歯ブラシは1ヶ月に1度替えた方がいい、仕上げ磨きの歯ブラシ選びのほうが重要…【子どもの歯磨き】意外に知らない新常識

歯ブラシは1ヶ月に1度替えた方がいい、仕上げ磨きの歯ブラシ選びのほうが重要…【子どもの歯磨き】意外に知らない新常識
子どもの歯についての疑問に小児歯科専門医でキッズデンタル代表の坂部潤先生に聞く連載。今回は気になる歯ブラシや歯磨き粉について、教えてもらいました。
目次

小児歯科専門のクリニック・キッズデンタルを運営する坂部潤先生に子どもの歯のケアについて聞く連載。

前回のお話でもありましたが、3~6歳は虫歯の多発時期といわれる年齢で、日常のケアが重要です。 今回はその中でも毎日使う歯ブラシや歯磨き粉の選び方を聞きました。

歯磨き粉はいつから使ってもOK

歯磨き粉はいつごろから使えばいいのでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

歯磨き粉は子ども用のものであれば、何歳から使っても構いません。赤ちゃんのうちから使っても問題ありませんよ。

あまり意識していない親御さんも多いのですが、子ども用の歯磨き粉には大きく分けて2種類あり、用途や用法が全然違うので区別しておきたいですね。

一つは大人の歯磨き粉と同様に、汚れを落とすための歯磨き粉です。これは磨いたあとにうがいで流すことを前提としたもの。

もう一つは、フッ化物(フッ素)の入ったジェルで、磨いた後に歯に塗り込むためのものです。効果を得るためにはなるべく歯に留まらせたいので、塗布後30分間はうがいや飲食禁止です。

フッ素は摂取量に注意!?

フッ化物(フッ素)は虫歯予防の反面、健康被害があるといわれていますが…

おやこのくふう編集部 編集部

フッ化物(フッ素)は虫歯予防に効果がある反面、過剰に摂取すると歯に染みができてしまったり、中毒など健康被害があることが知られていて、アメリカでは、摂取許容量が決められています。

ただし、健康被害が出るのは相当濃度の高いフッ素を摂取したときのことです。じつはフッ化物は多くの食品にも自然に含まれているもので、国によっては飲料水に添加されていることもあるほど。日本の基準では濃度が1,500ppm以下とされていて、市販のフッ素入り歯磨き粉は

  • 大人向け:1,500ppm以下
  • 子ども向け:950ppm・500ppm・100ppm

が発売されています。 これは、使用料や用法(飲み込まない)を守っている限り、健康被害の心配はいらない濃度です。まるまる1本食べてしまうなどの極端な摂取がない限り、問題はないと考えてよいでしょう。
もちろん、小さい子が食べてしまわないように手の届かないところで管理するようにしてください。

キシリトール入りの歯磨きの効果とは?

フッ化物(フッ素)のほかに、キシリトール入りの歯磨き粉も目にします。どのような効果があるのでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

虫歯菌の栄養になるのは、お菓子などに含まれるショ糖ですがキシリトールはこれの代用甘味料の一つです。
虫歯菌はショ糖とキシリトールを区別することができず、同じように体に取り込みます。ところが、キシリトールは消化することができないので菌自体が死滅するという効果があります。

残念ながら、キシリトールが虫歯菌を減らすという効果を得るためには、かなりの摂取量が必要です。市販の歯磨き粉に含まれる量ではそこまでの期待は難しいので、あまり気にとらわれる必要はないと思います。

歯ブラシはまず安全なものを

毎日使う歯ブラシもたくさん種類がありますが、選び方を教えてください

おやこのくふう編集部 編集部

まず大前提として、年齢に合った安全なものを選びましょう。残念ながら、歯ブラシで喉をついてしまう事故は定期的に起きています。 歯ブラシは子どもの発達やタイプに合わせて、柔らかく喉をつきにくい素材のものやストッパーのあるものなどを選び、必ず止まった状態で歯磨きしましょう。

歯医者さんの歯ブラシはなぜ高い?

市販のものと歯医者さんで売られている歯ブラシの違いは何でしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

市販の歯ブラシに比べて、クリニックで販売している歯ブラシは価格も倍ぐらいしますよね。価格の違いは毛質の違いで、クリニックのものは虫歯になりやすい歯の間や歯と歯ぐきの境目を磨きやすいような毛質のものでできています。

価格のほかにも、コンセプトの違いもあります。市販のものは、磨きやすいようにブラシがギザギザしていたり、持ち手がカーブしていたり…歯磨きのトレーニングをしていなくても磨けるように、さまざまな工夫がされています。

一方で、クリニックで販売されているものは歯磨きのトレーニングがある程度できている子ども向けで、シンプルな作りが特徴。歯並びが悪ければ、細くてコシがあるもの、歯ぐきが弱ければ柔らかいものなど、その子の歯の状態に対して適切なものを選べるというメリットがあります。

重視するのは仕上げ磨き用の歯ブラシ!

毎日使う歯ブラシで高いものはちょっとツライですね…。

おやこのくふう編集部 編集部

就学前の子どもの場合、自分できちんと磨けている子は少ないので、仕上げ磨きのほうが大切です。クリニックでは、仕上げ磨き用の歯ブラシと自分で磨く用の歯ブラシは、分かれていることが多いはず。

両方をクリニックで買うと大変なので、自分で磨く歯ブラシは歯磨きが楽しくなるように好きなキャラクターものや気に入ったものなど市販のものを使い、仕上げ磨き用にプロ仕様の歯ブラシを使うという方法もおすすめです。
定期的に受診したときに、仕上げ磨き用の歯ブラシをまとめ買いしておけると安心ですね。

歯ブラシは1ヶ月に1度を目途に交換!

歯ブラシの替え時も教えてください。

おやこのくふう編集部 編集部

歯ブラシのヘッド部分を後ろから見て、毛先がヘッドからはみ出て見えるようなら替え時です。でもそう思っていると、けっこうすぐにはみ出てきてしまうので少なくとも1ヶ月~2ヶ月に一度は必ず替えましょう。

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毎日使う歯磨き粉や歯ブラシ。それぞれの効果や選び方を意識すると、手に取る商品も変わってきそうですよね。 坂部先生によれば、その時のお口の状態に合ったものを選ぶのも大切なので、3ヶ月に1度は歯医者に行くことが大切なんだそう。子どもと一緒に、口内ケアを日々、意識していきたいですね。

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お話を伺った方

小児医療専門医 キッズデンタル代表 坂部 潤

元米国UCLA小児矯正歯科客員研究員、日本大学歯学部小児歯科学教室非常勤講師、日本小児歯科学会認定小児歯科専門医、歯学博士(小児歯科学)
目黒・成城・麻布十番・代々木上原に小児歯科専門医院キッズデンタルを運営。大学病院での小児歯科専門医療の実践や米国UCLA小児矯正科への留学経験を生かし、虫歯治療や矯正だけにとどまらず、低月齢からの継続的な管理によって、子どもの健全な成長発育を促すクリニックを目指しています。プライベートでは4児のパパでもあります。
キッズデンタル

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