中学高校の理科・情報教員免許をもち、インスタグラムで「はるかの理科育児日記」を発信中の5歳と0歳の兄弟のママ、はるかさんに、幼児から楽しく理科分野の関心をふくらませるための身近なヒントを教えていただきます。
今回のテーマは冬ならでは!"吐く息が白くなる理由"について教えていただきます。
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12月になり、冷え込みも本格化してきましたね。
私が住むところも先日初雪が降り、子どもたちははしゃいでいました。
外に出ると子どもたちが大好きな「はぁーっ」と白い息が出る季節ですね。息子も毎朝登園するときに「はぁーっ」とすると白い息が楽しみで、私とどちらが白く大きく作れるか競争して遊んでいます。
子どもが「なんで寒いと息が白くなるの?」と疑問をもったら学びのチャンス!今回は息が白くなる秘密から、白い息の正体、雲や霧、地球を巡る水の不思議まで視点をぐーんと広げて旅をしてみましょう。
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息が白くなるお話の前に、ママやパパがむか~し学んだ水蒸気について思い出してみましょう。
水蒸気は気体になった水です。水蒸気は水が蒸発するとできます。洗濯物が乾くのも、水たまりが乾いて消えるのも、洗ったお皿が乾くのも、液体の"水"が蒸発して気体の"水蒸気"になるからなんですね。
私たちの周りにはいつも水蒸気がありますが、透明で見えないし、感じることはありません。
息には水蒸気が含まれるので、息をはくと水蒸気が空気中に散っていきます。
みんながはく息には「水蒸気」といって空気(気体)になった小さな水の粒が含まれているよ。小さな水の粒だから透明でふだんは見えないし、においもしないから気づかないけれど、みんなの周りの空気にはたくさんあるんだよ。
いよいよ本題です。
冬の朝など寒いとき=気温が低いときに、息が白くなりますね。これは人間の体温と外の気温の差が大きいため起こります。
人がはく息は体温と同じおよそ36~37度程度です。その温かい息が外の冷たい空気にふれることで急激に冷やされ、息の中にある水蒸気が気体から液体に戻り、人間の目に見える小さな水滴となります。この様子が、息が白い煙のように見える正体です。
小さな水滴は光を色んな方向に反射するため(乱反射)白く見え、湯気(ゆげ)と呼ばれます。そしてすぐにまた蒸発して、目に見えない水蒸気に戻ります。
湯気と聞くと何を思い浮かべますか?温度は全然違いますが、沸騰したヤカンから出た水蒸気が外の空気にふれて白い湯気になることと仕組みは同じです。
お風呂の湯気も、熱いコーヒーを入れた時の湯気も、温かい空気に含まれる水蒸気が急に冷やされて小さな水滴となりできた湯気なんですね。
寒い日は、身体の中の温かい息に含まれる水蒸気が外の冷たい空気で急に冷やされて、小さな小さなしずくができ、それが集まって白く見えるんだよ。これは冬にお風呂で見える湯気や、ふっとうしたやかんから見える湯気と同じで、温かい空気が急に冷たい空気に冷やされた時に起こるよ。
じつは雲や霧ができるのも同じ原理。
太陽の光と熱で、海や川の水が水蒸気になり空気中の水蒸気となります。上空で水蒸気が冷やされて水や氷の粒となり、これが集まると雲になります。
とっても不思議ですが、息を「はぁーっ」とはくと白く見えるのと同じ正体なんです。
雲も空気の中にある目に見えない水蒸気が空の高いところで冷やされてできた、小さな水や氷の粒が集まったものなんだよ。だから寒い日にできる白い息と同じなんだ。今度寒い日に「はぁーっ」ってして小さな雲を作ってみよう。
アメリカ・ワシントン州在住の友人のお子さんから素敵な"なぜ?"をいただきました。
"遠くから見る霧は雲のように濃く掴めそうなくらい白いのに、近づいて霧の中に入ると透明で何もそこにないくらい見えない"ことが不思議だったようです。
こちらは友人撮影の実際のワシントン州の霧の様子。かなり霧が濃いですね。
山頂にドライブした際も、下から見る雲は白くてふわふわしているのに、雲の中に行くと雲はまるで透明のようでさわれないのはなんでだろうかと疑問に思ったそう。
ここに疑問を持つこと、霧と雲の経験が結びついていることが素晴らしいですね。
先ほどの説明のように、霧も雲も空気中の水蒸気が冷やされて水のつぶや氷のつぶになったものなんです。空高くにあると雲で、地面に接すると霧と呼びますが正体は同じ水の粒だから、霧や雲の中に入ると透明なんです(水は近くで見ると透明だから)。
もともとの霧や雲の色は透明ということ。じゃぁ遠くから見るとなぜ白いのか?というと、先ほどの説明の通り、霧の正体である水の粒は光をいろんな方向に反射するので(乱反射)白く見えるのです。
霧も雲も空気の中にある水蒸気が冷やされて小さな水の粒になったものなんだ。小さな水の粒だから、近づくと透明に見えるよ。
遠くから見ると白く見えるのは、太陽の光をいろんな方向に跳ね返すからなんだよ。どんな雲や霧も数えきれないほどたくさんの小さな水の粒からできているんだね。
子どもにとってもかなり身近な存在の「水」。様々に姿を変える水のしくみを絵本で楽しくふれてみませんか。
水が温度差によって氷⇔水⇔水蒸気(個体⇔液体⇔気体)へと姿を変えるようすを分かりやすく学べます。
水って形を変えるし、気体になると目に見えないし、子どもにはつかみどころがなくて全体像をイメージしにくいもの。そんな水を、絵を通してわかりやすく、タイトルのとおり水とは何者なのか?や、水の役割まで知ることができます。
私が尊敬するかこさとし先生最期の作品です。
『みずとはなんじゃ』
作:かこさとし
絵:鈴木まもる
小峰書店
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冬は雪や、道路に氷がはるのも確認できますね。バケツに水を入れて夜に外に出し、朝になると氷がはっている様子も、水が個体に姿を変えるシーンを観察できるチャンス。中に落ち葉や折り紙を入れて凍らせても楽しそう。
窓にできる結露も、室内の暖かい空気中の見えない水蒸気が外の空気に冷やされて水滴になったもの。氷も結露も、水が温度によって形を変えたもの。どんなものがあるか、親子で探してみるといいですね。
美しい絵とシンプルな文章で、地球の水の循環を感じることのできる一冊。
雨のひとしずくから始まり、水は形を変えながら、地球上のあらゆる場所をめぐり、いろいろなものを運び、私たち生命を支えているんだなぁと再認識できます。5~6歳なら、読んであげると全部ではなくとも部分部分が理解できると思います。
大人向けの巻末の説明も充実していておもしろい!「クレオパトラの最期の吐息に含まれていた空気の一部をあなたが吸い込む確率はなんと60%ほどにもなる」なんて驚きですよね。それくらい、水はさまざまに形をかえて世界中を巡っているのです。
『地球を旅する水のはなし』
作:大西健夫・龍澤彩
絵:曽我市太郎
福音館書店
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みんなが「はぁーっ」とはいた息、雨上がりの水たまり、牛乳を温めた時の湯気…そんな全てが水蒸気となって空気中を漂い空へ昇り、空の高いところで冷やされて雲になります。
そして、雨や雪になり地上へ降り、山や川に流れて、その水を私たちが生活で使って、汚れた水は下水道へ流れて、またきれいにして、川や海に流されて。近所を流れる川の水は海に流れて、また水蒸気となって空にのぼって。
こんな風に水はさまざまに形を変えて地球を旅しているんですね。
人間の身体って約60%が水でできてるんですよ(赤ちゃんなら約80%!)。
私たちが生きていくうえで欠かせない存在の水。日常生活の中で当たり前にそこにある身近な存在だからこそ、親子で会話を広げるヒントにあふれていますね。
はるか
「日常のなんで?を大切にする理科育児」を実践し、日々の生活で子どもの知的好奇心を楽しく広げるヒントをInstagramで発信中。子どもの頃から理科が好きで、高校は理数科。大学ではバイオテクノロジーを学び、大手メーカーSEを経て私立大学で人の成長を支援する。キャリアコンサルタントの視点から、子育てとわたしらしく生きることの両立を応援する団体「ラシク」を2021年1月に設立。
中学高校の理科・情報教員免許。5歳と0歳の兄弟を子育て中。
モットーは「ママの世界が広がると子どもの世界も広がる」
Instagram: はるかの理科育児日記
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