大人でも知らない場所に1人で放置されたら恐怖を感じます。 ましてや言葉の通じない乳幼児にとってはかなりの絶望感です。
いきなり長時間預けると子どもは「捨てられた」と誤解してしまい心に深い傷を負うリスクがあります。 そのため、まずは1時間だけからスタートして「ママは必ず迎えに来る」という約束を守る実績づくりから始めます。
泣いてもすぐにお迎えが来る経験を繰り返すことで、保育園は「少し待てば会える場所」だと理解していくのです。
子どもは親以外の大人をすぐには信用しません。 慣らし保育の期間は私たち保育士にとっても勝負のときです。
どんな抱っこが好きか。 どんな遊びで笑わせるか。
短時間のなかで全力で子どもの好みをリサーチし信頼関係の種を蒔きます。 「この人は大丈夫かも」
子どもがそう思えた瞬間に初めて保育園は安全な場所になります。 先生が信頼できるパートナーになるまで時間をかけることは、その後の長い園生活を安定させるための投資なのです。
実は慣らし保育が必要なのは子どもだけではありません。 ずっと一緒にいた我が子と離れる親御さんの心にも大きな負荷がかかります。
空っぽのチャイルドシートを見て涙が出る。 仕事中にソワソワして落ち着かない。
これは当たり前の反応です。 少しずつ離れる時間を延ばすことで親御さん自身の「子離れ」の練習をします。
おやこで一緒に新しいリズムを作り上げていく。 急激な変化で親がパンクしないためのクッション期間でもあるのです。

数日で泣かなくなり順調に見えても要注意です。 最初は状況が飲み込めず呆然としていただけというパターンがよくあります。
慣れてきたころに「やっぱり寂しい!」と時間差で夜泣きや登園渋りが始まることもあります。 疲れから急に発熱することもあります。
そんなときは焦らず1歩下がってください。 進んだり戻ったりしながら螺旋階段を登るように慣れていくものです。
予定通りにいかなくてもそれは順調な証拠です。
久しぶりの再会であるお迎えのとき。 泣き腫らした顔を見て「ごめんね」と謝らないでください。
謝られると子どもは「自分はかわいそうなことをされたんだ」と思ってしまいます。 言うべき言葉は「頑張ったね」「会いたかったよ」です。
満面の笑みで抱きしめる。 「離れても必ず会える」というハッピーエンドを演出することで、子どもは翌日も勇気を出してバイバイができるようになります。
慣らし保育は単なるスケジュールの調整ではありません。 おやこの絆を密着から信頼へとバージョンアップさせる儀式です。
泣いてしまっても安心してください。 保育士さんたちが全力で受け止めます。
慣らし保育の先には、おやこ共に笑顔で過ごせる園生活が待っていますよ。
ライター / 監修:でん吉(保育士)
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