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読み書き、計算…入学前にどこまで教えたらいいの?

将来の算数力に大切な「数の量感」は、幼少期の石集めやどんぐり遊びではぐくめる!

将来の算数力に大切な「数の量感」は、幼少期の石集めやどんぐり遊びではぐくめる!
数字の読み書きや足し算など、小学校入学までに家庭でどんな準備をしておけばよいか、幼児にどのような教え方をすればいいか、家庭教育アドバイザーのTERUさんにお話をきく連載。今回は子どもが算数力を身につけるために大切な「量感」、そして「10進法」を身につける方法をご紹介します。
目次

小学校1年生から始まる「算数」。それに向けて少しずつ始めなきゃと気になるのが幼児期の「数のべんきょう」。
前回は、家庭教育アドバイザーのTERUさんに、子どもが「数の概念を理解する」ために親がふだんの生活でできることを教えてもらいました。

今回のテーマは、算数でつまづかないために大切な、数を頭の中でイメージできる=量感を持つことと、10進法の理解
「数を教えなくちゃ!」と肩に力を入れることなく、子どもが外遊びで楽しく身につけられる方法があるとTERUさんは語ります。

その数の「量」はどれくらい?「見て知っている体験」が大切

10より大きい数になると、途端に計算を理解させるのが難しくなりますよね…

おやこのくふう編集部 編集部

10を超える数の計算では、頭の中でその数をイメージできていること、つまりきちんと量感をもっていることがとくに大切になってきます。
ただ数えられるだけではなく、「それがどのくらいの量なのか」を見ておく体験が大切なんです。

10以上の数の「量感」と「10進法」を意識させる遊び

単純な数え遊びの中でも量感を意識させることができます。

例えば、10より大きい数を見せて教える方法をご紹介します。ビー玉でもおはじきでもいいので、10以上の数を用意してください。
これは、10から先がまだ数えられない子にとっては、10以上の数は分からないけど、「それ以上に数えなければいけない物」がある状態です。

10まで数え進んだときに、そこから先が分からないから「ん?」となりますね。
このふと立ち止まる瞬間が好奇心がわく瞬間で、子どもが新しいことを吸収できるチャンスです。
物や機会を用意しているのは親ですが、この「知りたい!」という気持ちを子どもがもつことで、その学びは「子ども主導」に切り替わっています。この知りたい気持ちになっているときに、教えてあげるとぐんぐん吸収していきます。

「ん?」となっているときに、10個を1つのかたまりにしてまとめて、山を作ります。そこから、「10と1だから、11って言うよ」など話しながら並べて見せてあげましょう。 10というのはこのくらいの量で、次にまた10のかたまりを新しくを作るという物の動きを一緒にやってください。すでに10以上の数唱ができる子にこそ、「11、12とはこういう量なのか」と体感できると思います。

単純なことですが、このような実際に量を見て体験する遊びをちょっとでもしておくことで、量感と、10進法の意識が生まれていきます。

量感があれば"明らかにおかしな計算間違い"はおこらない

そして私は、まだ数えられなくてもいいので、できるだけ大きな数を「このくらいの量」だと見せてあげられるといいと思います。

できることなら、100、1000、10000と大きな数をどんどん見せていきたいですが、なかなか難しいので、まずは100。例えば1円玉1枚と100枚を並べて比べてみます。

一度、1と100の量感の違いを見せておくことで、まだ100まで数えられなくても、「100ってこんなに大きい(多い)から、1って少ない」と実感できます
そして例えば、5+5=100にはならないし、50-5=10にはならない、ということがベースとして理解できます。

ときどき計算でとんちんかんな答えを出してしまう子がいますが、これは量感がイメージができていないがための間違いなんです。
5+5であの大きい量の100にはなりえないと、見たことがある経験があれば分かるはずです。

外遊びには量感を意識できるものがあふれている

他にも何か子どもに見せやすい「大きな数」はありますか?

おやこのくふう編集部 編集部

外遊びで、石を集めて数える遊びは手軽でおすすめです。

今の季節だとどんぐりなどの木の実もいいですし、海辺なら貝殻でもいいかもしれません。子どもは集めるのが大好きなので、とにかく量を集められます。
実際に数えてみて、例えば50個あった!となれば、「石50個はこのくらいの量」をインプットできます。
そこから10個の量、1個の量と比べて見ていくと量の違いを認識する力が鍛えられると思います。

瞬時に量を判断する「概算」が、将来の算数能力につながる

また、パッとみてどのくらいの数あるか、子どもに瞬時に言わせる遊びもいいですね。 これは、量感の中でも、「概算(がいさん)」といって、おおよその数を見通す力のこと。

例えば、デザートにぶどうを食べるときに、お皿にのせたぶどうを「いくつくらいあると思う?」とパッと見て何粒か答えてもらって、実際に数えてみるなど。
当たらなくてもまったく構いません。全体でどのような数でとらえるのか、ぜひお子さんに聞いてみてください。

ほかにも簡単なのは、手元での遊びです。
例えば両手にあめをいくつかずつ持って、「どっちが多い?」「どっちが少ない?」のあてっこなど。 ポイントは、パッと見ただけで明らかに分かる数で聞くこと。そして分かりにくい数でも聞くことです。

「なんとなく、こっちかな?」と言うような少しの差を瞬時に判断できると、鋭い量感覚があると言えます。これも、遊びの中で十分鍛えられます。

実は、概算力が高い子は、13・4歳くらいの時期の算数知能度が高いとも言われています。
それほど、量感は算数・数学においても大切な感覚なので、幼児期に身につけられたらよいですね。





外遊びで親子でゆっくり自然のものにふれる時間に、将来の算数につながる学びがある…ぜひおやこで実践してみてください。
次回は、子どもが自然に数や計算が好きになる10のツールについてTERUさんに教えていただきます。

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お話を伺った方

家庭教育アドバイザー TERU

幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku

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執筆者

ライター 赤司 陽子

大学卒業後、製薬会社での勤務を経て、大手教育関連企業に転職。約10年間幼児教育・小学生教育事業に携わる。その後夫の海外赴任に随行し、アメリカで出産・育児を経験。多様な価値観に触れる。帰国後、フリーのプランナー・エディター・ライターとして活動中。現在、5歳女子・3歳男子の年子育児に奮闘中。

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