「オルタナティブ教育」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
文科省が定めた学校外での教育のことをいい、その学校独自の教育方針や理論に基づき子どもを教育することを言います。
シュタイナー教育やモンテッソーリ教育などを取り入れた幼稚園や保育園を聞いたことがあるかもしれません。自主性や創造性を育てることを目的に、海外の教育方法を取り入れたり、海外で使われている玩具を用いた保育・教育もあります。
そのような保育・教育を受けてきたことでわが子に成長の手ごたえを感じていても、入学する一般的な小学校は、決められたクラス、決められた教育方法で文部科学省が定めた学習要項に沿った教育を受けることがほとんどです。
そこで注目されているのが、「オルタナティブ教育」です。
「オルタナティブ教育」を受けるには、文科省が定めた学校外での教育を受ける学校や代替的なフリースクールへ通うことになりますが、これからの社会を担う子どもの成長を考え「オルタネイティブ教育」をしている学校を選択する保護者もいます。
「オルタネイティブ教育」とはどのような教育をする学校なのか、メリットやデメリットについて、どのような学校・スクールがあるのかを保育士ライターの炭本まみがご紹介します。
「オルタナティブ」とは、「代替」や 「既存・主流のものに代わる何か」、「もうひとつの」という意味を持つ言葉です。
「オルタナティブ教育」は文部科学省の「学校教育法第1条」に定められている学校ではない学校で教育を受けることという意味になります。
「オルタナティブ教育」を行う教育施設・学校の大まかなイメージとしては、以下のようなことがあげられます。
それでは「オルタナティブ教育」の教育内容の例として、どのような教育があるのでしょうか。
「オルタナティブ教育」を行っている学校での代表的な教育方法の例をご紹介します。
イタリアの幼児教育者である「マリア・モンテッソーリ」が考える教育方法です。
「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」を基本とした教育方法で、子どもの成長発達にあわせた必要な関わりや環境設定を整え、自分でできる喜びを感じることが教育目的の根底にあります。
子どもの成長発達には細かな段階があり、その自然な姿を周囲の大人が知り、段階に合わせた学習環境や課題を用意すること、子どもだからこそ本物に触れ・見せ・感じさせることを大切にしています。
そのような経験を基に子どもが自ら成長し学び、自立をした人間を育てることを目標としています。
「シュタイナー教育」は、1861年にクロアチア共和国でスタートした教育で、哲学者である「ルドルフ・シュタイナー博士」が提唱しました。
基本的には幼稚園から高校まで一貫して「シュタイナー教育」を受けることが望ましいようですが、「オルタナティブ教育」全般に言えることですが、日本にはまだそういった教育施設が少ない現状があるということでしょう。
「シュタイナー教育」の基本的な考え方は、数学や美術の捉え方へとつながる「フォルメン」と、感情を表現し自分以外の他者と調和することを目的にした「オイリュトミー」の2つの方法があります。
0歳〜21歳までを3分割し、発達段階に合わせた教育方法を通し、「身体」「心」「頭」をバランスよく育てることを大切にしています。
「イエナ・プラン教育」は、1924年にドイツのイエナ大学の教育学教授「ペーター・ペーターゼン」が実験校で創始した学校教育で、オランダで発展していきました。
クラス編成は異年齢や縦割りで、子どもの個性を尊重しながら「自律」と「共生」を目指します。
「オルタナティブスクール」は、フリースクールやホームスクール、無認可校のことを言います。
現在の公立校や私立校とは違ったその学校独自の教育方針や考え方を取り入れている学校です。
公立の学校が国内の教育機関のほとんどを占めている国は珍しく、日本では98%以上の学校が文部科学省の認可校です。
ですが、社会の状況が少しずつ変わるとともに、子どもたちの姿や家庭状況、教育に関する考え方も幅広く変化してきており、認可外であっても「オルタナティブスクール」が注目され始めるようになってきました。
また、外国籍の子どもや不登校の子ども、障害やいじめを経験している子どもの居場所としてのフリースクールとしても機能しています。
日本国内では「オルタネイティブ教育」を受けられる学校がまだ少ない状況ではありますが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
「オルタネイティブ教育」のメリットとしては、以下のようなことがあげられます。
「オルタネイティブ教育」のデメリットとしては、以下のようなことがあげられます。
「オルタナティブスクール」は、個々の子どもの姿や成長発達を把握し、クラス編成やカリキュラムに縛られ過ぎず、また、日本古来の教育のように教師が一方的に教え、それを聞いたりノートをとるようなスタイルだけではありません。
どのような子どもや保護者の考え方にマッチするのでしょうか。
事前のリサーチや子どもと一緒に見学を重ね、公立・私立校とあわせて検討することをおすすめします。
*** 「オルタナティブ教育」や「オルタナティブスクール」は、日本ではまだこれからの教育方法ではありますが、多様なニーズに公立校や私立校が応じるのは難しさがあり、文部科学省の教育方針や一斉教育などはすぐに変わってはいかないでしょう。
子どもの姿や社会、そして家庭の教育方針やニーズが多様化する中、オルタネイティブ教育やスクールはこれからますます増えていくことでしょう。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。
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