「オルタナティブ教育」とは?特徴やオルタナティブスクールについて解説

「オルタナティブ教育」とは?特徴やオルタナティブスクールについて解説
学校教育法にとらわれずに独自の教育を行う「オルタナティブ教育」や「オルタナティブスクール」。日本ではどのようなオルタナティブ教育があるのでしょうか。保育士ライターの炭本まみさんが解説します。
目次

「オルタナティブ教育」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
文科省が定めた学校外での教育のことをいい、その学校独自の教育方針や理論に基づき子どもを教育することを言います。

シュタイナー教育やモンテッソーリ教育などを取り入れた幼稚園や保育園を聞いたことがあるかもしれません。自主性や創造性を育てることを目的に、海外の教育方法を取り入れたり、海外で使われている玩具を用いた保育・教育もあります。

そのような保育・教育を受けてきたことでわが子に成長の手ごたえを感じていても、入学する一般的な小学校は、決められたクラス、決められた教育方法で文部科学省が定めた学習要項に沿った教育を受けることがほとんどです。
そこで注目されているのが、「オルタナティブ教育」です。

「オルタナティブ教育」を受けるには、文科省が定めた学校外での教育を受ける学校や代替的なフリースクールへ通うことになりますが、これからの社会を担う子どもの成長を考え「オルタネイティブ教育」をしている学校を選択する保護者もいます。

「オルタネイティブ教育」とはどのような教育をする学校なのか、メリットやデメリットについて、どのような学校・スクールがあるのかを保育士ライターの炭本まみがご紹介します。

「オルタナティブ教育」とは?

「オルタナティブ」とは、「代替」や 「既存・主流のものに代わる何か」、「もうひとつの」という意味を持つ言葉です。

「オルタナティブ教育」は文部科学省の「学校教育法第1条」に定められている学校ではない学校で教育を受けることという意味になります。

参照:学校教育法第1条/文部科学省

「オルタナティブ教育」を行う教育施設・学校の大まかなイメージとしては、以下のようなことがあげられます。

  • 通常の小学校・中学校・高等学校での卒業資格を得られないことが多い
  • 通常の学校と連携している場合は、卒業資格を得られる場合もある
  • 同じ学年のクラス割としている場合が少なく、異年齢・縦割りで過ごすことが多い
  • 決まった時間割を設けていない学校もある
  • 文科省が定める教育方針以外の教育思想を取り入れた教育をしている
教育方法や方針に魅力を感じて通わせている家庭もありますが、いじめや心の問題、障害・不登校などの事情で「オルタナティブ教育」を受けている家庭もあります。

それでは「オルタナティブ教育」の教育内容の例として、どのような教育があるのでしょうか。

「オルタナティブ教育」にはどんな教育方法があるの?

「オルタナティブ教育」を行っている学校での代表的な教育方法の例をご紹介します。

モンテッソーリ教育

イタリアの幼児教育者である「マリア・モンテッソーリ」が考える教育方法です。

「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」を基本とした教育方法で、子どもの成長発達にあわせた必要な関わりや環境設定を整え、自分でできる喜びを感じることが教育目的の根底にあります。

子どもの成長発達には細かな段階があり、その自然な姿を周囲の大人が知り、段階に合わせた学習環境や課題を用意すること、子どもだからこそ本物に触れ・見せ・感じさせることを大切にしています。

そのような経験を基に子どもが自ら成長し学び、自立をした人間を育てることを目標としています。

日本モンテッソーリ協会

シュタイナー教育

「シュタイナー教育」は、1861年にクロアチア共和国でスタートした教育で、哲学者である「ルドルフ・シュタイナー博士」が提唱しました。

基本的には幼稚園から高校まで一貫して「シュタイナー教育」を受けることが望ましいようですが、「オルタナティブ教育」全般に言えることですが、日本にはまだそういった教育施設が少ない現状があるということでしょう。

「シュタイナー教育」の基本的な考え方は、数学や美術の捉え方へとつながる「フォルメン」と、感情を表現し自分以外の他者と調和することを目的にした「オイリュトミー」の2つの方法があります。

0歳〜21歳までを3分割し、発達段階に合わせた教育方法を通し、「身体」「心」「頭」をバランスよく育てることを大切にしています。

日本シュタイナー学校協会

イエナ・プラン教育

「イエナ・プラン教育」は、1924年にドイツのイエナ大学の教育学教授「ペーター・ペーターゼン」が実験校で創始した学校教育で、オランダで発展していきました。

クラス編成は異年齢や縦割りで、子どもの個性を尊重しながら「自律」と「共生」を目指します。

日本イエナプラン教育協会

オルタナティブスクールとは?

「オルタナティブスクール」は、フリースクールやホームスクール、無認可校のことを言います。
現在の公立校や私立校とは違ったその学校独自の教育方針や考え方を取り入れている学校です。

公立の学校が国内の教育機関のほとんどを占めている国は珍しく、日本では98%以上の学校が文部科学省の認可校です。

ですが、社会の状況が少しずつ変わるとともに、子どもたちの姿や家庭状況、教育に関する考え方も幅広く変化してきており、認可外であっても「オルタナティブスクール」が注目され始めるようになってきました。

また、外国籍の子どもや不登校の子ども、障害やいじめを経験している子どもの居場所としてのフリースクールとしても機能しています。

日本国内では「オルタネイティブ教育」を受けられる学校がまだ少ない状況ではありますが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

オルタナティブ教育のメリット

「オルタネイティブ教育」のメリットとしては、以下のようなことがあげられます。

  • 自主性が身につく
  • 子ども本来の力を伸ばす
  • 結果よりもプロセスを大切にする教育が受けられる
  • 異年齢やさまざまな人とかかわるためコミュニケーション能力が育つ
  • 自ら考え問題解決しようとする力がつく
  • 本物に触れる・見る・感じる実践的な教育が受けられ、感性が磨かれる
さまざまな教育方法・方針があるので全てが当てはまるとは限りませんが、大まかなメリットとしてはこのようなことが考えられるでしょう。

オルタナティブ教育のデメリット

「オルタネイティブ教育」のデメリットとしては、以下のようなことがあげられます。

  • 近隣に「オルタナティブスクール」がない・国内には少ない
  • 学費が高額であり全て自己負担である、公的な経済的サポートは受けられない
  • 公立・私立学校とスクールに連携がない場合は卒業資格が得られない
  • 高校生が通える「オルタナティブスクール」が国内に無い
  • オルタナティブ教育がどんな子どもにもマッチするとは限らない
複数あるオルタナティブスクールを選んで入学できるシチュエーションではないという現実がありますが、これから増えていくことも予想されます。

オルタナティブスクールがおすすめのケースとは?

「オルタナティブスクール」は、個々の子どもの姿や成長発達を把握し、クラス編成やカリキュラムに縛られ過ぎず、また、日本古来の教育のように教師が一方的に教え、それを聞いたりノートをとるようなスタイルだけではありません。

どのような子どもや保護者の考え方にマッチするのでしょうか。

  • 子どもの自主性や自立、主体性を育みたい
  • 子ども自身のペースで勉強をさせたい
  • 学区内の学校が肌に合わず、通えない
  • 少人数制の学校へ通わせたい
  • 子どもや家族のニーズや細やかなサポートを得たい
このような方へおすすめです。 ただし、「オルタナティブスクール」にもさまざまなスタイルや教育方針・理念があるので、一概には言えません。

事前のリサーチや子どもと一緒に見学を重ね、公立・私立校とあわせて検討することをおすすめします。

*** 「オルタナティブ教育」や「オルタナティブスクール」は、日本ではまだこれからの教育方法ではありますが、多様なニーズに公立校や私立校が応じるのは難しさがあり、文部科学省の教育方針や一斉教育などはすぐに変わってはいかないでしょう。

子どもの姿や社会、そして家庭の教育方針やニーズが多様化する中、オルタネイティブ教育やスクールはこれからますます増えていくことでしょう。

line
執筆者

炭本まみ

保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。

炭本まみさんの記事一覧をみる

おすすめ記事

「子どもとの暮らし」人気ランキング

うちの子の年齢別情報

おやこの毎日に
役立つ情報をお届けします

facebook instagram