小学生の苦手な教科にあがることも多い算数。
「私は算数・数学が苦手だったけど、子どもにはそうなってほしくない!」
そう願うパパ・ママも多いかもしれませんね。
わが子を算数が苦手にしないために、親は何ができる?
そのヒントを探して、幼児期から楽しく取り組める算数タブレット教材「RISU算数」の開発者である、RISU Japan株式会社 代表取締役の今木智隆さんにお話を伺いました。
「RISU算数」は、4歳から小学生向けの算数に特化したタブレット教材で(未就学児には年中~年長児向けの「RISUきっず」のサービスあり)、その利用者が難関中学に多数合格、算数オリンピック金メダリストも輩出しているという、いま注目の教材です。
今木さんに、まずはどうして算数が苦手になってしまうのか、その理由から聞いていきましょう。
編集部:「算数が苦手」という子は多いようですね。原因はどこにあるのでしょうか。
今木智隆さん(以下今木):大きな原因のひとつに、算数は「積み上げ型」の教科だという特性があります。たし算、ひき算、かけ算、わり算ができなければその発展である四則混合計算は解けません。
小学生が苦手とする単元に「位」「単位」「図形」の3つが挙げられますが、つまずいた箇所を解決できずにそのまま進んでしまうと、内容についていけなくなり苦手になってしまう傾向があります。
編集部:なるほど。つまり苦手を残さないことが大切なのですね。ただ、国語、英語や体育などに比べて「学校で習う算数って大人になっても役に立つのかな?」と思うことも少なくありません。
今木:そのように思う方はきっと多いと思います。答えから先に言いますと、役に立ちます。それは職業的に将来理数系に進むのがいいという話ではなくて、日常生活の中には数や、算数的考え方があふれているからです。
買い物をするとき、時計を見るとき、電車に乗るとき…日常生活の中で、数や算数の要素から逃れることはできませんよね。数や計算の原則を理解していないと、かなり暮らしづらさを感じるはずです。
編集部:確かにそうですね。数や計算、時計などがわからなければ、まず日常生活が送れませんね。
今木:日常生活の中で幼少期から数に親しむことは、「算数に苦手意識を持たない」ことの土台作りになると言えます。これは算数の勉強に取り組む前のステップとして、とても重要なことです。
編集部:数字や算数に親しむために、具体的に親はどんなことをすればいいのでしょうか。
今木:子どもの興味と、算数を紐づけてあげることが大切です。本、外遊び、ブロック遊び、買い物、天気、料理のお手伝い…なんでも構いません。
たとえばブロック遊びが好きならリアルな立体の「図形」に触れる体験ができますし、電車が好きなら実際に駅に行ってみて、階段の数を数えたり電車の運行間隔を体感したりして、数字や時間の概念に親しむことができます。
編集部:子どもの好きなものに没頭する性質を活かすということですね。
今木:経験や選択肢をいっぱい与えて、子どもの興味を引き出してあげて欲しいと思います。100のうち99は興味を示さないかもしれませんが、興味を示した1のものに対してさらに深堀りをしてあげればいいのです。
編集部:今木さんもやはりそうやって、幼少期にたくさんのものに触れて育ったのですか?
今木:私の子ども時代は、とにかく親にやりたいことをやらせてもらった記憶があります。
天体に興味があったので夜になると星を見に連れてってもらったり、幼稚園の卒園旅行には「ハレー彗星を見たいから沖縄旅行に行きたい」という願いを叶えてくれたり、小さい時からはんだごてを使わせてもらったりと、とにかく興味をもったことにとことん挑戦させてくれました。
編集部:まさに興味を示したものへの深堀りを、ご両親がサポートしてくれる環境だったのですね。それは、いま5歳の息子さんへのご自身の子育てにも生かされていますか?
今木:そうですね。とくに私は外に連れ出すことを大切にしています。近所の公園はもちろん、息子が大好きな電車を見に行ったり、乗ってみたり。
実は先日、こういうことがありました。息子に動く魚を見せてやりたいと水族館に行ってみたのですが、なんと入場から2分で「もういい。見ない。出たい」と言い出しまして…。
親としてはショックでしたが、仕方ないと帰ろうとしたところ、入り口そばにあった循環バスに乗りたいと言い出しました。乗ってみたら大ハマりで、「次のバス停まで何分かな」など話しながら、1周では飽き足らず2周してバス停の名前をしっかり覚えて帰りました。
編集部:それは意外な展開です…!親としては「せっかく水族館に連れてきたのに…」と思ってしまうところですが、子どもは親の思惑通りにはいかないものですね。
今木:そうなんです。でもそれでよくて、水族館を無理やり回らせるなど無理強いしないことが大切だと思います。そして子どもがバスに興味を示したときに「今日はそれをしに来たんじゃない」とか「今忙しいから」と後回しにはしないで欲しいですね。1回の拒絶で興味がしぼんでしまうことは子どもにはよくあることです。
編集部:なるほど。やってしまいがちなシチュエーションですが、親が子どもの可能性を狭めているとしたら、本当にもったいないことかもしれません。
今木:子どもは自分が興味をもったものやリアルに体感したものは忘れません。「好き」にうまく算数を紐づけられれば、それが小学生で算数を勉強したときに、必ず生きてきます。
***
算数の土台作りは幼児期から始められるということがわかりました。
次回は、子どもの「好き」から算数に親しむために、どのように工夫したり声かけしたらいいか、家の中でできる具体的な方法について伺っていきます。
RISU Japan株式会社 代表取締役 今木 智隆
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。
デジタルマーケティング専⾨コンサルティングファームのビービットに⼊社、 ⾦融・消費財・⼩売流通領域のサービスに従事する。2012年より国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。
2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した幼児から小学生向け算数教材でのべ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。著書に『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』(文響社)。
RISU 算数
ライター 松永あつこ
目が合うと即座に変顔をしてくれる5歳と、ごはんは口に運んでもらう主義の3歳の女の子のママ。主に育児・教育系メディアの編集&ライターをしています。趣味はファミキャン!将来の夢は家族でオーロラを見に行くことです。
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