
トイレで排泄するためには、まずおしっこを身体の中に溜められなければなりません。 生まれたばかりの赤ちゃんは反射的におしっこが出ます。 成長とともに膀胱というタンクが大きくなり、ある程度の量を溜められるようになります。
目安はおしっこの間隔が「2時間」ほど空くようになること。 もし30分や1時間おきにおむつが濡れているなら、それはまだタンクが小さい証拠です。 この状態でいくらトイレに誘っても物理的に溜められないので成功しません。
「おしっこ出ないかな」とおむつをチェックして、濡れていない時間が長くなってきたら…それが身体からの「準備OK」のサインです。
タンクに溜まったことを「おしっこしたい」と感じる感覚。 そして「出そうだからトイレに行くまでがんばろう」と我慢する指令。 これらは脳と膀胱をつなぐ神経回路が完成して初めて機能します。
この回路がつながっていないうちは、子ども自身もいつ出たのかわかっていません。 「なんで教えないの!」と叱るのは、泳げない子に「なんで泳がないの!」と怒るのと同じです。
遊びの最中に不意にモジモジしたり股を押さえたりする仕草。 これは「ムズムズする」という感覚を脳がキャッチし始めた証拠です。 この自覚が芽生えるのをじっくり待つことがトイトレの第一歩です。
トイレに間に合わず漏らしてしまった。 親にとっては掃除の手間が増える「失敗」ですが、子どもにとっては貴重な「経験」です。
「あ、出ちゃった」「気持ち悪いな」「濡れると冷たいな」。
この不快感こそが「次はトイレでしよう」という意欲の原動力になります。
今の高機能なおむつはサラサラすぎて不快感を感じにくいのが難点です。 あえてパンツを履かせて濡れる感覚を知ってもらう方法もありますが、それも掃除がストレスにならない範囲で十分です。 漏らした数だけ子どもは身体の感覚を学んでいます。決して無駄な失敗ではありません。

一度外れたと思ったのにまた漏らすようになった。 これはよくあることで私たちも驚きません。 弟や妹が生まれたり引っ越しをしたり、環境の変化やストレスで一時的に赤ちゃん返りをしているだけです。 あるいは遊びに夢中になりすぎて脳の指令を無視してしまうこともあります。
そんなときは潔くおむつに戻しても大丈夫です。 「せっかく外れたのに…」と嘆く必要はありません。 一度できたことは必ずまたできます。 「今は休憩タイムだね」と割り切り、心に余裕ができた頃に再開すれば驚くほどスムーズに進むものです。
トイトレは親が子どもを管理し訓練することではありません。 子どもが自分の身体の機能を獲得していく過程を横で応援することです。
「出たね!すっきりしたね」。
成功したら一緒に喜ぶ。 失敗しても「着替えれば大丈夫だよ」とサラリと流す。
親が眉間にシワを寄せてトイレに誘うと、トイレ空間そのものが「怒られる怖い場所」になってしまいます。
「トイレに行くとママが笑ってくれる」。
その安心感さえあれば、子どもは自分のタイミングで必ずパンツへの一歩を踏み出します。
時期の早い遅いはあっても、誰もが必ず排泄の自立を迎えます。 焦る必要はありません。 今しかないその愛らしいおむつ姿のお尻を、もう少しだけ愛でてあげてください。 身体の準備が整えば、ある日突然あっけなく「パンツ履く!」と言う日が必ず来ますから。
ライター / 監修:でん吉(保育士)
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