子どもは砂場遊びが大好き。夢中になって遊んでいる姿はほほえましいですよね。
でも、そんな子どもの横で大人は何をしたらいいのか…「どうしても手持ち無沙汰になってしまう」というママやパパもいるようです。実際、編集部には「長時間子どもの砂遊びに付き合うのは辛い」という声も。
そんな時にはどうしたらいいのか、同志社女子大学の笠間浩幸先生に砂場遊びでの大人の関わり方や、おすすめの遊びをお聞きしました。
親が「子どもとちゃんと遊ばないといけない」と考えていると、しんどくなることがありますよね。
そんなときは"大人自身が遊ぶこと"です。砂は大人にとっても十分楽しめる素材です。ちょっとした砂のアートに挑戦してみてはいかがでしょうか。
実際に私が行った、父親を対象にしたワークショップでは、大人だけで本当に楽しんで熱中している姿が印象的でした。
親が子どもの前で大きいものを作ったり、あえて失敗してしまう姿を見せたりするのも良いと思います。
それを見た子どもは大人をまねて遊んだり、教えてもらいたくて来たりします。そうすることで、親子のコミュニケーションも活発になりますね。
そして、一緒に遊ぶときは、ぜひ子どもの表情をよく見てみてください。
「何が楽しいのか」「今していることにどんな意味があるのか」そんなことを考えるだけで、子どもを見守る目はガラリと変わります。
「こんな風に思って、こんな風に作るんだ」と、型抜き一個一個に対する子どもの想いをくんで、子どもの思いや感じ方に寄り添ってあげてください。
子どもが試行錯誤を重ねるプロセスで、"できなかったことができるようになった"という変化も見ていけるといいですね。
また、声をかける時には「よくできたね」だけではなく、「これはどうやったの?」「今は何をしているの?」と問いかけて、子どもなりの解説を聞いてみましょう。
そのとき言葉が少なかったら、代弁してあげることで子どもの語彙力も高まっていきます。
砂遊びは道具でぐっと楽しくなります。
砂遊び専用の道具でなくても、家にあるものや、ホームセンターで売っているもので大丈夫です。一見、砂場の道具とは思えないようなものでも、砂場では大活躍しますのでとっても面白いですよ。
例えば、大きな作品を作るための型抜きには、プラスチック製の植木鉢の底を抜いたものや、塩ビ管などが使えます。
植木鉢の底を抜くときには、底の周りを5㎜程度残しておきましょう。そうすることで、上に乗って力を入れて固めても割れにくくなります。
▲こちらは100円ショップのミニゴミ箱の底を抜いたものを使用。
また、砂山をスパっと切って壁を作るのには、かまぼこ板や牛乳パックを開いたものを砂の包丁代わりにも使えます。
▲牛乳パックを開いたものが「砂の包丁」に。垂直な壁面がスパッときれいに作れる。
また、左官屋さんが壁を塗るときに使うコテも、壁を作ったり、型で抜いた後に彫刻をするのに便利です。
▲コテはホームセンターなどで300円程度から手に入る。
階段の段々のステップを作るには、牛乳パックの底やバケツの底を押し付けることでうまくできます。
▲牛乳パックの底を一段一段ギュッと押していくことで階段ができる。
▲さらに、階段を作ったあと、側面を砂の包丁でスパッと垂直に切ると「手すり付き階段」に!
持っている道具には色々な使い方があって、それを使ってどう遊ぶか、ここにも想像力が生かされていきます。新たな道具が加わることで子どもの視点も変わり、砂遊びがもっと楽しくなっていきます。
きれいな型抜きを作るためには、まずは砂を容器にいっぱいまで入れたらドンドンと叩いて、しっかりと容器の中に押し込みます。 そして素早くひっくり返した後は、型抜きの底を丁寧にコンコンと叩いて、振動で内面と砂の面をきれいにはがしてあげると、きれいな型抜きができます。
この一連の作業を子どもとするときには、「『きれいに落ちてね』と唱えながら丁寧にやろうね」と伝えるといいですね。
何事も、思いを込めて集中してできるようになることはとても大切です。それが身につくと、紙を折る、のりを付ける、字を書くといった作業も丁寧にできるようになっていきます。
そして、砂場で何かを作るとき、高さを作ること、陰影を作ることを取り入れるとぐんと楽しくなり、子どもも興味を持ちます。
高い塔を作ったら、そこに階段を付けたり、線を入れて模様を付けたりしてみましょう。
砂山を、牛乳パックやかまぼこ板の砂の包丁を使ってまっすぐ垂直に切り出して壁を作るのもおすすめです。スパッと切ることで高低差がはっきりと見えるので、子どもは惹きつけられます。
バケツなどで抜いた塔を2段、3段と上に重ねていくのも面白いですよ。どこまで重ねられるか挑戦してみるのも良いですね。ちなみに私の最高は7段です(笑)
このようにできそうにないことができると、もっと楽しくなりますね。
▲笠間先生が子どもたちと作ったサンドアート。ワニの部分は「手」だけで作ったそう。写真提供/笠間浩幸先生
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砂場では、こんなものまで?といった道具が立派なアートのお供になるんですね。どんな物が道具としてどう使えるのか?子どもと一緒に考えるのも、砂場遊びの醍醐味になりそうです。100円ショップに親子で使えそうなものを一緒に探しに行くのも楽しそうですね。
今度の休日は親子で砂場で遊びに出かけてみませんか?
同志社女子大学 現代社会学部 現代こども学科教授 笠間 浩幸
専門は幼児教育学。子どもの成長・発達に関わる環境作り、中でも「砂遊びと子ども」に特化し30年以上研究している。「釧路市こども遊学館」(北海道釧路市)の屋内砂場をはじめ、全国各地で砂場作りの企画・監修に携わる。砂場遊びのワークショップも全国で開催している。