中学高校の理科・情報教員免許をもち、インスタグラムで「子供のなぜ?を育てる理科育児」を発信中の5歳と1歳の兄弟のママ、はるかさんに、幼児から楽しく理科分野の関心をふくらませるための身近なヒントを教えていただきます。
今回は木が冬に葉を落とす理由から食物連鎖までをテーマに、冬の外遊びのおやこの会話がもっと楽しくなるお話をお届けします。
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暦の上では春が来たものの、まだ寒い日が続きますね。
わが家でも寒空の下、子どもたちと公園で遊ぶ日々が続いています。あるとき、公園の寒々しい木を見て息子がポツリと「なんで枯れ木になるの?」とつぶやきました。
大人から見ると当たり前の落葉ですが、子どもには木が枯れたように見えるんですね。
さて、葉を落とした木は枯れたんでしょうか?そしてこんもり積もっていた落ち葉は少しずつどこへ消えたんでしょうか?木や落ち葉から、ダンゴムシや土の中の微生物の働き、さらに食物連鎖までお子さんと話を広げてみましょう。
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子どもには枯れているかのように見える木ですが、枯れているのではなく、春に向けて木も冬眠(休眠)しているんです。
冬になると乾燥して水分量が減り、気温も下がるため、木は十分に活動できません。しかし、葉をつけていると養分を作り続けます。養分を作るプロセスでは貴重な水分が奪われてしまうので、木は自身を守るために葉を落とします。これが落ち葉です。
桜のように落葉するのは落葉樹(らくようじゅ)。一年中葉をつけている常緑樹(じょうりょくじゅ)は葉が分厚く、寒くても省エネモードで葉を保つことができます。
枯れたのではなく、冬は寒くて十分に活動できないから春に向けて冬眠しているんだよ。
桜の木はね、去年の夏の終わりに春に向けて新しい花の芽を作ってから冬眠しているんだよ。これから春に向けて少しずつつぼみが膨らんでいく様子を観察してみようね。
森や公園では、毎年たくさんの落ち葉が出てきます。でも、公園はいつまでも落ち葉だらけでいるわけではありませんよね。
もちろん、落ち葉清掃により片付けられていることも公園がきれいに保たれている理由ですが、残っている落ち葉も春や夏になって気づくと減っていますよね。それには、子どもにもおなじみの生き物が関わっています。
土の上に落ちた葉は、ダンゴムシやミミズをはじめとする土の中の小さな虫が食べてフンにして、そのフンをもっと小さな虫が食べて…ということを繰り返して、土の中の微生物(キノコの仲間や細菌の仲間)の栄養分になり小さく分解され、最後は土にとけて栄養になっていきます。
土の上に落ちた葉は、ダンゴムシやミミズなどの小さな虫やもっともっと小さな虫、目に見えない生き物たちが食べて小さくしていくんだよ。最後は土に溶けて栄養になり、また新しい植物が育つ時に使われるんだよ。
土の中の小さな虫や微生物が分解する様子を「サイエンスチャンネル」(科学技術振興機構が運営・提供)の動画で見ることができます。食物連鎖から、微生物たちが分解し、さらにその栄養が新たな生命につながる循環を分かりやすく解説しているので、おやこでぜひ見てみてくださいね。
落ち葉を小さく分解していく役割を担う、子どもたちに身近なダンゴムシの生態を紹介する絵本と、"ものが腐る"ことから食物連鎖の知識を分かりやすく伝えられる絵本を紹介します。
わかりやすい言葉と絵でダンゴムシの生態を紹介していて、3歳ごろからお子さんと楽しめる絵本です。食べ物、うんち、脱皮や身の守り方など予想をこえて奥が深く、最後まで読むとダンゴムシを観察したくなりますよ。
『ぼく、だんごむし』
文:得田之久
絵:たかはしきよし
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『ぼく、だんごむし』の絵本で興味を持ったら、ぜひ読んでほしいのがこちら。写真で構成されており、リアルな観察ができます。どんな食べ物にダンゴムシが集まるか、1週間で落ち葉をどれだけ食べるか…うんちの色も、食べ物によって変わるので観察すると楽しいですね。
『みつけたよ!だんごむし』
ひさかたチャイルド
監修:唐澤重考
写真:久保秀一
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絵本『みつけたよ!だんごむし』の実験の様子を参考に。虫の飼育ケースにダンゴムシと落ち葉を入れて、本当に落ち葉を食べるのか、食べてフンとして出す様子やフンの形を観察してみましょう。
私も子どもが3歳のころ、ダンゴムシを飼ってみました。すると、絵本のとおり本当に小さな白いゴマ粒ほどの赤ちゃんダンゴムシがたくさん生まれて、小さいのに形はしっかりダンゴムシで驚いたことを記憶しています。また、ダンゴムシはオスとメスで模様が違います。オスは黒っぽくて、メスは点々があります。このあたりも一番簡単な観察を楽しめるポイントですね。
都会でも比較的見つけやすく、飼うのも観察も簡単なダンゴムシ。春になったらさわって遊んでみてくださいね。
私が幼い頃読んだ中で、印象に残っている絵本の1つです。
昔、祖母が生ごみを畑の肥料にしていました。生ごみのいやな臭いと、なぜこれが肥料になるのか?という不思議。そんな不思議がつながる絵本です。 春になると出てくる新しい芽は、生命の連鎖の一部分。"大昔から、植物をよわい動物が食べる、よわい動物をつよい動物が食べる。つよい動物が死んだら、小さな虫たちが食べて、土にかえる。その土を栄養にまた新たな植物が育つ"そうやって生命が巡っている、食物連鎖について未就学児が興味を持つきっかけになります。
残念ながらすでに絶版になっていますが、ぜひ図書館などで借りて読んでみてくださいね。
『くさる』
さく:なかのひろたか
福音館書店
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ホウレンソウなどの葉野菜や薄くスライスした野菜を、庭の土やプランターの土の上に置いて毎日観察してみよう。水をたっぷり与え、ラップをかけて水分の蒸発を防ぐと、菌類や細菌による分解が早まりますよ。春になって暖かくなると、1週間~10日ぐらいで野菜の大部分が分解されますよ。
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ときどき日差しが暖かい日があると、春が来るのが楽しみになりますね。桜の木は冬の寒さによって冬眠(休眠)から目覚め、着々と春に芽吹く準備を開始しているんですよ。
春はもうすぐそこ…と想いをはせながら、冬の外遊びをお子さんと楽しんでくださいね。
はるか
「日常のなんで?を大切にする理科育児」を実践し、日々の生活で子どもの知的好奇心を楽しく広げるヒントをInstagramで発信中。子どもの頃から理科が好きで、高校は理数科。大学ではバイオテクノロジーを学び、大手メーカーSEを経て私立大学で人の成長を支援する。キャリアコンサルタントの視点から、子育てとわたしらしく生きることの両立を応援する団体「ラシク」を2021年1月に設立。
中学高校の理科・情報教員免許。5歳と0歳の兄弟を子育て中。
モットーは「ママの世界が広がると子どもの世界も広がる」
Instagram: はるかの理科育児日記
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