登園しぶりは「ただのわがまま」と思われがちですが、実は子どもなりの理由が隠れていることがほとんどです。
おともだちとのちょっとした行き違い、先生の言い方にびっくりした、遊びたい気持ちが強かった、昨日の夜の不安が残っている…。 どれも大人から見れば些細なことでも、子どもにとってはとても大きな出来事に感じているかもしれません。
子どもはうまく言葉で気持ちを説明するのがむずかしい分、態度でサインを出していることが多いのです。

「どうして行きたくないの?」「何があったの?」と理由を聞きたくなることもあると思います。 でも、子どもは気持ちが整理できていないと、うまく言葉にできないこともあります。
そんなときは、無理に答えを求めるのではなく、「行きたくない気持ちがあるんだね」「今はおうちが安心するのかな」と、まずは気持ちに寄り添うひと言を届けてみてください。
言葉にできない思いも「わかろうとしてもらえている」と感じることで、少しずつ落ち着いていきます。
大人にとっての「いつもどおりの朝」も、子どもにとってはちょっと違って見える日もあります。 だからこそ「今日はこの子なりのがんばりが必要な日なんだ」と、少し視点を変えてみるだけで、気持ちがやわらかくなります。
・ぎゅっと抱きしめて「大丈夫だよ」と伝える
・玄関を出るまでの時間を少しゆっくりめにする
・お気に入りのハンカチやお守りをもたせる
そんなちょっとした工夫で、子どもの心に“安心のスイッチ”が入ることもあります。

毎朝の登園しぶりがつらくて、ママやパパ自身が疲れてしまうこともあると思います。 そんなときは「今日は休んでみようか」と思い切って立ち止まるのも、一つの方法です。
おやすみの一日を、ただ甘やかす時間ではなく、いっしょにのんびり過ごしたり、話をしたり、安心を取り戻す時間にしてみてください。 「また行ってみようかな」と思えるための“心の充電日”になることもあります。
「うまく声かけできなかった」「無理に連れて行ってしまった」
そんなふうに、自分を責めてしまうママやパパもいるかもしれません。
でも、大丈夫です。 子どもは、ママやパパが“気づいてくれた”“向き合ってくれた”という経験から、たくさんのことを受け取っています。 完璧な対応じゃなくても、気持ちを寄せようとしたその姿こそ、子どもにとって大きな安心です。
登園しぶりは、子どもからの“気づいてほしい”という心のサイン。 わかりやすい理由が見えないときも「この子なりの理由があるはず」と信じてそばにいてあげることが、子どもの心をそっと支えてくれます。
今日は行けなかったとしても、それはダメなことではありません。 「どうしたの?」ではなく、「そばにいるよ」と伝えることで、子どもはまた少しずつ、前に進む力を取り戻していきます。
ママやパパも、がんばりすぎないでください。 子どもの気持ちに寄り添う優しさは、少しずつ、でも確かに、子どもの心の中に届いています。
ライター / 監修:でん吉(保育士)
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