全身運動、手指の操作、言語、認識。3~6歳の時期は園生活などを通じてできることがどんどん増えていきます。
でも同時に他の子どもと比べて「あれ、うちの子、もしかして苦手…?」と気づくことも。
そんなときについ焦ってしまうのが親心でもあり、子どもの将来を思ってどんどん不安になってしまうことも。
そんなときに親としてどう対応したらいいのか、発達心理学の専門家でもあり、保育施設などでのフィールドワークもされている、河原紀子先生に3~6歳の子どもたちについて詳しく教えてもらいました。
年少、年中くらいになると、子どもたち一人一人がその子にとっての好きな遊び、楽しく感じる遊びというものが出てきます。
体を動かすのが好きな子、絵を描くのが好きな子、ブロックで何かをするのが好きな子、詩を歌うのが好きな子・・・。
その遊びは、都度変わっていくかもしれません。それでもまったく問題ありません。
うちの子はどういうことをしているときが楽しいのかな? どんな遊びが好きなのかな?
観察しながら、親子でいっしょに楽しんでください。
大好きな親といっしょなら、子どもはどんどん楽しくなります。
あるいは、こんなのはどう?と、親が新しい遊びに接するチャンスを提供してみてください。
好きなこと=夢中になれること。
このあと小・中・高~と成長していく過程においても、そのことが、子どもにとって心のよりどころにもなっていくことも多いのです。
そして好きなことは、得意なことにつながりやすくなります。
あれ、かけっこが遅い? 手先がもしかして不器用…?
この時期さまざまな経験をする中で、「うちの子、これ苦手なのかも」と気づくことってありますよね。
そんなときに、親としてはその苦手なことにばかり注目して、やっきになって克服しなきゃと思いがちです。
でも、まだまだ子どもは成長著しい時期。ちょっとしたきっかけで変わることは大いにあります。
うちの子、これ苦手かな?と思ったら、苦手なことのなかのつまずいている部分がどこなのか、じっくり観察してみるのもいいかもしれません。
そのつまずきの部分をさりげなくサポートしてあげたり、ちょっとしたきっかけで、克服していくというのはよくあることです。気長に待つことも大切です。
でも、苦手を克服しようとそればかりすると、子ども自身にとってはとても辛い経験となり、自信を失ってしまうことになります。
親としてもつい気になってガミガミ言っちゃったり…反省です
それよりも、得意なこと、好きなものを伸ばして、子どもがどんどん自信をつけていくことのほうが大事です。
自分はできる!と自信がつけば、苦手なことにも挑戦する意欲がわきます。
苦手なことに目を向けるより、好きなことに目を向ける。
親としては簡単なことではありませんが、それが結果的に苦手を減らすことにもつながるのです。
いっぽう、この時期もっとも悩むのは、お友達との関わりが苦手かもということかもしれませんね。
『3~6歳。この時期の発達の大きな特徴は「他者との関わり」』の回でも話した通り、この時期はお友達との関わりが、その子の成長にとっても不可欠ではあります。苦手だからといって関わらなくてもいいとはなかなかいえません。
でも、これについては、親だけで解決するのはむずかしいものです。
ぜひ、園の先生に「お友達との関わりにおいてサポートしてほしい」と話しておきましょう。
そんなときも、子どもの好きなことや得意なことがカギになります。
お友達の関わりにおいても、その子が得意なことや好きなことが友だちとかかわるきっかけになることは多いものです。
園の先生にわが子の好きなことや得意なことを説明しておきましょう。
その子が輝ける舞台を用意して、他の子たちを巻き込んでいけるように配慮してくれるかもしれません。
そんな風に考えると、あらゆるシーンで、好きな遊びや得意なことは子どもにとっての大きな強みになるといえるのです。
できないことばかり気になりますが、できることに目を向ける。それが一番大事なんですね!
参考文献:「0~6歳 子どもの発達と保育の本(第2版)」(監修・執筆/河原紀子 執筆/港区保育を学ぶ会 学研プラス)
責任編集:おやこのくふう編集部
共立女子大学家政学部児童学科教授 河原 紀子
博士(教育学)。専門は発達心理学。著書に「0~6歳 子どもの発達と保育の本(第2版)」(共同執筆・学研プラス)、「子どもと食:食育を超える」(共著・東京大学出版会)、「ヒトの子育ての進化と文化」(共著・有斐閣)などがある。自身の研究や保育者養成の立場より、保育施設でのフィールドワークにも力をいれている。二人のお子さまのママでもある。
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好きなことって、子どもだけでなく大人だって、心のよりどころとして自分を救ってくれるものですね