小学校入学を意識する年齢になると、親が気になるのはいわゆる読み書き、計算などの「おべんきょう」。
どこまでできるようにしておくべき?と迷ったり、
周りのできるお友達と比べて焦ってしまったり、
教えようとしてもまったく興味を示さない子どもにイライラしてしまったり。
親が一生懸命になっても、一筋縄ではいかないのが幼児のおべんきょう。
どうしたらいいの?と悩んでいるママやパパの声も編集部に届きます。
まずは、親がどんなスタンスで幼児期のべんきょうをサポートすべきなのか、Youtube動画で実践的な子育て情報を発信している、家庭教育アドバイザーのTERUさんにお話を伺いました。
私の考えでは、小学校入学までに読み書きでは、「ひらがなが読める」「ひらがなが書ける」このふたつができればいいと思っています。
幼児期は、生きていくために必要な点数化できない力=非認知能力を伸ばすことが大切で、読み書きのような認知的な能力はそんなにやらなくてもいいという話も聞こえてきますよね。
でも、入学後、読み書きができなくて子ども自身が「自分は学校で少し遅れてしまっているな」と感じることは、自己肯定感を下げることにもつながるんです。それは、非認知能力の伸びを妨げることにもつながりかねない。
自己肯定感が下がってしまうと、学ぶ意欲や学校が楽しいという気持ちもしぼんでしまうかもしれません。だからこそ、授業が分かるくらいには身についているほうがいいですよね。
でも、文章までスラスラ書けるレベルまでは必要はないと思っています。字形や書き順もこだわり過ぎなくていい。ひらがなの読み書きさえできれば、1年生の授業についていくことができます。
ひらがなが読める・書ける。それが私の日ごろからの幼児期のひらがな学習の基本発信です。
やる気がありそうなときを狙って集中して教えるようにしていますが…
まずは、たとえ子どもに興味があったとしてもやらせ過ぎないことが大切です。極端に言うと、私は「1日5分」でいいと思っています。
どうしても勉強となると、読めるようになる、書けるようになるという「目的ありき」になってしまい、ついつい親はやらせ過ぎてしまうんです。
子どもが「まだやりたい!」と思っているくらいで終わらせるのがコツ。「もっとやりたかったのに~」で終わらせると、次も楽しくできます。
3歳、4歳、5歳と年齢が上がるにつれ、集中力も文字への興味も上がってきますが、親から見て、「まだ、続けてできそうだな」でこらえてストップしましょう。ここは本当に親のこらえどころです。
最初興味があって長く続けられたとしても、どんなに好きなことでも、飽きはやってきます。
親は、遊びに飽きてしまうのは、「そんなものよね」と思えるのですが、勉強になると、途端に受け止められず「なんでできないの?」と問題に感じて責めてしまいがちなんですよね。
幼児期の勉強で一番大切なことは、「好きになること」。飽きさせてはいけません。
だからこそやらせ過ぎない。腹八分目にとどめる。まずはそれを無しに勉強を考えないでください。
特に子どもがひらがなを書いているところを見ていると、親としては気になること、口を出したくなることがたくさん出てくると思います。
親はそこもグッとこらえて、子どもが挑戦したことに対して声かけすることが大切です。
書き順が違っていた、形のバランスが悪い、余計な線があった、途中で絵を書いていた…。これらは絶対に指摘すべきところではありません。
まだ幼児なんですから、書いたこと自体がすごいこと。その「書けたという過程」をほめてあげてください。
勉強への誘いかたなど、やる気を引き出す方法が知りたいです
"親が先に始めてしまう"というのは、比較的効果的な誘い方です。
親が1人でひらがな表を読んでみたり、ひらがなを書いてみたり…。「なんか、ママ遊んでる?」と子どもはつい気になってやりたくなります。
それで誘ってみて、食いつかなかったらやらなくていいと思います。
やる気の上がり下がりが大きいのが幼児。やる気が無くてどうしようもないときは「明日やろうね」でいいんです。
とくにひらがなの読みに関しては、最悪子どもが興味を持たなくてもいいと、私は思っています。
なぜなら、耳からのインプットで、十分意味があるからです。
「さあ、ひらがなを勉強しよう」と向き合わなくても、遊びながらあいうえおの50音が耳から入ってくるだけでも効果的なんです。
絵本の読み聞かせでも、一文字一文字を追いながら、「読むことに向き合わせなきゃいけない」と思うと、お話も楽しくなくなり、親子ともに苦しくなってしまいます。
子どもはそんなに集中力はありません。その場にいて、耳から聞いているだけで意味があるので、興味がなさそうなときは、親も「このタイミングではないんだな」と割り切ってしまうのがよいでしょう。
そして、教えているとき、子どもが取り組んでいるときに、親がニコニコと笑顔でいること。これ以上に重要なことはありません。
子どもからみたら、ひらがなは、ブロックや積み木など、遊びの延長上です。
子どもが遊んでいるときに一番気にしているのは、近くにいる親の顔。親が険しい顔をしてたり、「はぁ」などとため息交じりでいたりすると、子どもはそれを敏感に察知して、暗い気持ちになってしまいます。勉強することが楽しくなくなってしまうのです。
親が笑顔でいることは、子どものモチベーションを上げるにはとても大事なことです。これを忘れないでいてください。
幼児期は、これからの長い学びの種まき期。子どもが勉強が嫌になってしまうようなことは絶対に避けたいですね。
ぜひ、それぞれの親子のペースで無理なく取り組んでみてください。
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku
ライター 赤司 陽子
大学卒業後、製薬会社での勤務を経て、大手教育関連企業に転職。約10年間幼児教育・小学生教育事業に携わる。その後夫の海外赴任に随行し、アメリカで出産・育児を経験。多様な価値観に触れる。帰国後、フリーのプランナー・エディター・ライターとして活動中。現在、5歳女子・3歳男子の年子育児に奮闘中。
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小学生になるまでに読み書きはどのくらい教えておくべきでしょうか?