子どもから「保育園行きたくない」「幼稚園休む」と言われて困った経験はありませんか?登園拒否をされると園で何かあったのではないかと心配になる保護者の方も多いでしょう。
登園拒否で考えられる原因や、どうやったら登園できるのか…などの対処法を横浜市の認可保育所「ちいさなたね保育園」施設長・安江文子先生に伺いました。
子どもの「行きたくない」には必ず理由があります。
それがどんな理由であっても、まずは親がきちんと子どもに向き合って話を聞いてあげるようにしましょう。
親の立場としては「今日は休んでいいよ」と気軽に言うことはできませんが、子どもが安心して「行きたくない」と気持ちを伝えられる、心のよりどころになることが大切です。
今回はよくある「行きたくない」の理由3パターンについて解説します。
朝の忙しい時間にじっとテレビやYouTubeをじっと見ていてくれると、親としては助かりますよね。
とはいえ、ご飯ができたから「はい、テレビ消して」「タブレットをしまって」といわれても、幼児期の子どもというのは自制心を育んでいる段階。遊びを止めることはなかなか難しいものです。
そんなときは「10分見たら支度をする」「朝は見ない」などのルールを事前に決め、守れるように取り組んでみてください。
就学前の年齢の子どもは時計を読める子も増えてくるので、「あと5分したら来てね」など伝えるようにすると、見通しを持って行動できる力がつきますよ。
園に行きたくない理由が「苦手な子がいる」「楽しくない!」とわが子に言われたら、その話を真剣に聞き、まずは「そうだね、やだね」と受け止めてあげましょう。
保育園・幼稚園は小さな社会です。相性が100%いい子というのはいませんし、全員と仲良く遊ぶ必要もありません。
ぜひ「苦手な子と無理して遊ばなくてもいいんだよ」と伝えてあげてください。
ただし、そのうえで社会にはいろんな子がいるということを体験から知ることも大切です。自分と違っていても相手を認めてあげられることができるようになっていけば、素晴らしいですよね。
また年齢が上がってくると言葉のボキャブラリーが増え、いろんな理由で行きたくないと言うことが増えてきます。ですがそれが100%真実かというと、実はそうではありません。
それは子どもが嘘をついているからではなく、幼児というのは視野がまだまだせまく「自分都合」の発言になってしまうからなのです。
たとえば「お昼寝が嫌だから行きたくない」と言ったとして、よく話を聞いてみるとそれ自体が嫌なのではなく「お昼寝している間になにか楽しいことが起こったら嫌」というようなことも多々あります。
園に行きたくない理由は子どもによってもさまざまですが、もし実際にお友達とのトラブルなどがあった場合、先生に相談するのが一番です。
子ども同士の相性の他にも、「急にずっと前に起きた嫌なことを思い出した」など一過性の問題もあるので、あまり気にしすぎないようにしましょう。
意外かもしれませんが、朝起きて着替えられないから、という理由で行きたくないという子も多いんです。
1歳半から2歳くらいはお気に入りのパジャマを脱ぎたくないという子もいます。
3歳くらいになると自分で身支度をするようになりますが、ダラダラとして進まなくて親がイライラすることもありますよね。
園の方針にもよるかもしれませんが、親子で朝から大喧嘩をして大変な思いをするよりは、パジャマを着て来ても構わないというところも多いのではないでしょうか。
園では周囲にお気に入りのパジャマを見せて満足するのか、素直に着替えてくれることがほとんどです。
そして、こういうのは本当に一時的なものです。成長とともに頻度は減っていくので朝の着替えがなかなか進まない時は「今日はもうパジャマでいいや」くらいの気楽な気持ちでいてもいいかもしれませんね。
ご紹介した内容の対処をしても子どもが登園したがらないときに、親はどうすればいいのでしょうか。
たとえば登園の途中に楽しみを見つけるのも1つの方法です。
通園路に「かわいい犬がいるおうち」「きれいなお花が咲いている木」などポイントを親子で見つけて、そこを通ることを楽しみにしてしまいしょう。
ほかには「人気のおもちゃも遊び放題だよ」と普段より早朝に行こうと誘ったり、時計が読める子には「〇時までに行こうね」と伝えたりするなどいろんな工夫ができます。
それでも「行きたくない!」と手に負えないときは、とにかくなんとか園まで連れて行きましょう。
先にも触れましたが、準備が遅かったり着替えるのが嫌だとぐずればパジャマのままでも構いません。
おもちゃを持って来たっていいですし、朝食のスプーンを持ったままでもいいのです。
なんとかして連れてさえ来れば、あとは保育士にバトンタッチしてください。
園に来てしまえば、子どもは自然に遊び出すもの。全部しっかり準備しなくてもいいので、まずは連れてくることを最優先に考えてくださいね。
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教えていただいたことのほかにも、親と離れるのがさびしかったり、月曜日などのお休み明けは行きたくなかったり…。登園拒否の理由は、一つだけでなく複雑に重なっている場合もあるかもしれませんね。
どんな理由であっても、子どもの話を受けとめたうえで愛情をもって対処してきたいものですね。
ちいさなたね保育園・施設長 安江文子
横浜市で子育て支援を行うNPO法人びーのびーので、子育て広場などの勤務を経たのち、2015年より保育園「ちいさなたね保育園」で園長(施設長)を務めています。子どもへの温かなまなざしを持ったアドバイスが魅力です。
ライター 松永あつこ
目が合うと即座に変顔をしてくれる5歳と、ごはんは口に運んでもらう主義の3歳の女の子のママ。主に育児・教育系メディアの編集&ライターをしています。趣味はファミキャン!将来の夢は家族でオーロラを見に行くことです。