4月になり新しい学年がスタートすると、清々しい気持ちになりますね。といいつつ、年度初めはPTAの役員決めがあるから憂鬱、そんな人もいるでしょう。PTAというと「絶対にやらなくちゃいけないの?」「仕事との両立が心配…」などネガティブな声も聞きます。
筆者の子どもの小学校でも全世帯がPTA役員の対象で、筆者はPTA副会長としてまさに今活動中!初めはあまり積極的になれませんでしたが、役員をやってよかったことも多くありましたよ。PTAの活動について体験談とともに解説しますので、これから役員をする人はぜひ参考にしてください。
※本記事の内容は筆者の体験に基づくものであり、学校や地域により状況が異なる可能性があります。
PTAとは「Parent-Teacher Association」の略で、親と教職員が協力する組織です。学校だけでなく地域一丸となり、子どもたちが健康的に過ごし安心して学べるようサポートします。PTAの仕事は役員によりさまざまで、運動会・バザーといった行事の運営や登下校時の子ども見守り、広報活動などがあります。
PTA役員の決め方や任期、仕事内容など活動の詳細は、学校によりさまざまです。初めて子どもが小学校に上がるときは、PTAについて知らないことが多く不安なるもの。可能なら上級生がいる家庭に様子を聞いておくと、心の準備ができますよ。
本来、PTAへの加入は強制ではなく任意ですが、実際は子どもの入学と同時に自動的に加入するケースが多くあります。けれども最近はコロナ禍を機にPTA活動について見直す学校も増えているようです。
PTA役員には大きく分けて「本部役員(執行委員)」と「専門委員」があるケースが多いでしょう。 本部役員はPTA活動の中枢としての役目があります。専門委員は広報や交通安全、ベルマークなどの活動に関わります。筆者の子どもの学校の例を見ながら、各役職の仕事内容について解説します。
まずは学校の顔となるPTA会長。子どもたちにわかりやすいのは、入学式や卒業式での謝辞や、バザーやPTA行事でのあいさつでしょう。
ほかにもPTA会長は学校運営の協議や地域のPTA会議への出席など、親・学校の代表として活動します。PTAからの文書もすべてチェックし、行事でトラブルがあったら率先して対応するなど、PTA活動のすべてに関わります。
筆者の学校では、コロナ禍では従来どおりできない行事をどうするか。少しでも子どもたちが楽しく過ごせるよう、PTA会長が1つ1つ学校と協議してくれました。
筆者も2年間担当した副会長。会長が主に渉外活動(学校などの組織との連絡や交渉)をするのに対し、副会長は校内の活動を担当します。
PTA総会や会議の運営、バザーや美化作業など行事の準備・開催、PTAからのお知らせ文書の作成、次年度役員の担当の決定など、業務内容は多岐に渡ります。PTA会長の代理で会議に出席することもあります。
筆者も副会長業務をこなすのに必死でしたが、そのなかで気づいたのは「業務内容よりも関わる人たちの人柄が重要なこと」。実際の活動時はほかの役員や先生方の協力が欠かせません。やはり協力的な人が多くいれば、たとえ大変な業務でも楽しんで取り組めると感じました。
書記は2人で担当しPTAの書類作成に携わります。PTA総会や運営会議の議事録やPTAからのお知らせ文書、地域や保健所に提出する書類などを作成・印刷します。
書記業務はパソコン作業がメインのため、ある程度のスキルが必要。けれどもテンプレートや前年度の資料を活用できるため、基本的な操作ができればそれほど心配いりません。
会計はPTA会費に関わる業務をするのが主な役割です。2、3名で担当しPTA会費を集めて管理したり、予算案をまとめたり、年度末に決算業務を担当したりします。
お金の管理自体は学校に任せることもありますが、バザーなどまとまった額を扱う機会もあるため、金銭をきちんと管理できる人が適任。筆者の学校の場合では、PTA活動で使うファイルやUSBメモリーといった細々したものも、会計が購入しています。
会計担当が決算した会計結果に対し監査する役割です。会計と同じくお金に関わることから、収支計算など数字に強い人に向いています。監査の業務は年度末にあるため、ほかの期間は割と余裕があることも。ほかの本部役員のサポートも務めます。
ここからは専門委員です。学級委員や学年委員は、クラスや学年の代表的存在。運動会やバザーなど学年単位で役割分担する場合、学年委員は学年リーダーとして運営にあたります。
学級委員は保護者会や懇親会を企画・運営するなど、クラス単位で学校行事をサポートします。クラス内でトラブルが起こったときに対応するケースもあります。
広報委員はPTAの広報誌を作成するのが主な業務です。誌面に必要な撮影・取材から、編集、校閲、発行と広報誌に関わる業務を一手に担います。わが校の場合は、広報誌の発行は年に2、3回あり、発行回数に比例して活動量も多くなります。
広報委員は子どもや先生方に取材したり、行事に同行したりしてネタを集めます。撮影といっても最近はスマホの画質も優れているため、一眼レフカメラを使えなくてもOK。写真を撮って画像を編集するといった操作が得意な人は、広報委員で生かせますよ。
文化委員は企業による講演会や給食試食会など、親向けのイベントを企画・運営します。筆者の子どもの小学校では、アロマキャンドルやハーバリウムの手作り講座などもあり、毎回好評です。コロナ禍で給食試食会を開催できない年は、代わりに地域の給食センターを訪問しました。
文化委員の業務は子どもたちに直接関わるものではありませんが、イベントを通じて親同士が交流し親睦を深められるため、貴重な機会になります。
子どもたちが学校外でも安全に過ごせるよう活動するのが、地区委員です。登下校時に横断歩道に立って見守ったり、通学路に危ない箇所がないかチェックしたり、交通安全のポスターを制作したりします。
筆者の子どもの小学校では「子ども110番の家」(子どもが危険な目に遭った際に駆け込める場所)を確認し、学区内のお店にステッカーを配布する業務もあります。
子どもたちといっしょに下校しながら通学路を確認することで、大人だけでは気づかない注意箇所や、もしもの際の退避場所をチェックできます。
ベルマーク委員は各家庭で集めたベルマークを集計し、体育用具やテントなど必要な備品を購入します。ベルマークは種類も数もとにかく多いため、細かい作業が得意な人におすすめです。
筆者の子どもの小学校では以前は月に1回学校に集まり一斉に集計していましたが、コロナ禍を機に各自家庭で集計する仕組みに変わりました。そのため仕事や子育てと折り合いをつけやすくなったと好評です。
6年生の親には卒業対策委員(通称・卒対)もあり、卒業アルバムの制作や記念品の選定、謝恩会の開催など卒業に関わる業務を担当します。ほかの役職とは別に設定され、これまでの役員歴に関わらず選出されることもあります。
コロナ禍では謝恩会が中止になる学校も多くありました。イベントが少なくなった分、卒業アルバムなどにこだわるなど、卒業対策委員になれば6年間の思い出づくりに関われます。5~6人程度と少人数編成のため、中学校について情報交換できるなど同じ中学に進むほかの親と知り合うきっかけになります。
PTAは仕事内容と同様、選出方法や担当する時期、担当回数なども学校により異なります。筆者の子どもの小学校では「子ども1人につき1回担当する」と決まっていますが、「毎年クラスから◯人選出する」制度の学校もあります。また「本部役員を一度でもやると、その後はずっと免除」というケースもあります。
PTAの役員決めについて、どのような決め方があるのか詳しく解説します。
まずは誰が次年度の役員をするか、選出方法についてです。できるなら平和かつスムーズに決まってほしいものですが、実際は難航するパターンもあるようです。よく見られる役員の決め方を挙げてみました。
実際に子どもの学校がどのように役員を選出しているのかは、学校や年次によっても異なります。
PTAの役員決めでよくあるのが、各クラスで立候補者を募る方法です。小学校6年間で必ず役員を引き受けることが決まっているなら、自分にとって活動しやすい年に立候補するとあとが楽になります。
ただし立候補が多数だと希望の年に役員になれない可能性もあるため、心づもりしておきましょう。逆に誰も立候補者がいない場合、決まるまで帰れないなんて話も…。
立候補者多数または必要人数が集まらない場合、じゃんけんやくじ引きで決めます。学校により「まずはPTA役員のみ選出する」場合や「どの委員を担当するかまで決める」などさまざまです。
じゃんけんやくじ引きでよく聞くのが、欠席者や事情がある人の扱いをどうするか。代理の人がくじを引く、事情があるなら免除するなどの対応がありますが、どうしても反対意見が出がちです。どのような結果でもみんなが納得できることが望ましいものです。
現役の役員がめぼしい知り合いに声をかけます。じゃんけんやくじ引きなどランダムな選出と異なり、知り合いに打診すれば信頼できる人に任せられるため、役員業務をすっぽかされるなどの心配がなくなります。
もし役員を打診されて自分には難しいと感じたら、変に突っぱねるのではなく誠意をもって断りましょう。断るときは後述する理由を伝えると比較的スムーズです。
また断るのが苦手だからと、返答を伸ばし伸ばしにするのは好ましくありません。返答保留中の人が多くいると、それだけ打診する側の負担が増えてしまいます。やむを得ず回答を待ってもらうなら、「◯日までにお返事します」と期限を決めましょう。
これは筆者の例。わが子の小学校ではPTA役員をする学年が入学時に指定されます。以前は立候補制でしたが、毎回難航してらちが明かないと数年前から指定制に変わりました。名簿順に1年生、2年生…6年生と割り振られるため、不公平感もありません。
指定制なら新年度早々に役員決めで時間を取られることもなし。どうしても事情がある場合、学校に相談すればほかの学年での担当に替えられます。
PTAの役員決めは、4月の最初の保護者会で行われるのが主流です。現役役員が推薦する場合、前年度の年末あたりから打診が始まることが多いようです。
筆者の子どもの小学校では指定制によりメンバーはすでに決まっているため、前年度の1月~2月ごろに担当委員について希望調査し、3月ごろに決定します。その後新1年生が入学した4月に、各専門委員会の委員長・副委員長などを決めます。
PTAは絶対にやらなくてはいけないイメージもありますよね。じゃんけんや推薦でPTA役員になる可能性が生じた場合、下記のようにきちんとした理由があれば断れることもあります。
いずれにしてもPTA役員をするのに不安があるなら、担任の先生を通じて学校に相談してみましょう。免除とまではいかないまでも、自分にやりやすい方法がきっと見つかりますよ。
「役員をするなら子どもが低学年のうちがいい」との声も聞きますが、子どもの学年により違いはあるのでしょうか?それぞれメリットやデメリットを見てみましょう。
PTA役員をやりやすいタイミングは、家庭の状況によりけり。きょうだいの年齢や仕事、自治会役員との兼ね合いなど、うまく折り合いのつく年に引き受けられるといいですね。
PTA役員は役割により仕事内容や仕事量はさまざま。一体どの担当がおすすめなのでしょう?活動する様子を実際に見てきた筆者の視点から解説します。
本部役員のなかでは会計や監査、専門委員では文化委員やベルマーク委員が、比較的仕事量が少なくおすすめです。特に監査は年度末の業務がメインのため、それ以外の時期は本部役員のサポートに回ることが多いでしょう。
文化委員の場合、筆者の子どもの小学校では複数回あるイベントを班ごとに担当するため、メインに活動するのは自分の担当回のみで済みます。またベルマーク委員は各自で集計するため、仕事の調整が利きにくい人や乳幼児がいて外出が難しい人におすすめです。
「大変だけどやってよかった」と筆者のまわりでよく聞くのは、学年委員と広報委員です。学年委員は運営会議への出席や行事の手伝いなど業務量は多め。そのため負担に感じる人もいますが、学校行事について把握できたり、同じ学年の知り合いが増えたりとやりがいを感じる人も多くいました。
広報委員は運動会やバザーでほかの親が入れない場所で撮影できるため、やってよかったとの声が多数。リレーや騎馬戦など子どもたちの近くまで行き、迫力ある写真を撮れるのは広報委員だからこそ!また地域探検や水遊びなどちょっとした行事にも参加できます。なんといってもPTAの広報誌が発行されたときの達成感は、何物にも代えがたいそう!
筆者が経験した副会長は、業務量も気づかいも多く大変!「誰にでもおすすめ」とは正直言えません。ただ副会長はPTA活動や学校運営について疑問や意見を伝えやすく、そのような役職を希望する人におすすめです。
筆者が役員になって感じたことは、「PTA活動ってなんてアナログなんだ」ということ。事あるごとに学校に出向き、全校向けに文書を印刷・配布、ときにアンケートを回収・集計…。ちょっとしたこともいちいち集まって会議するなど、とにかく時間も労力もかかって面倒!
「これは何かほかにいいやり方があるはず」そう感じ、少しでも改善すべくみんなでアイデアを出し合いました。文書の代わりにSNSを活用したり、そこまで重要でない集まりをなくしたり。
このようにPTA活動や学校運営に疑問を投げかけ意見を伝えられるのは、副会長だからこそ。もちろん却下されることも多くありましたが、それでも提案し議論する余地があったことに意義がありました。
「おやこのくふう」編集部には、広報委員の経験者もいます。
広報委員は広報誌のネタになる学校行事をはじめ、各学年のPTA主催行事などほぼすべての行事に撮影係として学校に赴きます。運動会などのメイン行事以外は平日開催のことも多く、仕事のある委員が多い場合には調整が大変だったそう。
また年度初めの広報誌には、先生方の紹介を載せる学校が多いのですが、この写真は広報委員が学校に行って撮影しているんです。先生の都合が悪く撮影できないことも多く、何度か通うのが大変だったとか。
一方で、やはりふだんは見学できない行事に顔を出せたり、写真を撮影できたり、親同士のつながりができたのはメリットだったそうですよ。一緒にやるメンバーが重要と感じたのは、筆者と同じ意見でした。
ここまで来て「PTA役員って本当に大変そう…」との印象が強くなった人もいるかもしれません。けれども「やってよかった」と感じるママパパもいるんですよ。PTA役員にどんなメリットがあるのか見てみましょう!
多くの人がメリットとして挙げたのが、小学校での知り合いが増えたこと。幼稚園・保育園と異なり小学校では送迎がないため、ほかの親と接する機会は激減します。そのため多くのママパパが、PTA活動を通じて知り合いの輪が広がり、いろいろな情報を得られてよかったと感じています。
筆者もPTA活動のおかげで新しい知り合いが増え、上級生のママに情報を聞いたり習いごとの話で盛り上がったりできましたよ!また本部役員には地方議員や商店街の役員をしている人もいて、自治体の状況や町おこしの話などPTAで知り合わなければ縁のなかった話も聞けました。
PTA役員をしていると学校に行く機会が増えるため、ついでに子どもの様子を見られます。コロナ禍では運動会も中止になるなど、親が学校に行く回数が本当に少なく、学校行事として子どもの様子が見られるのは年に数回程度でした。
PTA業務で小学校に行くときは子どもたちも素の状態。授業参観の”よそゆきモード”と異なり、ふだんの自然な様子を見られます。休み時間や給食の時間の様子はPTA活動のときでしか見られないため、特権です♪
PTA活動では先生方とのやりとりも増える分、話しやすくなります。運営会議で学校運営について話を聞いたり、親の立場から気になったことを伝えたり。筆者はコロナ禍における遠足などの行事について、校長先生に直接話を聞けました。
またPTA業務で学校へ行く回数が多い分、子どものことをちょっと相談したいときもハードルが下がります。先生も顔を覚えてくれ、何かと気にかけてもらえますよ。
***
PTA役員に関する事柄について、筆者の体験談とともに解説しました。昨今はPTAの必要性やあり方について是非も問われていますが、入学と同時に加入しどこかのタイミングで役員を担当するケースが主流です。
運営方法や役員の内容は学校により本当に差がありますが、無理のないよう活動できるといいですね。業務内容や免除についてなど心配なことがあったら、1人で悩まず学校や先輩ママパパに相談してみてください。
ライター Ayako.O
学校ではしっかり者、家では甘えんぼな姉と、最近料理に目覚めつつある弟、2人の小学生を持つママです。子どもたちの成長はうれしい反面、小学生ならではの悩みも新たに生まれて、まだまだ子育てに模索する毎日です。
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