から行動することをやめ、指示待ちの姿勢になってしまいます。
大人の効率を優先して先回りすることは、子どもが自分の力で生活の術を学び、自立へと向かう大切なステップを根こそぎ奪ってしまうリスクがあるのです。
卵を割って殻が入ってしまったり、洗濯物をぐちゃぐちゃに畳んでしまったり。 結果的に親の仕事が増えることになっても、その失敗こそが子どもにとってはかけがえのない学びになります。
どうすれば次はうまくいくのかを考え、手先の力加減を調整する。 その試行錯誤の過程は、大人が完璧にやって見せるだけでは決して身につきません。
仕事が増えることを恐れず、失敗する権利を子どもに与えてあげてください。
お手伝いの仕上がりが大人の基準に達していなくても、やり直したりダメ出しをしたりするのは少しだけ待ってみてください。 大切なのは、家族のために役に立ちたい、自分にもできるという意欲を認めることです。
不格好に畳まれたタオルも、こぼしながら運んでくれたお水も、ありがとうと笑顔で受け取ることで子どもの心に強い自己肯定感が育まれます。 プロセスを承認された経験は、やがて困難なことにも挑戦するたくましい心を育てます。
とはいえ、時間に追われている平日の朝や夕方に、寛大な心でお手伝いを見守るのは至難の業です。 どうしても余裕がないときは、今は急いでいるから週末に一緒にお願いね、と別の機会を約束しても問題ありません。
休日の少し時間のあるときに、汚れてもいい環境を整えて一緒に料理や掃除に取り組む。 少しの心の余白を持つだけで、お手伝いの時間はイライラするものではなく、家族の温かいコミュニケーションの場へと変わります。

子どものお手伝いにヒヤヒヤして疲れてしまうのは、あなたが毎日家族の生活を支えるために、効率よく家事をこなそうと一生懸命に動いている真面目な親御さんだからです。
散らかった床を拭き直す手間は増えるかもしれませんが、その時間は子どもの生きる力を育てるための確かな投資になります。 次に小さな手が手伝いたいと伸びてきたときは、効率という大人の時計を少しだけ外して、ありがとうと頼りにして、その誇らしげな笑顔をしっかりと目に焼き付けてくださいね。
ライター / 監修:でん吉(保育士)
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