「コロナ禍」という言葉もすっかりおなじみになって、いつの間にか季節は真夏。
いつもなら海に旅行にキャンプにお祭りに…と、お出かけやイベントを親子で楽しんでいるはずが、今年はなんだか窮屈な気持ち。
子どもとおうちで過ごす時間が多いからこそ、親がどうかかわっていくべきか…。
23年間の保育士経験や、ご自身の子育て経験をもとに、「子どもにとっての"いちばん"は何か!」をよく知っている、こどもコンサルタントの原坂一郎さんが教えてくれました。
今年はコロナウィルスの影響でいつもとは違う夏?
いえいえ、まだ人生経験の少ない幼児は「いつもの夏」がどんなものかわかっていません。
ということは、「今年の夏」がその子にとっての「夏」のイメージをつくる可能性も。
そういう意味で、今年の夏は過ごし方が大切ですね!
世間や社会はどうであれ、親次第で、今年の夏を「いい夏」「思い出に残る夏」にできるのです。
こんな夏だったにも関わらず、子どもが将来「2020年の夏がいちばん楽しかった」とまで言ってくれるような、親のかかわり方をアドバイスしたいと思います。
必然的におうちで過ごす時間が多くなる今年の夏。 子どもが有意義に楽しく過ごせるようにと、こんなことを考えていませんか?
たとえば…
ダラダラしないように1日のスケジュールを立てよう!
たまには朝からお楽しみの日をつくってみてもいいかも…
お手伝いを決めるのもアリ!!
…などなど、親はいろいろとアイデアがあるかもしれませんね。
はい、わが家でも考えてみました。 でもなかなかうまくいかないんですよね…
でも、ちょっと待ってください!
まずは、子どもにとって「つまらないおうち時間」とはどんな時間かを子どもの立場になって考えてみましょう。
毎日、お小言を言われる…
何かをするたびに否定されたり、何か言われたりする…
ママやパパに笑顔が少なく、逆に怒った顔が多い…
ママやパパが全然遊んでくれない…
・・・こんな毎日だったら何も楽しくはないし、子どもも成長しませんよね。
たとえ、スケジュール通りに過ごせたり、お楽しみの日があったり、お手伝いができたとしても、それでうれしいのは親だけ、なんてことも…。
「うれしいおうち時間」はこの逆です。
こんな毎日だったら、何をやっても楽しいおうち時間となりますよね。
先に挙げた「たとえば」が1つもなかったとしても、まったく問題ナシ!
つまり、子どもは「何を」するかではなく、「どのように」するか、が大切なんです!
これって夏に限らず、いつだっていえること。
一緒におうちで過ごす時間が多いこの夏を「良い訓練のとき」ととらえておくと、秋以降も楽しく親子で過ごしていくことができますよ。
じゃあ、子どもがうれしくなることって具体的には何でしょう?
うーん、やっぱり一緒にお出かけしたりとか?
実は、「なにげない、ちょっとしたこと」で十分なんです。
たとえば…
●絵本のページをめくるたびに「ペラッ!!」と効果音のように言葉で言う
●目が合ったら"にこっ"とさりげなく笑う
●呼んだときに返事をしたら「いい返事!」と言って大げさに頭をなでる
もうそれだけで、子どもは笑顔になります。
すれ違いざまのハイタッチだって、十分楽しい親子のふれあいになります。
「ペラッ!!」「にこっ!!」「いい返事!!」「ハイタッチ」…どれもたったの2秒程度のこと。
そう、パッと笑顔になる2秒。その2秒間が大切なのです。
きょうは何をしようか、どこへ行こうか、なんて深く考えなくていいのです。
こんなシンプルな、短時間だけど子どもにとっては"うれしいかかわり"が毎日の中にたくさんあるだけで、子どもにとっては最高の時間、大人になってからも忘れられない思い出になりますからね!
えー!本当にそんなことでよいのでしょうか!
人は、楽しい子ども時代を振り返って「子どもの頃、よく〇〇したものだ」と言いますが、「よく」と言っても、実際にはせいぜい1回か2回しかしていないもの。
でも、その1回や2回が大切。"ゼロ回"とは大違いなのです。 大切なのは、やった回数や時間ではないのです。
仕事で忙しいときも、帰宅して玄関に迎えに来てくれた子どもを抱っこしたり、「たかいたかい」などをしたりするだけでもいいのです。
時間的にはそれがほんの10秒だったとしても「あの夏、うちの親は《よく》玄関で遊んでくれたなぁ」という印象がいつまでも残り続けるものです。
そんな、子どもにとって思わず笑顔になる小さなかかわりが、この夏にたくさんあれば、子どもは「あの夏は楽しかった」という印象がずっと残り続けます。
たとえば、食べていたアイスクリームが顔についてしまったら、「サンタクロースみーつけた!」と鏡を見せて、アハハハ!と笑い合ってみたり。
水着を自分で着ようとして、前・後ろを逆に着てしまったら、「自分で着た証拠、えらいえらい!」と言ってほめてあげたり。
いつもなら、「もう、なにしてるの!」なんて文句になってしまいそうな場面でも、ありのままの子どもを認めて・感心して・笑顔で・楽しい瞬間に。
パパやママと一緒にいる時間が、もっともっと幸せに感じられるようになることでしょう。
親にとっても不安だらけの今年の夏。
でも、子どもの笑顔に救われることもきっと多いはず。
最初にお話ししたように、世の中がどんな状況であろうと、子どもが笑顔になれるかどうかは、親次第。
だからといって、親が特別なことをがんばる必要はなく、アハハ!とわが子が笑う出来事、親も子も思わす笑顔になるような「ちょっとしたかかわり」が毎日の中にさりげなくあれば、それで十分。
ステイホームの夏だからこそ、家族みんなの「アハハ!」があふれるおうち時間をぜひ楽しんでくださいね。
こどもコンサルタント 原坂 一郎
1956年、神戸市生まれ。関西大学社会学部卒業。神戸市内で23年間6か所の保育所勤務を経て、2004年「こどもコンサルタント」に。笑いと笑顔をキーワードに、子どもおよび子育てに関するさまざまな研究・執筆・講演を全国で展開。『読むだけで子育てがうんと楽しくなる本』(春陽堂)、『男の子のしつけに悩んだら読む本』(すばる舎)ほか著書多数。
Facebook:@IchiroHarasaka
http://harasaka.com/
ライター 河瀬 みこと
大学卒業後16年間、教育関連企業で編集・マーケティング業務を担当。第一子妊娠時に退職。その後保育士資格を取得。二児の姉妹を育てながら、編集・ライター業に邁進中。
2023年春より、念願の「食堂+寺子屋 nuinu(ぬいぬ)」開業。
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