秋が深まり、園庭や公園に落ちているどんぐりを子どもたちが拾って帰ってくるようになりましたね。わが家の4歳男児もこれでもか!とどんぐりを集めて帰ってきました。おもちゃにして遊んだり、工作に使ったり、子どもにとっては宝物。
…ですが、家中に散らばるどんぐりに困っているおうちの方も多いはず。そこで、大量のどんぐりを持て余しているどんぐり富豪のみなさまに、どんぐりを使った素敵な取り組みについてご紹介します。
香川県が未来への森林保全のためにと、子どもたちに向けて始めた取り組みで、今では全国各地の自治体や民間団体に広がっています。多くはその地域での取り組みですが、全国どこからでも参加できるのが「どんぐり銀行大川村」。スタジオジブリのキャラクターグッズを販売している「どんぐり共和国」内、全国約40か所に「銀行出張所」があります。
▶全国のどんぐり銀行出張所はこちら
持ち込んだどんぐりは1個1D(どんぐり)という単位で預かってくれて、本物の銀行さながらに数が記帳された通帳が発行されます。そして1年に1度、100Dにつき苗木1本を「払い戻し」として受け取れます。自分が預けたどんぐりが、苗木に育って戻ってくるなんて、ワクワクしますよね。
もちろん、都会に住んでいて木を植える場所がない場合は、本店が代理で山に植樹してくれます。どんぐりの苗木を増やし育てることで、豊かな森を作ることが目的です。たくさん集められたどんぐりは、ほかにも工作の材料や動物のエサなどに活用されているそうですよ。
※写真はイメージです
本店があるのは高知県大川村。四国のど真ん中にあって、西日本最大級の「早明浦ダム」を擁する水源地です。このダムが1994年に、渇水の影響で貯水率ゼロになりました。
その原因は、スギやヒノキなどの針葉樹の人工林が増えたこと。一年中葉が落ちない木々の下には下草が生えず、山が水を保つことができないため、土砂崩れが頻繁に起こってしまうのです。そこで、水源地の大川村に水を取り戻すために、落葉広葉樹の森を再生する取り組みとしてこの「どんぐり銀行」が始まりました。
どんぐりはまた、動物たちのエサにもなります。森が豊かになってエサが増えれば、畑を荒らすこともなくなります。小さなどんぐりが森を作り、動物の命となり、山に水を貯めておくなど、私たちの暮らしに大きな役割を果たしてくれているのですね。
子どもが拾ってきたどんぐりをそのままにしていたら、虫が湧いて大変だった!という経験をお持ちのおうちのかたは多いはず。拾ってきたどんぐりをすぐに煮沸や冷凍しておけば虫が湧くこともなく安心ですが、どんぐり銀行に持ち込む場合は、生のまま持ち込まなくてはいけません。
虫がいるかどうかを確実に見分ける方法は、どんぐりを水に浸けてみること!
水を張ったボウルや桶の中にどんぐりを入れて、沈んだものだけ、カビが生えないようにしっかりと乾かしてから、袋に入れて個数を書きます。浮いたものには虫が入っている可能性があるので、取り除きましょう。
あとは、「銀行出張所」のある店舗を確認して、持ち込めばOK。近くに出張所がない場合は、郵送でも受け付けています。110円で通帳を発行してもらい、名前を書きます。10Dで1枚の葉っぱシールがもらえるので、たくさん預けるほど通帳の木の葉が茂ります(葉っぱシールは1日10枚までです)。初回は、記念のどんぐりシールももらえますよ。
詳しくは、こちらどんぐり銀行大川村でチェックしてみてくださいね。
わが家の4歳男児もこの秋、どんぐりをたくさん集めましたが、じつは子ども園でどんぐりをお金にしたおまつりが開かれるため、拾ってきた直後にすべて煮沸消毒をしてしまいました…(残念!)。
そこで、新たに拾ったわずかなどんぐりを持ち込むことにして、水に浸け、浮いた2個を除いた29個を袋に入れて個数を書きこみ、近くの「銀行出張所」へ。
4歳男児の反応は?「どんぐり銀行ってどこにあるの?」「早くシール貼りたい!」
電車でお出かけできて、集めたうちのほんのわずかなどんぐりと交換で通帳とシールがもらえたので、お得感しかなかったようです。森林保全の話はまた、来年に……
子どもが夢中で拾ったどんぐりを、洗って袋に入れて「銀行」に持っていく。ただそれだけですが、ちょっぴりお金持ちになった気分が味わえるのと、どんぐりを通して知らない人たちと協力して、森林保全に貢献できると思うと嬉しいですよね。 銀行という社会のしくみと、どんぐりを通じての自然のしくみの両方を学べるというのも、じつはすごく考えられた取り組みだと改めて思いました。
年齢に応じて、この取り組みについておやこで話すことができれば、すごくいい経験になりそうです。また子どもがどんぐりを拾ってきたら、どんぐり貯金に行きたいと思います。
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子育てに役立つ名言を集めた、おやこのくふうインスタグラムは @oyako_kufu
ライター 山口 舞
大学卒業後、テレビ局に勤務。幼児番組などを担当する。退職後、書籍・雑誌の編集に携わり、実用書や英語テキスト等を担当する。現在は、4歳男子の子育てをしながら、児童書の編集、児童文学創作、ソビエト児童文学の翻訳など活動中。
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