6月も3週目に入り、梅雨入りする地域も徐々に増えてきました。
雨が続くと、小さな子どもがいる家庭では、外に出られず室内で過ごす時間を持て余して大変…となりがちですが、たまには雨のお散歩に出てみるのも気分転換になりますよ。
園舎をもたず、自然保育を実践する「森のようちえん さんぽみち」の園長"のんたん"こと野澤俊索さんに、雨の日や雨上がりの外遊びについて教えてもらいます。
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しとしと雨の日が続く梅雨。日本の四季は、春、夏、秋、冬ですが、季節はそれだけではなくて、その境目にもっとたくさんの顔をもっています。
春の訪れも、芽吹きの早春の季節から、桜が咲き誇り、花がいっぱいになる春真っ盛りの季節になり、そして葉っぱが徐々に色濃く変わり日差しが強くなる初夏へと移ろいます。その後に来るのが梅雨の季節で、これが過ぎると夏がやってきます。
春に萌え出た葉っぱが、梅雨の雨にあたり勢いを増して、夏には力強い木々の姿に成長します。園に通う子どもたちの成長もこのサイクルに似ています。
新学期、新しい環境に変わって、成長の芽が出てきた子どもたち。ちょうど3か月目に入る6月は、環境にも慣れてきて、友だち関係や園生活も落ち着きを取り戻していくころです。じっくりと物事に取り組んだり、ゆっくり時間を過ごしたりすることができる状態となり、何か新しいことを始めるのにも適している時期です。
雨が降ってきたら、ぜひ外遊びをおすすめします。
子どもたちが遊ぶときは、両手をつかいます。雨の外遊びは、傘を持たないで、カッパを着るとよいでしょう。上下セパレートのカッパなら、動きやすくて思う存分遊ぶことができます。
雨の日には、晴れた日にはない特別なことがいっぱいあります。大きな水たまりはそのひとつ。飛び込んだり、跳ねたり、走ったり、かき混ぜたり。子どもたちは水しぶきをあげることや、その水しぶきを浴びることが楽しくて仕方ありません。
まず体を動かしたあとは、じっと水たまりをのぞいてみましょう。水に泥が混ざって、いろいろな模様を描き出しています。そのうち、手や棒を使って、かき混ぜたり、こねたり、持ち上げたりが始まります。泥遊びの始まりです。
2~3歳の小さい子は、水たまりの中にどかっと座ってしまうかもしれません。子どもたちは、そのうちお尻に水がしみてきて、じわーっと濡れていくその感触を「おもしろい!」と感じているのかもしれません。たった一つの水たまりでも、普段できないような遊びを、こんなにたくさんすることができるのです。
雨の中を、お散歩して歩けば、たくさんの雨のしずくを見つけることができます。雨上がりに太陽の光を浴びてキラキラ光るしずくは、まるで宝石のよう。この時期に新芽や花を出す木々もたくさんあります。
そんな木があるところでは、雨があたって、さわやかな香りがあたりに満ちています。雨が降ったあと、木々は生き生きとして生気に満ちあふれています。
雨の中をお散歩するのが苦手ならば、まずは雨上がりに外遊びをしてみるといいかもしれませんね。そんな時は、大きな虹が空にかかっているかもしれません。
幼児期は脳の神経回路が発達する重要な時期です。この時にたくさんの五感への刺激を得ることで、心身の健康な発達を促すことができます。
雨の日や雨上がりは、普段感じられないような刺激がたくさんある環境です。だから、子どもたちは雨の日が大好き。まるでその環境で遊ぶことが自分を成長させることを知っているかのように、喜々として泥遊びに没頭します。
子どもたちにとって、雨にあたることは悪いことではありません。むしろ健康な成長のためには必要なことだと思います。
しかし雨にあたった後に体が冷えると体調を崩してしまいます。大切なのは、濡れよりも、冷えを予防すること。親子で出かける場合、風が強かったり、気温が低かったりするときは、あまりおすすめしません。比較的気温が高くて、しっとりと降る雨が、外遊びのやりどきです。
そして帰ったら着替えをしたり、すぐお風呂に入ったりして体を温めましょう。また安全面から、豪雨が予想されるときや川や池の近くでの雨遊びも控えてください。
環境を選んで遊べば、雨の日の外遊びは、子どもにとって大切な楽しい経験になります。雨は、日本のどんなところに住んでいても平等に訪れる自然の体験です。そして四季を五感で感じる豊かな時間をもたらしてくれます。
小さい時に雨の中で遊んだ経験はまた、大きくなった時には、「少しくらい、濡れてもいいや」という前向きなたくましさに変わるのではないかと思います。人間の心身は、自然に育んでもらうことができるのです。
森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索
NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児25名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは2歳の娘の子育ても楽しみにしている。
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