山や海でのレジャーが楽しい夏。コロナ禍のため今夏は外出自粛がまだまだ続きそうとはいえ、ふだんより屋外での時間が過ごすことが多くなりますよね。しかし毎夏、屋外で子どもが事故に遭うニュースを目にします。子どもが安心して遊ぶために、親はどのような点に気をつけておくべきなのでしょうか。
夏に起こる屋外での事故について、子どもの事故防止に取り組んでいるNPO法人Safe Kids Japan理事の大野美喜子さんに詳しくお話をうかがいました。あらかじめ親が夏の事故について知識を深めておけば、悲しい事故を減らせそうです。
ー今年はあまり遠出はせず、近所の公園で遊ぶ人も多そうです。夏の公園で遊ぶとき、熱中症のほかにも注意すべき点はありますか?
夏は公園の遊具がとても熱くなっています。それに気付かずそのまま滑り台などで遊ばせると、子どもがやけどしてしまうことも。特に夏は薄着になるため、熱くなった遊具に直接肌が触れると危険です。
子どもと公園に行くと、つい「遊んでおいで」と油断しちゃいますよね。日差しが強い日などは、まず親が遊具の温度を確かめてから遊ばせてあげてください。
ー最近流行の背負うタイプの水鉄砲はどうでしょうか?
最近は水鉄砲にもさまざまなバリエーションがあり、パーツを細かく分解できるタイプもあります。パーツが分解できるタイプは、小さなパーツがポロッと取れて気付かぬうちに下の子が口にしてしまい、誤飲する可能性があるため、くれぐれも注意してください。
また背負って使う水鉄砲は、あくまで水遊びのときのみ身に付けるよう心得ておきましょう。水鉄砲を背負ったままほかの遊びを始めてしまうと、フード付きの洋服と同じように、誤って背負い紐をどこかに引っかけて、思わぬ窒息事故につながるおそれがあります。
―花火も夏の楽しみの一つですよね。 花火は手に持った時のやけどはもちろんですが、注意したいのは、花火が不発だった時なんです。噴き出すタイプの花火を子どもがのぞき込んだ途端に発火し、やけどしてしまうという事故が、報告されているので注意してください。
花火に火がつかなくても、絶対にのぞきこまないよう、あらかじめ子どもにしっかり伝えましょう。また花火が終わりバケツの水に浸けたら、確実に火が消えていることを確認するのも大切ですね。
―海や川で子どもが溺れて亡くなる悲しい事故が、毎年夏に報道されます。防ぐ方法はありますか?
溺水のきっかけは、苔(こけ)で足がすべって体が水につかったなど、ささいなことです。ところが、たとえ子どもが浅瀬で遊んでいても、体全体がじゃぼんと水に浸かると、一気に水圧が高くなり、流されてしまいます。子どもは体が小さいので、水圧の影響を受けやすく、流されやすいんです。
それからもう一つのきっかけとして、サンダルや帽子、ボールなどが川に流され、取りに行こうとして自分自身が流されてしまうケースが多くあります。子どもには、サンダルや帽子などが流れてしまっても、絶対に拾いに行かないよう伝えておきましょう。
キャンプやBBQで川に行った時など、大人が準備している間に子どもを川で遊ばせることもありますよね。「目の届く範囲にいるから大丈夫」と思いがちですが、これは大変危険なこと。
【子どもの室内事故増えています】「わが子は大丈夫」は絶対禁物!10人に1人以上が救急搬送されている実態が!! でも紹介した通り、「子どもは一瞬の隙に静かに溺れます。その時にすぐに駆け付けられないと、命にかかわります。
子どもが水遊びしている時は、必ず大人の「手」が届く範囲で子どもを遊ばせておくべきです。
―浮き輪を使うことも多いですが、選ぶポイントはありますか?
小さい子ども向けに、足を入れる浮き輪や首で支える浮き輪があります。これらはインターネット上でもかわいらしい画像が多く、パッと見て楽しそうなため、小さな子どもを持つ親に人気です。
しかしこれらの浮き輪は、何かのはずみでひっくり返ると起き上がれず、そのまま子どもが溺れてしまうおそれがあります。小さい子ども向けの浮き輪による死亡事故も過去に起こっているため、危険であることを親がしっかり認識しなければならないアイテムといえるでしょう。
―脱げにくいサンダルを履くことも大切なんですね。
そうですね。子どもに安全な靴のチェック方法を以下に挙げましたので、確認してみてください。
子どもが安全に遊べるよう、正しい靴の履き方を教えてあげましょう。
―Safe Kids Japanではライフジャケットの啓蒙活動もされていますね。
ライフジャケットは日本でも少しずつ普及してきていると思いますが、欧米諸国では「身に付けていないことはあり得ない」ほどに定着しています。日本はライフジャケットに対する意識がかなり低く、一部の海や川でレンタルされているのを見かける程度です。 しかし海や川に行くことがわかっているなら、必ずライフジャケットを持って行くことが大原則です。
ライフジャケットは使用頻度が低く、サイズもあるので、子どもの人数分となると安い買い物ではありません。重要であると知っていても、つい後回しにする人もいるでしょう。しかしライフジャケットは子どもの命に替えられません。
―ライフジャケットはどんなものを選んだらいいのでしょうか?
ライフジャケットを選ぶ際は、子どもの体格に合ったサイズで、股の部分に紐があるタイプを選ぶと安心です。股に紐がないと、水の中で浮かんだ時に脱げてしまうおそれがあります。
国土交通省認定の安全基準を満たしたライフジャケットには、「桜マーク」が付いています。インターネット通販でライフジャケットを購入する際は、桜マークのあるものを選びましょう。
―危険性が喚起され続けていながらも、車に子どもを放置する事故がなくなりませんね。
子どもを車に残しておいてしまい、熱中症で亡くなる事故はまだありますね。子どもが車で寝ていたりすると、「せっかく寝ているから」「ちょっとだけだから」と考えがちですが、その「ちょっと」が本当にちょっとになるか、わかりません。「◯分以内なら大丈夫」と線引きもできません。
車内に子どもを1人で残すことは、自分たちが考えている以上に相当危険なことと認識する必要があります。
最近の海外車には、子どもの放置を防ぐ装置が付いているものもあります。子どもが後ろに乗ったまま運転席から下りた場合、アラームで警告してくれます。子どもの放置による死亡事故を防ぐため、放置防止のアラームが日本車にも広く普及していくことが望まれます。
ー日本では日常的にママが一人で複数の子を見ている場合も多く、危険と知っていても仕方なくやってしまいがちというのはありますよね。
そうですね。いわゆる「ワンオペ育児」がまかり通ってしまっている日本の子育て環境の悪さというのも、放置事故がなくならない一因かもしれません。親ばかりを責めるのではなく、社会全体で子どもを見守ることで事故を減らしていくことも大切ですね。
―昨年に続いてコロナ禍で夏を迎えますが、気をつけておきたい事故はありますか?
子どもが屋外で遊ぶ時は、マスクを外しておきましょう。新型コロナウイルスは子どもで重症化することはまれで、3歳~6歳の子どもにとっては、マスクによる熱中症の方が、新型コロナウイルスよりもリスクがあると言えます。
―アルコールの手指消毒はどうでしょうか?
コロナ対策で最近はスーパーやデパートの店頭にアルコール噴射器が設置されています。ちょうど3歳~6歳の子どもにとって目線の高さにあるため、目に入る事故が報告されています。 また海外ではアルコール液を飲み込んで救急搬送された事例があります。小さい子どもがいる家庭は、アルコールの誤飲に気をつけてください。
***
子ども達にとって待ちに待った夏。屋外でレジャーを楽しむ機会も増え、なにごともなければ、楽しい夏の思い出になる一方、ほんの一瞬のきっかけで事故につながることも。事故は起こってからでは遅いので、前もってきちんと理解を深めておきたいですね。
NPO法人 Safe Kids Japan 理事 大野 美喜子
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センターに所属し、AIを用いた傷害予防教育プログラムの研究などに携わっています。2歳・7歳の2人のお子さんのママ。
ライター Ayako.O
学校ではしっかり者、家では甘えんぼな姉と、最近料理に目覚めつつある弟、2人の小学生を持つママです。子どもたちの成長はうれしい反面、小学生ならではの悩みも新たに生まれて、まだまだ子育てに模索する毎日です。
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