保育園や幼稚園での生活は小さなケガやお友だちとのトラブルがつきもの。そうはいっても大切なわが子がケガをしていた、手当の形跡がない、先生からの説明がなかったとなるとちょっと不安になることでしょう。
また、友だちとケンカをした、叩いた・叩かれたなどのトラブルについても子どもから話しを聞くと「なぜちゃんと見ていてくれなかったの?」「仲裁に入ってくれなかったのかな?」と少し心配になったりしますね。
こんなとき保護者として子どもへ、また、園へどのように対応したらよいのでしょうか。保育士ライターの炭本まみが対処法を解説します。
朝にはなかったキズやアザが子どもの体にあると心配になりますね。そんなときは子どもに聞いてみましょう。質問を繰り返したり何度も聞くことはせず、「ここ、痛かったね。どうしたの?」とゆっくり聞きます。
ママやパパが慌てたり心配そうに「どうしたの?何があったの?」と慌てると子どもも動揺したり事実を伝えにくくなったり、大げさに話すこともあります。 いたってゆっくりと聞くのがポイントです。
「転んだよ、お散歩で」「わかんないな。忘れた」などということもあるでしょう。 また、「友だちに押されたの」「●●ちゃんに噛まれた」「ケンカして転んでぶつけたの」など友だちとの関わりの中でできたケガの場合もあります。
そんな時には「痛かったね」「びっくりしたね」と子どもの気持ちをくんであげましょう。
その後、子どもがその続きを話してくれたらゆっくり聞き、教えてくれてありがとう、と伝えます。
親が動揺したり、驚きすぎたり、慰めすぎると、子どもは伝えにくくなったり、逆に心配をしてもらうことに愛情を感じ、今後は大げさに話してしまうことがあります。ゆったりとした時間にゆっくりと聞くように心がけましょう。
また、子どもに確認し、子どもが話したことを交えながら担任の先生に聞いてみると大げさにならず、聞くことができます。
お友だちとのトラブルや、その末のケガであったのに、園や担任から連絡がなかった場合は、お便り帳などで聞いても良いですし、しっかり先生にお話を聞きたいのであれば、時間を作っていただきたいと申し出てからお話しをするようにしましょう。
お迎えの時間や送りの時間などに先生に聞いてみたくても、その時間は保育中であり、子どもの受け入れやお返しで忙しい時間です。その上、帰宅している先生もいて大変手薄な状態。ゆっくり話を聞きたい場合は、日を置いて時間を作ってもらいましょう。
大切なわが子にケガやトラブルがあったのに、担任や園から連絡や報告がないと、大変残念な気持ちになるかもしれません。また、「この園に預けていて大丈夫かな?」「ちゃんと見てくれているのかな?」と不安な気持ちも湧いてくることでしょう。
「どうして見ていてくれなかったのか」
「事前に防ぐことはできなかったのか」
「なぜケガやトラブルに気づかなかったのか」
「どういう状況だったのかしっかり説明してほしい…」
「ケンカの相手の保護者に謝罪してほしい!」
保護者であればそんな気持ちになるのは当然です。
ケガやトラブルが起こることは子ども同士の集団生活では仕方がないとしても、せめて預けている以上は何があったのか、どうしてそうなったのか、園側にしっかりと聞いておきたいですね。
ですが、最初から感情的に言葉で責めたり、大声をあげるなど、感情に任せた話し方はおすすめできません。今後もその園に通い続けることになることがほとんどですから、先生方との信頼関係を壊すことはやめましょう。
クレームではなく、事実の確認や今後は気をつけてほしいと言う気持ちを伝えましょう。
ケガやトラブルについて話を聞く際には、今後このようなことがあった場合はどのような対応になるのかも聞いておけると良いですね。
そうすることで、担任の先生や園全体で、先生の配置や連携の仕方について見直し、事故やケガの防止に一層の注意を払うはずです。
園や先生は、一人ひとりの大切なお子さんの命を預かり、お預かりしたままの姿で無事に保護者の元へお返しすることが大前提であり、一番大切なことだと思って保育しています。
それでも多くの子どもを数名の先生で見ているため、ケガにつながるようなケンカの止めに入るのが間に合わなかったり、子どもが転んだりぶつけても泣いたりせずそのまま遊んでいれば気づかないこともあるのは事実。
先生たちは、決してケガやトラブルは集団生活だから仕方がないと思っているわけではありません。保護者と同じようにケガをした子どもに心を寄せ、責任を感じているはずです。
一緒に子育てをする者同士として、保護者も園の先生も歩み寄りながら解決・納得ができるように話せば、今後の信頼関係はさらに強くなり、良好な関係が保たれ、何より子どもが安心して通うことができるでしょう。
初めて大切なわが子を預けるだけでも心配でたまらないのに、ケガやケンカなどのトラブルを抱えて帰ってきたら本当に辛い気持ちになるでしょう。
実は筆者の次男も、もうすぐ運動会という季節に腕を骨折して帰宅したことがありました。年長クラスだったので相当痛いはずですが我慢して先生に伝えなかったようです。
腕が痛いと帰宅してから言うので、なぜ担任に言わなかったのか、担任も腕の動きを見ていればわかるはずなのに、なぜ気づかなかったのかと息子に伝えてしまいました。
幼稚園生活最後の運動会を目前にして、親としての楽しみと、子どもの痛みを考えると、どうしても園の責任を求めてしまう気持ちになってしまったのです。
その後、親の思い、園側の対応の不満について冷静に正直に伝えましたが、園側もしっかりとお詫びをしてくださり、今後の対応についても伺えました。結果的に、双方が納得でき、先生との絆も深まった気がします。
運動会は骨折しながらも先生に補助され、無事に終えることができました。今でもその写真を見返すことがありますが、やんちゃな息子らしい良い思い出となっています。
先生・保護者、両者の立場になったことのある筆者なので、双方の思いはよく理解しているつもりです。集団生活は小さなものから大きなものまで、ケガやトラブルがたくさんあるもの。それも親子で貴重な経験になったと思えるといいですね。
大切なわが子のことなので、大らかな気持ちでゆったり構えることは難しいことですが、カーッとなったらちょっとだけ深呼吸してみませんか。
トラブルを防いだり大ごとになる前に、親ができることはないのでしょうか?
中には、内気でなかなか先生に話しかけられない、ケガやトラブルがあってもあまり気にしない、すぐに忘れるなど、色々な子どもがいます。
子どもには「ケガとか叩いた・叩かれたようなケンカをしたときは、先生に言おうね」と伝えておきましょう。
また、何かあったときは先生に伝えるよう子どもに話してあることを先生にも伝えておきましょう。
そうすることで先生もこれまで以上に気に留め、子どもの話しに耳を傾けてくれるようになるはずです。
先生に話すのがむずかしい、けれど帰ってくると色々なことを保護者に話したり、不安な様子が見えたりする場合は、その点について担任の先生に伝えておくと、対応してくれるようになるはずです。
おやこで不安や心配をため込まず、こまめに担任に話したり、話す時間がない時はお手紙やお便り帳で伝えることも大切ですね。
***
子どもを園に預ける上で、ケガやトラブルの報告がなく親子で不安になることがあるかもしれません。心配や不安をそのままにせず、「こんなことがありました」と担任や園に伝えることで、保護者と保育士・園の双方が歩み寄り必ず子どもにとって良い結果につながります。
言いにくいかもしれませんが、先生や園も保護者の話しや気持ちを聞くことを望んでいるはずです。一緒に子育てをしている同士、ぜひさまざまなことを話し、強い信頼関係を築いていきたいですね。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。
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