家庭教育アドバイザーのTERUさん解説のもと、子どものやる気を引き出す方法について学ぶシリーズ第1弾。 今回は子どものやる気に対する考え方と、子どものやる気をそいでしまう親のNG行動を紹介します。知らず知らずのうちに子どものやる気をそいでいないかチェックしてみましょう。
子どもの「やる気」ほど子育てにおいて重要なものはありません。子育てが上手くいかないときの原因の多くに子ども自身のやる気が関わっています。子どもが何でも一生懸命にモチベーション高く取り組んでくれたら…全ての親が望むことですが、実際には難しいもの。
このシリーズでは、少しでも子どもの成長と子育ての助けになるように、子どものやる気を引き出す方法を紹介します。すぐに実践できるテクニックと長期的な方法があるので、場面に合わせて取り入れてみてください。
子どもの行動を見ていると「もっとやる気を出してほしい」と思ってしまいます
目の前の子どもをやる気にさせようと思うと、つい口うるさく言ってしまったりしがちですよね。 しかし残念ながら、親が子どものやる気を引き出そうと思う熱が強いほど子どものやる気が低いケースが多いです。
そもそも子どものやる気に短期的な結果を求めてはいけません。本当に大切なのは、子どもが自らやりたいことを見つけ、誰にも依存することなく子どもの内側からやる気が芽生えることです。
子どもが勉強しない、練習しないといったことは、結局は子ども本人の責任です。そこに親が介入しすぎないことで、子どもは学校で怒られる、レギュラーから外されるといった経験をします。そして、そういった経験のどこかで心が動くタイミングがやってきます。
何かのきっかけで「いい大学に行きたい!」「もっとうまくなりたい!」のように自発的にやる気になるのです。ですから、子どものやる気を引き出したいのであれば親は長期的な目線を持って余計な介入をしすぎないことが大切です。
それから、子どもにかけていた時間や労力を自分が一生懸命何かに取り組むために使ってみてください。
親が自分の趣味や仕事に没頭し、やる気を持ってキラキラしている姿を見せると、子どもは何かを感じとるはずです。「頑張るってかっこいいな」「大人ってすごい」と親が頑張っていること自体が子どものモチベーションにつながるかもしれません。やる気は言葉で出すものではなく、姿で感じさせるものだと私は思います。
よく東大生は幼少期に親から「勉強しなさい」と言われなかったといいますが、それは勉強していたから言う必要がなかったのではなく、親がそう言わなかったことで自分のきっかけで勉強へのモチベーションが生まれたのではないかと思っています。親が口にする余計な言葉で、あるはずのきっかけが埋もれて見えなくなってしまうものなんです。
子どものやる気を引き出すためには、親が普段の行動を振り返って、子どものやる気を下げる言動を減らしていきましょう。親がついやってしまいがちな5つのNG行動を紹介します。
子どもはそもそもやる気満々な生き物です。 ですから、やる気を引き出すよりも“やる気を邪魔しない”ことの方が重要です。
例えば子どもが「ご飯を自分でよそいたい」と言ったとします。でも親から見てまだ早いと感じて「まだ早いわよ」と親が代わりにやってしまうと、その瞬間に子どものやる気は下がってしまうのです。 これを繰り返すと、年齢が上がってから「ご飯の準備してくれる?」と言っても「やりたくない」と言われてしまう可能性が高くなります。それまでに何度もやる気をくじかれてきたからです。
子どもが「やりたい!」と言ったらやらせてあげる。 これがやる気のある子を育てる一番の秘訣です。子どもの能力があるから挑戦させるのではなく、子どもの興味があるから挑戦させるのだと肝に銘じておきましょう。
大人にも同じことがいえますが、日頃の生活や勉強、仕事でも、やらないときにガミガミ言われ、ちゃんとやっているときに無関心でいられると「何それ?」と思うものです。
子どもはそれを大人以上に感じています。子どもがやらないときに叱ったり声をかけたりした場合には、それ以上にちゃんとやったときを逃さず声をかけてあげるようにしてください。
特に分かりやすいのは勉強です。 子どもが解いた問題に丸付けをするときには、必ず正解に丸を付け、不正解にはバツを付けないようにしてください。
たとえ子どもがほとんどの問題を正解していたとしても、バツが付いていると視覚的にバツが飛び込んでくるので、マイナスな印象が強くなってしまいます。その結果子どものモチベーションが下がってしまうのです。
これは丸付けだけに限りません。例えば子どもがスポーツの練習をしていたとします。そのとき「もっとこうした方がいいよ」「今のはこうだったからこうしよう」などとアドバイスをすると、子どもは「今のはここが悪いよ」「ここができていないよ」とバツを付けられているように感じてしまうのです。
アドバイスをするのであれば「今のはここがよかったね、あとここに気をつければもっとよくなるよ」とよかったところと合わせて伝えてあげましょう。
子どもが頑張ったことやいい結果を報告してきたときに、疑うように「本当に?」「そんなわけないでしょ」と反射的に言ってしまっていませんか? ひと言目にネガティブな言葉をかけてしまうと、その時点で子どものやる気はそがれてしまいます。
その後、事実確認をしてから「あら本当ね!すごいじゃない!」などと言っても時すでに遅しです。子どもが「次も頑張ろう」と思えなくなってしまいますから、ひと言目には十分注意してほしいと思います。
子どもが勉強しているときにテレビがついていたり、親がだらだらしたりしているとやる気は出ませんよね。そのほか、目に付くところにお菓子やゲームなどの気になるものがあると興味が移ってしまいます。
目に付く範囲の気が散りそうなものは排除し、家族も子どもと同じ空気感で集中して何かに取り組んでいる環境を作ると、自然とやる気が出てくるものです。
大人が結果ばかりに注目していると、子どもは成功することが自分の価値だと思い込んでしまいます。そうすると子どもは「成功できないかも」と思うことには挑戦しません。その姿がやる気がないように見えてしまうのです。
そうならないために、日頃から結果よりも過程に対して声をかけるように意識してください。 「よくできたね!」よりも「最後までよく頑張ったね!」、「100点とってすごいね!」よりも「やったね!毎日一生懸命勉強してたもんね!」という言葉を多く伝えていきましょう。
さらに、今まさに勉強やスポーツに取り組んでいる子どもに「頑張ってるね!」「集中しててすごいね!」と声をかけてあげると、子どもは「過程を見てくれている」と感じ、モチベーションにつながっていきますよ。
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普段の生活で親が注意したい行動や言葉、子どものやる気に対する考え方について紹介しました。このようなNG行動を減らし子どものやる気につながる「きっかけ」を逃さないことが大切です。
次の記事では、子どものやる気を引き出すために親が意識したいことを紹介します。
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku
ライター 西方 香澄
徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。
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