前回は、子どもの習い事は好きを伸ばすことを目的にしたい、という話をTERUさんにお聞きしました。
では、子どもがやりたい、と始めたはずの習い事なのに「辞めたい」「行きたくない」と言い始めたら…?
せっかく始めた習い事、親としてはできるだけ続けてほしいけれど、嫌がる子どもを無理やり連れて行っていいかと悩むところですよね。どうするべきなのでしょうか。
子どもが習い事を嫌がるときは、ちょっとした「やりたくない・行きたくない」なのか、本当に嫌なのかを見極める必要があります。子どもは気分にムラがありますし、どうしてもその日のコンディションで乗り気になれないときもあります。まずは、理由を聞きましょう。
そこで見えてくるのはこの3つのパターンです。
子どもの話を聞いて「これはただ甘えているだけだな」と親が感じたら、それは無理やりにでも行かせてしまってよいでしょう。
子どもはまだ自立していないので甘えたくなるときもあります。そんなとき親は毅然とした態度で、いつも通り連れて行きましょう。先生はプロですので、安心して任せられます。
この場合、案外ケロッと「楽しかったよ~」と戻ってくるケースが多いように思います。甘えによる"通い渋り"に対しては、親はドーンと強気に構えてください。
その習い事に、何かしら子どもなりに行きたくない明確な理由がある場合です。
例えば、先生も習い事も好きだけど、お友だちと何かトラブルがあるなど。
そんなとき、子どもは自分の気持ちの整理がつけば頑張れることも多いので、その話をしっかり聞いて「そうだったんだね…」と気持ちに共感してあげること(ミラーリング)で落ち着いて参加できることも。
その日、参加するところまで気持ちがのらなければ、「今日はお休みして次頑張ろうね」と見学だけして帰るのでもいいかもしれません。
今後、習い事を続けるうえで、解決しておくべきことがある場合は、先生に相談しましょう。
そのときに大切なのは、親が動いたことを子どもに悟られないようにすること。
何かあったときに「すぐに親が対応してくれる」「なんとかしてくれる」と思わせてはいけません。
先生にこっそり伝えて対処してもらったうえで、行かせてみます。子どもに「大丈夫だった!」と自分の中で解決できたと思わせることが自信につながりますし、子ども自身もホッとします。
ここの対処は丁寧に、先生に協力してもらいうまく連携していきましょう。
そもそもその習い事が嫌いなのであれば、無理をして続けさせる必要はありません。もう辞めていいと思います。
ただし、辞め方は非常に重要です。
必ず何か小さくてもいいので、目標を達成させて辞めさせてください。
そうすると、子どもにとって「諦めた」経験にはなりません。
例えば、昇級テストに合格をすることなど、「ここまでやったら辞めようね」と親子で目標を作ってください。嫌で辞める前提なので、苦痛になりすぎないように、そのハードルは親が見極めてあげましょう。
目標を作り、そこまではがんばる。小さな我慢と小さな成功を経験させてから辞めさせる。
これがとても大事なことなのです。
ただ、不思議なことに、目標を達成すると多くの子どもが「続けたい」と言うんですよね。「がんばれたんだから続ける!」と。面白いですよね。
ここで気をつけたいのは、目標を達成したからといって「できるじゃん!続けよう!」と親からは絶対言わないこと。
自分から「続けたい!」と言ってきたときはもちろん続けてもよいのですが、親が「やっぱり続けよう」と説得してはいけません。
「せっかくだから…。ここまでがんばったから辞めたらもったいないな」と思ってしまうかもしれませんが、目標を達成したら辞める。これはおやこの約束なので、絶対に守ってください。
新しい習い事を始めるとき、その代わりにやっていた習い事を辞めてもよいのでしょうか?
新しい習い事を始めたいとき、今やっている習い事があって全てをできないときは「選択」しましょう。
できるのは、3つくらいが限界だと思います。子どもにどんどん選ばせればよいと思います。
それは、諦めるというよりも「次の選択」になります。
ときどき、子どもの意思を尊重して好きなだけやらせたい!とがんばって、送迎やスケジューリングでへとへとになっている親御さんも見かけますが、それはよくないですね。
子どもに「習い事は無限にできる」と思わせてはいけません。
習い事を始めるときには、金銭面、送迎などの負担がかかることをきちんと子どもに説明するべきです。
年中・年長くらいになると、子どももいろいろ理解できるようになってきます。
習い事をするには、このくらいのお金がかかる。送り迎えなどの家族の負担もかかる。そういうことが理解できた上で、本当にやりたいかどうかを選択させてください。
これは、例えばおもちゃを買うときなどでも一緒ですよね。
なんでも「やりたい」「欲しい」と言えば、それが叶うわけではありません。
家族の一員として、家族にどんな影響があるのかを理解できるようになることも大切なことだと思っています。
小さなうちからの習い事とどう付き合っていくべきかがわかりました。
習い事は必ずしも必要なものではありませんが、習い事を通して子どもに自信や自立する気持ちを育てていけるというメリットも。
大切なのは子どもの気持ち。親子で楽しく通えるといいですね。
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku
ライター 赤司 陽子
大学卒業後、製薬会社での勤務を経て、大手教育関連企業に転職。約10年間幼児教育・小学生教育事業に携わる。その後夫の海外赴任に随行し、アメリカで出産・育児を経験。多様な価値観に触れる。帰国後、フリーのプランナー・エディター・ライターとして活動中。現在、5歳女子・3歳男子の年子育児に奮闘中。
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