子どもの「赤ちゃん返り」への対応｜保育士が教える、上手な関わり方

1. 赤ちゃん返りの心理的な要因を理解する

赤ちゃん返りへの対応で大切なのは、まずはその心理的な要因を理解することです。

下の子の誕生や、転園・転校など環境の変化は子どもの心に大きな影響を与えます。「パパやママに愛情を取られるかも」「自分の居場所がなくなるかも」。そんな不安から、子どもは赤ちゃんのように振る舞うことで、愛情を求めようとするのです。

園でも、子ども一人ひとりの状況を把握し、心の変化に目を配るようにしています。ご家庭でも「どうしてそんな風になったのかな」と、子どもの内面に思いを馳せてみてください。

赤ちゃん返りの背景にある子どもの気持ちに気づくことが、対応の第一歩となります。

赤ちゃん返りの子どもには、何より気持ちを受け止めてもらうことが大切です。「寂しかったんだね」「不安だったんだね」と、子どもの感情を言葉にしてあげましょう。

園でも、子どもの気持ちを代弁し「大丈夫だよ、先生がいるからね」と安心感を与えるようにしています。抱っこをしたり、スキンシップを取ったりと、愛情を示すことも効果的。お子さんの「愛されたい」という気持ちに応えてあげてください。

受け止めてもらえる安心感が、赤ちゃん返りの行動を少しずつ和らげていくはずです。

赤ちゃん返りの子どもには、上の子としての自覚を促していくことも大切なポイントです。「こういうときはこんなふうにしてくれると、ママは助かるなぁ」と、優しく声をかけてみましょう。

園でも、子どもの成長を認め「もうすぐ年長さんだね」など、上の立場としての意識づけを心がけています。下の子の世話を手伝ってもらったり「お兄ちゃんにできることは何かな」と投げかけたりします。年上らしい行動を期待することで、子どもは自然と赤ちゃん返りから卒業していくものです。

子ども自身が成長する力を信じて、後押ししていきましょう。

「赤ちゃん返りしちゃってまた世話が大変に…」そう嘆くママやパパの気持ちはよくわかります。でも、そんなときこそ子どもの小さな成長を見逃さず、認める言葉かけを心がけることが大切です。

保育士も、子どもたちのちょっとした頑張りに「すごいね、よくできたね」と、進歩を褒めるようにしています。ご家庭でも「前よりしっかりしてきたね」「ママを助けてくれてありがとう」など、子どもなりの成長を言葉にしてあげましょう。

小さな一歩ひとつひとつを認めてもらう経験の積み重ねが、子どもに自信と安心感を与えるのです。

赤ちゃん返りの子どもへの対応は、周りの力も借りてみてください。保育園や幼稚園の先生、友だちなど、子育ての悩みを共有できる相手を見つけてみてください。同じ悩みを抱える仲間の存在は、ママやパパにとって心強い味方になります。

子育て支援センターや臨床心理士など、専門家のアドバイスは新しい視点や具体的な対応策のヒントをくれるかもしれません。みんなの知恵を借りながら、赤ちゃん返りを乗り越えていく。そんな協力体制作りも、上手な関わり方の一つだと思います。

赤ちゃん返りは、多くの子どもが経験する成長の過程。大切なのは、その心理的な要因を理解し、子どもの気持ちに寄り添うことです。

上の子としての自覚を促しつつ、成長を認める言葉かけを心がけること。そして、周りのサポートを得ながら、ゆっくりと子どもの適応を支えていくこと。その積み重ねが、赤ちゃん返りを乗り越える力になります。

愛情が自分に向かないことに戸惑う姿、不安な表情。そこから、改めて少しずつ「お兄ちゃん、お姉ちゃん」への一歩を踏み出していきます。ご家庭でも、焦らず、子どもと向き合ってあげてくださいね。

ライター / 監修：でん吉（保育士）