3~6歳。この時期の発達の大きな特徴は「子ども同士の関わり」
今まで大人と子どもという主に庇護される関係が中心だった世界から、子どもと子どもという対等な関係が生まれてくるのがこの時期の特徴です。
それにより、相手にも気持ちがあることや、相手と自分の気持ちを調整しなければならないこと、何か問題があったら話し合って解決するという社会性を子どもたちは少しずつ学び始めます。
そして、みんなの中の「ボク、ワタシ」を認識し、自我を確立しながら様々な力を獲得していきます。
2歳児の語彙数の目安が300~500とすると、5歳児は2000語以上。3年間でいかに語彙を獲得していくかがよくわかります。
また「おなかがすいたらどうする?」という問いに対して「ごはんを食べる」という、『~の時は…する』という一般化ができ始めるのが3歳後半ごろ。そして、『もし~だったら』という仮定の思考ができるようになるのは4~5歳くらいの時期。
そんな風に少しずつ物事を複雑に理解、思考する力を獲得していくことで、学童期にむけての基礎が作られていくのです。
また、4歳後半以降になると「~だけど・・・する」というようなネガティブな感情をコントロールしながらポジティブな成果にむけての行動をとろうとするという意欲が見えるようになります。ただし、この行動はスムーズにいかず、「できない」でも「やってみよう」、でも「できない」と、心のゆれが見えるように。この心のゆれとはいわゆる葛藤で、むしろ「葛藤できるようになる」という一つの成長なのです。
土踏まずが形成されるのが3歳のころ。この土踏まずがアーチ型のクッションの役目を果たし、跳んだり、跳ねたり、ヨーイドンで瞬発的に走ったりする動きを可能にします。
そして4歳ごろになると片足を上げながら前に進むケンケンができるように。ケンケンとは「片足をあげながら前に進む」という2つの異なる動作を一つにまとめあげる動き。この「~しながら…する」という動きを獲得することによって、多様な動きにつながり、はさみで紙を切るといった二次元可逆操作がどんどん可能になってきます。
こんな風に、たくさんのできることが増えていく反面、ほかの子に比べて「あれ?もしかして苦手?」と気づくことが増えていくかもしれません。
そんなときに大切にしたいのは「その子の好きな遊び」。そして親はわが子がどんなことが好きなことなのかをじっくり観察して把握しておくことが重要となります。
というのも、何か苦手を発見したとき親はそれを克服しようとやっきになってしまいますが、子ども自身にとってはとても辛い経験となり、自信を失ってしまうことになるからです。
この時期にもっとも大切なのは「達成感、成功体験、自信」です。ですから、得意なこと、好きなものを伸ばして、子どもがどんどん自信をつけていくことのほうが大事なのです。そして、自信がつけば、苦手なことにも挑戦する意欲がわいてくるというわけなのです。
この時期苦手かも?と気づいたとき、もっとも悩むのは「お友だちとの関わり」かもしれませんね。
これについては、親だけで解決するのはむずかしいもの。園の先生に「お友だちの関わりにおいてサポートしてほしい」と話しておくのは大切です。
そのときに、わが子の好きなことや得意なことを説明しておきましょう。他の子たちを巻き込むように配慮する際に、好きなことや得意なことをきっかけにするとうまくいくことがとても多いものなのです。
自我が目覚め、好きなことや得意なこと、反面嫌いなことや苦手なことも出てくる3~6歳。達成感や成功体験を通して「ボク、ワタシはできる、だいじょうぶ」という自信が、広がった人間関係、そして社会の中での生き抜く力の土台を作っていきます。
親は、苦手なことに注目するよりも、わが子の得意なこと、好きなことにぜひ目を向けていきましょう。壁にぶつかったとき、子どもがその壁を乗り越えていく力を育んでくれるのです。