「いい子ですね」と言われるより、わが子らしさを大切にしたい話

「いい子ですね」と言われるより、わが子らしさを大切にしたい話
「いい子だね」と言われるよりも、「この子らしいね」と笑える関係をつくりたい。 保育士の視点から、子どもの“本当の育ち”に寄り添うヒントをお届けします。
目次

「いい子」って、誰にとっての?

「この子、いい子ですね」 そんなふうに言われると、親としてちょっと誇らしい気持ちになりますよね。

静かに座っていられたとき、先生の話をよく聞けたとき、みんなと同じように行動できたとき…。 確かに、集団の中でスムーズに過ごせる力は大切です。

でも、ときにはふと、こう思うことがあります。

「“いい子”って、誰にとっての“いい子”なんだろう?」「“いい子”でいようとして、無理をしていないかな?」

保育の現場で何年も子どもたちと関わってきた中で見えてきたのは、子どもが本当に伸びていくのは「いい子でいなさい」と言われるときではなく「あなたらしくいていいんだよ」と受け止められるときだということ。

今回は、“いい子”に見えることよりも、“この子らしさ”を大切にすることの意味を、保育士としての視点からお伝えします。

1.「いい子」は“外からの評価”、子どもらしさは“内からの輝き”

「いい子」と言われる子の多くは、大人の指示をよく聞き、空気を読み、トラブルを起こさずに過ごせる子です。 でも、それが「自分の気持ちを抑えてでもそうしている」のだとしたら、どうでしょうか?

子どもはとても敏感です。 大人の顔色を見たり、場の雰囲気を感じ取ったりする力は、思っている以上に鋭いものです。

「こうすれば褒められる」とわかると、自然と“期待される自分”を演じてしまうこともあります。 その一方で“この子らしさ”は、周囲の評価とは関係なく、その子の中にある個性や感性のことです。

好きな遊びに没頭する姿、思わず口ずさむ歌、何気なく口にするひと言に、その子だけの魅力があふれています。 大人の期待に合わせることよりも、その子が自分の感情や考えをのびのびと表現できているかどうか。

そこに注目してみると、子どもが本来もっている“育つ力”が見えてきます。

2.「困らない子」にするより、「困ったときに助けを求められる子」に

ときどき「困らないように育てたいんです」と話す親御さんがいます。 その気持ちはとてもよくわかります。

誰だって、わが子がトラブルに巻き込まれず、平穏に過ごせたらと願いますよね。 でも現実には、子どもも大人も、困ることや失敗することは避けられません。

むしろ、そうした経験の中でこそ、人は大きく育っていくのです。 “いい子”でいることを最優先にしてしまうと、子どもは「困ったとき」に声をあげにくくなることがあります。

「わがままだと思われたくない」「怒られたくない」 そんな思いが、助けを求めるチャンスを奪ってしまうのです。

大切なのは「困ってもいい」「助けを求めていい」というメッセージを、日常の中で伝え続けること。 「わからないって言えてえらいね」「今は悲しい気持ちなんだね」と受け止めてもらった経験が、子どもの“生きる力”を支えていきます。

3.周囲と比べるより“昨日のわが子”と比べてみる

「あの子はもうひらがなが書けるらしいよ」 「お兄ちゃんのときは、もっとしっかりしてた気がする」

そんなふうに、ついほかの子と比べてしまうことってありませんか? でも、本当に大切なのは、その子の中での“昨日からの成長”です。

「昨日は着替えに10分かかっていたのに、今日は8分でできた」 「先週は言葉にできなかった気持ちを、今日は少し話せた」

そんな小さな変化を見つけて「できたね」「頑張ってたね」と声をかけてあげること。 それが「自分らしくいていいんだ」と感じる土台になります。

子どもには、それぞれの“育つペース”があります。 比べる相手は、周りの誰かではなく、昨日のわが子。

そう思えたとき、親自身の心もふっと軽くなります。

4.「いい子」は我慢しがち

保育園でも、“いい子”でいることに慣れている子は、静かで手がかからない反面、本音を言うのが苦手なことがあります。 「先生、本当はこうしたかったんだよね」と、帰り際にポツリとつぶやく。

そんな姿を見ると「今日はよく頑張ったね」と心の中で抱きしめたくなるのです。 “この子らしさ”を大切にしている家庭では「本当はおままごとしたかったの?」「そう思ったんだね」と、気持ちの根っこに寄り添うやりとりが日常にあります。

たとえ親にとって予想外の発言や行動でも、それをすぐに直そうとせず「そうなんだ」と受け止めてみる。 それだけで、子どもの心はふっとゆるみます。

我慢を覚えることよりも、安心して本音を言える力こそが、将来人間関係を築いていく上での土台になります。

5.「あなたはそのままでいい」と伝えられる家庭に

「いい子」にならなければと頑張っている子どもにとって、一番安心するのは「あなたはあなたのままでいい」と伝えられることです。

何かができたときにだけ褒めるのではなく、ただそばにいるだけで「うれしいよ」「大好きだよ」と言ってもらえること。 保育園で、お迎えに来たママが「今日も元気だったね。うれしいなぁ」と笑顔で声をかけているのを見て、子どもの目がパッと輝くのを何度も見てきました。

子どもにとっての一番の安心は「そのままの自分で、大丈夫」と感じられること。 “この子らしさ”をまるごと受け止めてくれる大人がいること。

それが、子どもの心をのびのびと育てていくのです。

まとめ

“いい子”でいようとする子どもの頑張りに気づいたとき、そこにある小さなサインを見逃さず、“その子らしさ”に目を向けてあげてください。

ありのままを受け止められた子は、自分の軸を持ってしなやかに育っていきます。 大人にとっても、完璧でなくていい、比較しなくていいと感じられるとき、子どもとの関係がぐっと温かくなります。

“いい子”より“その子らしい子”。 そんな子育てを、一緒に目指していけたらうれしいですね。

ライター / 監修:でん吉(保育士)

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執筆者

保育士 でん吉

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