迷子、車の閉じ込め、公園に置き去り…いざというとき自分で身を守れるように。わが子に教えておきたい「サバイバル術」

迷子、車の閉じ込め、公園に置き去り…いざというとき自分で身を守れるように。わが子に教えておきたい「サバイバル術」
気をつけていても、ちょっとした油断や隙、大人のミスによって起こってしまう子どもの事件や事故。そんなとき、子ども自身が対処できる方法はないのでしょうか?NPO法人日本こどもの安全教育総合研究所理事長の宮田美恵子さんに、「子どもができるサバイバル術」を伺いました。
目次

家庭で、保育園や幼稚園で、屋外で…。子どもが巻き込まれてしまう事件や事故を100%防ぐことは難しいのが実情です。万が一、子どもが巻き込まれた時、対処法を教えておくことで、防げる命があります。 そんな子どもの「サバイバル術」について、NPO法人日本こどもの安全教育総合研究所理事長の宮田美恵子さんにお話を伺いました。

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車に閉じ込められたら子どもに何ができる?

先日、保育園のバスに幼児が置き去りにされ、熱中症で死亡するという痛ましい事故が起きました。車に閉じ込められた場合、子どもにできることはあるのでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

先日のバスの閉じ込め事故は、本当にあってはならない悲しい事故が起きてしまいました。
本来は園側の管理体制の問題ですが、園バスやマイカーなどに子どもが置き去りにされてしまった場合を想定して、日頃から子どもに対処法を教えておくのは有効でしょう。

まず、できれば避けたいのが「大声で叫ぶこと」。閉じ込められた子どもはパニックになるので「泣くな・騒ぐな」というのは難しいですが、体力を消耗するので、もし車内が暑い状態であればすぐにぐったりしてしまい危険。なるべく冷静に対処できるように教えておきたいですね。

ではどうすればいいかというと「音を出すこと」です。
運転席のクラクションを押すことがもっとも気づいてもらいやすい手段ですが、防犯ブザーを持っていればそれを鳴らしたり、ブザーや車の中にある固いもので窓ガラスを叩いたりして外の人に気づいてもらえるようにすることを教えましょう。

ただ幼児は実際にやってみたことでないと、とっさの時にはできません。「ここを押すんだよ」と言われても、スマホのボタンのようにそっと押せばいいのか、それともグーで叩くのか…やってみないとわかりませんよね。

とくに普段は「してはいけないこと」とされているクラクションを押すのは躊躇してしまうので、練習が必要です。「閉じ込められたら、気づいてもらえるまで諦めないでクラクションを押していいんだよ」と伝え、実際に押してみることを大人と一緒に練習しておきましょう。

車内に取り残された子どもを見つけたら

一方で、自分が閉じ込めの目撃者になる場合もあります。 たとえばスーパーなどの駐車場で、車内に子どもが一人でいるのを見かけた場合、駐車場の警備員や管理者などに声がけをしてください。周囲の人への周知が、子どもの命を救います。

エレベーターに閉じ込められたら?

身近なところの事故では、エレベーターでの閉じ込めも気になります

おやこのくふう編集部 編集部

自宅マンションなど慣れた場所の場合、「ちょっと先に行ってて」などと一人でエレベーターに乗せてしまうことはありがちな状況ですよね。

閉じ込められたときには、「まず非常ボタンを押すこと」を教えましょう。非常ボタンの場所は普段乗るときに繰り返しおやこで確認しておきたいですが、高い場所にあって届かない、ということもあります。

加えて「全部のボタンを押してみること」も伝えましょう。反応してドアが開く場合もあります。
ただ、エレベーターは個室なので、そもそも子どもが一人で乗ることのリスクが高い場所。他人と密室になってしまい、いざという時に逃げ場がないのは怖いことです。事故が起きるという以前に一人で乗せないようにしたいですね。

迷子になったら?

一人にしないように親が注意していても、子どもは興味のあるものについ行ってしまいがちです。少し目を離した隙にいなくなって迷子になってしまうこともよくあります

おやこのくふう編集部 編集部

迷子への対策は、年齢によっても異なります。
5~6歳だと自分の名前を言うなどして周囲の人とコミュニケーションをとることができますから、お店の人などに助けを求める方法を練習しましょう。

3歳くらいだとまだそれは難しいので、困ったときに見せる「たすけてカード」(困っていることや親の連絡先などを書いたカード)のようなものを身につけさせるのも方法の一つです。

助けを求める相手も重要です。外で迷子になった場合には、「道を歩いている人よりもお店の人」に親とはぐれてしまったことを伝えられるようにしておきましょう。商店やコンビニなど働いている人に頼る方が安全度は高いと言えます。

警視庁HPより

もうひとつの方法として「こども110番の家」を頼る方法があります。 地域で呼び方が違う場合もありますが、子どもが身の危険を感じた時に駆け込めて、子どもを保護して警察に通報してくれる場所です。

家の外に貼ってあるステッカーが目印になりますが、この場所を使える子どもは本当に少数です。「誰が住んでいるかわからない」と躊躇してしまうことも多いので、できれば近所の「110番の家」に子どもを連れて挨拶に行ってみてください。

お互いに顔を知れば安心感が高まり、子どもがいざという時に助けを求められやすくなります。

公園に置いていかれたら?

迷子と似たような状況で、園のお散歩で出かけた公園で置き去りにされてしまう、なんてこともあるようです

おやこのくふう編集部 編集部

保育園や幼稚園の先生は、帰る際に当然点呼を取るものと思いますが、それでもヒューマンエラーは起きてしまうものです。公園の物陰にいたら気づかれずに置いていかれちゃった…ということもあり得なくはありません。

そんなときに子どもはどうしたらいいのかというと、「その場に留まること」です。
公園を出て歩き回ると交通事故の恐れがあるので危険ですし、体力を消耗してしまうのもよくありません。園の方も一人足りない状況に気づくでしょうし、探しに来るはずです。

そこにいれば必ず迎えが来るということを普段から家庭で言い聞かせ、その場にとどまるように教えましょう。そのうえで公園で子どもを遊ばせているママさんなど第三者に、置いて行かれたことを伝えられるようになると安心です。

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就学前の子どもは、まだ親や先生と一緒に行動することが多いですが、ちょっとした隙にピンチに陥ってしまうことも。そんなときのために、おやこでサバイバル方法を学んでおくと安心ですね。

『うちの子、安全だいじょうぶ? 新しい防犯教育』(新読書社)
発行:新読書社
定価:単行本(ソフトカバー)1,650円(税込)

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お話を伺った方

NPO法人日本こどもの安全教育総合研究所理事長 宮田美恵子

安全教育学などを専門とし、大学での講義のほか児童・生徒のための安全体験学習プログラムの推進などの生涯学習活動支援にも尽力する。近著に『うちの子、安全だいじょうぶ? 新しい防犯教育』(新読書社)。新聞やテレビ・ラジオ等でも安全教育などについて解説。

日本こどもの安全教育総合研究所

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執筆者

ライター 松永あつこ

目が合うと即座に変顔をしてくれる5歳と、ごはんは口に運んでもらう主義の3歳の女の子のママ。主に育児・教育系メディアの編集&ライターをしています。趣味はファミキャン!将来の夢は家族でオーロラを見に行くことです。

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