子育てをしていると、子どもに怒ってしまうシーンって多々ありますよね。
幼児を子育て中のわが家でもしょっちゅうです。
子どもの「怒らないで」という声に、なんとなくきまり悪く感じつつ、原因はあなたでしょ、とも思ってしまう…。
しかし、元精神科医とカウンセラー夫妻の共著である、『ママ、怒らないで。[新装改訂版]』(ディスカバー・トゥエンティワン)では、冒頭で
「ママ、怒らないで。」という声は、我が子の声であり、小さい頃のママ自身の声でもあると言われたら、どのような気持ちが湧くでしょうか
…と、問いてきます。
さらには、「子どもには何ひとつ問題はない」と断言も。
それでは、私はいつもいったい誰の何に怒っているの…?
読み始めから気になって、内容に引き込まれていきました。
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この本では、カウンセラーと相談者の対話形式で、子育ての根本的な"しんどさ"の原因を探っていきます。
内容は骨太ですが、かわいらしいイラストページも多く読みやすいのが特徴です。
カウンセラーの優しい語りかけに、読んでいる自分自身がセラピーを受けているような感覚に。
また、心理分析のキーワードも多く解説されているのも興味深いところ。
『アダルト・チルドレン(AC)』『インナー・チャイルド(内なる子ども)』など、気になるキーワードを通して、自分自身の子ども時代や子育てって「どうかなあ」と思い起こしながら読み進められます。
本書の中で、親がイライラするところには、必ず『心の詰まり』があると解説しています。
多くのママたちは幼い頃から我慢すること、自分の気持ちよりも相手や周りを優先することがよしとされる中で育つことで、心を詰まらせるパターンが身についているのだそう。
そして、その『心の詰まり』の種は、子どもの頃から植え付けられた「親子間の上下関係」にあるとのこと。
「親の言うことは正しい」
「親の言うことは聞かなくてはいけない」
しかし、そうなると親子間の「対等性・平等性」が失われてしまい、親の理想や期待、しつけの一方的な押しつけが当たり前となってしまい、子どものペースや意思への尊重が欠けてしまうそう。
親であるわたしたちは自身もそのように育てられてきているため、自分の子どもにもそのような考え方を押しつけてしまいがち…でも、その押しつけによって子どもは自分らしく生きられない。それはわたしたち自身の子どものときもそうだった…。
これがまさに先述の、子どもからの「ママ、怒らないで。」という声が「小さい頃のママ自身の声」だという理由だったんですね。
「親の言うことを聞く」のは当たり前だと思っていた考え方が、実は自分自身の『心の詰まり』の種で、そのため思い通りにいかない子どもの様子にイライラしたり怒って自己嫌悪になっていたとは!
振り返ると、確かに子どもの意思より「こうしなさい」を優先して子どもに怒ってばかりだったと反省…。
そして反発してくることは、子どもの「わがまま」だと思っていたことにも。
「ママに認めてもらいたい」という子どもからの必死なメッセージなのに、そのことに気づけず「ごめんね」という気持ちに。 この本を読むことで、大切なことにたくさん気づかされました。
読み終えて、子育てをしながらずっと引っかかっていたものが何か少しわかった気がしました。
子どもを持ち、初めて「親」になり、親としての自信や自覚がまだ中途半端でありながらも、わが子に「こうしなさい」「それはダメよ」と怒る違和感…。だから、子どもから「怒らないで」と言われたときに「きまり悪さ」を感じていたのかも知れません。
自分が自分の親に感じていた「親とは絶対的な存在」という強烈な思い込みが、知らず知らず自分自身のプレッシャーにもなっていたのではないかとも感じました。
だからこの本の「ママは、万能な存在でなくていい」という言葉に、正直気持ちが軽くなりました。
一冊を通して、改めて「親とは」「家庭とは」と考えさせられつつ、子どもが子どもらしく生きられるように「押しつけ」ではない声かけをする大切さも理解できました。
それだけでも、親としての自信を少しだけつかめた気がします!
子育てだけでも十分ハードなのに、先が見えないコロナ禍で我慢ばかりの日々…「子育て、ちょっとしんどい…」と思っているかたこそ必読の一冊です!
『ママ、怒らないで。[新装改訂版]』
著者:斎藤裕・斎藤暁子
発行:ディスカバー・トゥエンティワン
定価:本体1,650円(税込)/単行本(ソフトカバー)・Kindle版(電子書籍)
【わたし的評価】
満足度 ★★★★☆
実践度 ★★★☆☆
読みやすさ ★★★☆☆
わかりやすさ★★★☆☆
ライター 河瀬 みこと
大学卒業後16年間、教育関連企業で編集・マーケティング業務を担当。第一子妊娠時に退職。その後保育士資格を取得。二児の姉妹を育てながら、編集・ライター業に邁進中。
2023年春より、念願の「食堂+寺子屋 nuinu(ぬいぬ)」開業。
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