このコロナ禍で密を避けて楽しめるレジャーとしてもいま人気のキャンプ。家族全員で楽しめる趣味としても人気が高いですよね。
でも大自然の中でふだんとは違う生活をするため、おやこともにさまざまなことに注意を払う必要があります。その中でもとくに避けたい「迷子」を防ぐコツを、公益社団法人日本キャンプ協会のキャンプディレクター1級・髙橋宏斗さんにお話を伺いました。
子どもを連れてキャンプに行く場合、とくに気をつけたいのが、迷子です。2019年に山梨県の道志村で女の子が行方不明になってしまったのも記憶に新しいですよね。
子どもは興味を持ったら一直線!キャンプ中は大自然に囲まれて目新しいことばかりなので、ちょっと目を離したすきに周囲を探検に行ってしまいがちです。
大人は子どもから絶対に目を離さないことが望ましいですが、テントの設営や食事の準備に追われたり、きょうだいをお世話したりと、どうしても目を離す瞬間ができてしまうことも…。まずは勝手に遠くに行かないよう、子どもに積極的に声をかけることが重要です。
また、子どもが離れたところに行ってしまってもすぐに見つけられるよう、蛍光色などふだんより派手な服を着せると効果的です。暗くなったときのために、100円ショップなどでも売っている、手首につける光るリングもいいでしょう。
迷彩柄の服は大人っぽくておしゃれですが、キャンプのときはNG。自然の景色に溶け込んでしまい、子どもを見つけられなくなるリスクが高まります。また黒い服も子どもを見つけにくくなるうえ、スズメバチに狙われやすくなるため、避けた方が無難です。
キャンプ中に子どもが思わぬ事故に遭わないよう、子連れキャンプではいつも以上に子どもをしっかり見守ることが重要です。できる限り子どもから目を離さないよう、大人たちがしっかり体制を整える必要があります。
子どもたちの性格にもよりますが、可能なら子ども1人に対し大人も1人はいた方が望ましいといえるでしょう。
なかなかむずかしい場合は、大人同士で見守りを分担し、あらかじめ「誰が誰を見る」と決めておくといいでしょう。ふだんの生活でも大人1人だけで子どもを2人、3人と見るのは大変なのですから、キャンプ中ならなおさら無理があります。
キャンプではトイレがきちんと完備されていないこともあります。大人だけならそれもまた醍醐味ともいえますが、子連れでのキャンプなら話は別。トイレ事情も気にしておくといいでしょう。
トイレの近くにキャンプを設営すると、夜間のトイレにも対応しやすくなります。大自然の夜は、街灯がなく予想以上に真っ暗!トイレまで距離があると、行き帰りに子どもを見失う可能性が高まります。もしも暗闇の中で子どもが迷子になってしまっては一大事です!
夜間子どもの手をつなぎ、スマホのライトを片手に歩くのは、転倒などのリスクに対応できないので危険。ヘッドライトや首からかけるライトなど、明かりを確保した上で両手があく装備がおすすめです。
ほかにも水場が近い所を選ぶなど、子連れキャンプでは確保できる便利さは確保しておくのがおすすめ。ふだんの生活では得られない不便さを楽しみつつ、子どもの安全のために便利さも確保しておきましょう。
危険なこともたくさんありますが、キャンプは子どもの「生きる力」を育みます。いつもと違う外でごはんを食べたり、テントと寝袋で寝るなど、非日常を味わえるとともに、自然や環境への意識が芽生えるきっかけになるんです。
私たち日本キャンプ協会が主催したキャンプに参加した子どもの親に話を聞いてみると、
「子どもが水の出しっぱなしに気をつけるようになった」
「節約意識が芽生えた」
「虫が平気になった」
など、日常の中に些細な変化が生まれたという子どもも。汚いトイレでも使う、夜は真っ暗で何も見えないなど、日常にない不便さを体験できることがキャンプの魅力といえます。
また近年は自然災害によって停電や断水などライフラインが使えなくなることも増えていて、不便な避難生活を送る可能性は誰にでも起こりえますよね。
衣食住をリュックの中に詰め込むキャンプは避難生活とも似ています。不便を体験しておくことでこうした不便にも対応できる力を、多少なりとも身につけられるのではないでしょうか。
子どもを連れてのキャンプは、気をつけなければいけないことはたくさんありますが、危ないとすべてNGにするのでなく、子どもと一緒に体験を共有して楽しむことがポイントです。子どもにとっても、いい学びのチャンスとなりますよ。
***
日本キャンプ協会では、安全に関するさまざまな資料を公開しています。キャンプ初心者はもちろん、慣れている人にも非常に役立つ情報が満載です!キャンプに行く前に一度目を通しておくことをおすすめします。
公益社団法人日本キャンプ協会「安全なキャンプのために~7事故事例に学ぶ~part7」
関連記事【子連れキャンプの注意点】BBQで一酸化炭素中毒になることも!?チェックしておきたい「キャンプ中の事故」について
公益社団法人日本キャンプ協会 1級キャンプディレクター 髙橋宏斗
大学院で野外活動の効果について学んだのち、 キャンプの普及と振興に関する啓発活動を行う日本キャンプ協会へ。1級キャンプディレクターを取得し、現在は事務局で啓発活動や指導者の育成に関わっています。
ライター Ayako.O
学校ではしっかり者、家では甘えんぼな姉と、最近料理に目覚めつつある弟、2人の小学生を持つママです。子どもたちの成長はうれしい反面、小学生ならではの悩みも新たに生まれて、まだまだ子育てに模索する毎日です。
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