カルシウムとは、からだの機能の維持や調節に欠かせないミネラルのひとつです。
カルシウムの働きは骨や歯を作るほか、神経伝達や筋肉の運動機能にも関与しています。
また、血液中のカルシウム濃度は常に一定に保たれていて、残った分は骨や歯に蓄えられています。血液のカルシウム濃度が低下すると、蓄えられたカルシウムが血液中に送られる仕組みになっています。
つまり骨や歯はカルシウムの貯蔵庫。 カルシウムがたりないと、その貯蔵庫からどんどんカルシウムが使われ、骨や歯の成長を遅らせたり、弱いものになってしまうというのはそうした理由から。
さらにカルシウムは体内で作ることができないため、食べ物で摂取する必要があります。つまり、カルシウムを毎日こまめに摂ることで、骨や歯にカルシウムがしっかり貯蔵され、丈夫な骨や歯を作ることができるのです。
また忘れてはならないのは、子どもが摂取すべきカルシウム量。子どもは大人に比べて骨や歯の成長が活発です。
厚生労働省が定める3歳〜5歳のカルシウムの目標摂取量は男女ともに550mg。成人男女(20歳〜39歳)の目標摂取量が600mgとさほどかわらない量が目標値になっています。
1日に必要なカロリーは成人女性のおよそ半分であるにも関わらず、カルシウム量はhoほとんど変わらないということからも、この時期は食生活において、意識してしっかりカルシウムを補給することが重要であることがわかります。
カルシウムの多い食材といえば、なんといっても牛乳。園で毎日200ml飲んでいるからだいじょうぶ!と思っている親御さんは多いかもしれませんね。確かに牛乳はカルシウム豊富な食材。でも200mlの牛乳には200mgのカルシウムしかなく、1日の必要摂取量の1/3強に留まります。
ですから、積極的にカルシウムを含む食材を摂取することが大切。牛乳以外と言われると困る…と思うかもしれませんが、ほかにもカルシウムを多く含む食材は身近にたくさんあります。
じつはカルシウム、決して吸収のよい栄養素ではない点が大きな特徴となります。たくさん食べてもすべてが吸収されるわけではないため、工夫してカルシウムを摂取することが、じょうぶな骨や歯のためには必要なのです。
カルシウムの血中濃度が下がると、貯蔵庫である骨や歯からカルシウムは失われていきます。ですから、「こまめに」摂取して体のなかでカルシウムを不足させないことが重要となります。
成長期は特に毎食カルシウムを意識して取り入れてみるのがいいでしょう。
豆腐は絹より木綿のほうがカルシウム量が豊富なので、ぜひ木綿をセレクトしてみて。 また、さばの水煮缶は骨まで柔らかく煮てあるため、骨ごと食べられてカルシウム補給にはもってこい。汁ごと入れて炊き込みご飯や味噌汁にすると、出汁いらずで美味しく仕上がります。
カルシウムの吸収率をあげるために活躍してくれるのがビタミンDとC。つまり、それらの食材をいっしょに「食べ合わせる」ことで、カルシウム摂取の効率がアップするというわけです。
ビタミンDは、カルシウムといっしょに摂ることで、腸からのカルシウム吸収を促進、血液に入ったカルシウムを骨まで運ぶ働きをしてくれます。ビタミンDを多く含む食品は、鮭、いわし、さんまなどの魚類や、しいたけなどのきのこ類、卵などがあります。
同様にビタミンCもカルシウムの吸収を促進してくれる栄養素。ビタミンCを多く含む食品はピーマン、ブロッコリーなどの野菜、いちごやキウイフルーツなどの果物に多く含まれています。
焼き魚(カルシウム)にレモン(ビタミン)を絞るというのも、カルシウムを摂取するためには、理にかなっているというわけです。
インスタント食品やスナック菓子にはカルシウムの吸収を阻害する「リン」が多く含まれているため、食べすぎるとせっかくカルシウムをとっても吸収されんなくなってしまいます。
ビタミンDは日光に当たると皮膚で作られます。また骨に運動負荷がかかると、骨の形成が促進されます。 そのため、じょうぶな骨をつくるためには1日30分程度は外で体を動かして遊んだり、散歩をするようにしましょう。
ただし紫外線の体の悪影響も考えられるので、強い陽ざしは避ける、帽子をかぶったりなどの対策はこころがけてください。
管理栄養士・料理研究家 尾花 友理
給食委託会社において産業給食、保育園給食などの献立作成及び給食管理、栄養相談などを経験。料理研究家のアシスタントを経て、大手レシピサイト運営会社にてレシピ開発や動画撮影に従事後、独立。管理栄養士としての豊富な知識とリアルな生活者の気持ちや暮らしに寄り添った、取り入れやすい栄養アドバイスやレシピに定評がある。
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