5歳でマイナスの引き算ができるように!?いつもの外出がまるで課外授業!お出かけついでに"算数力"をアップさせる秘策

5歳でマイナスの引き算ができるように!?いつもの外出がまるで課外授業!お出かけついでに"算数力"をアップさせる秘策
公園で、駅で、コンビニで…子どもと一緒のお出かけ先には算数の勉強につながるものがたくさん!いつものお出かけがまるで"算数の課外授業"になるような子どもへの声かけ、接し方を算数教育の専門家が解説します。
目次

幼児から小学生向けの算数タブレット教材「RISU 算数」の開発者の今木智隆さんに「算数が苦手にならない子に育てるには?」というテーマでお話を伺う第三弾。

1回目は「子どもが好きなことと日常を紐づけるのが大切」ということを、2回目では家の中にあるものや遊びで算数に親しむヒントを教わりました。

そして今回は、家の外は算数の力をつけることにおいて可能性が無限大だというお話です。

"電車好き"は算数好きになるチャンス!

編集部:算数といえば座学のイメージが強いのですが、外に出ても学べることはたくさんあるのでしょうか。

今木智隆さん(以下今木):世の中には算数を学ぶヒントになるものがそこかしこにあるので、むしろ私はどんどん外に出て欲しいと思います。たとえば私の5歳の息子は電車が大好きなのでよく電車に乗りに出かけています。

電車が何分後に来るのか話したり、電車に乗って体感する速さで時速の存在を知ったりすることで数や時間感覚に親しむことができます。

ペーパー上で「次の電車まで2分」という時間感覚がわからなくても、実際に電車を目の前にして「次の電車2分でもう来たね」「次の電車が20分来ないのって2分より長いね」などと話しながら体験することで感覚をつかみやすいのです。

1~3歳くらいの小さい子なら車両の数や駅の階段を数えるだけで十分です。登りながら「1段、2段…」と必ず単位を一緒に言うようにしてください。

編集部:子どもは数えるのが好きですし、電車など興味のあるものならば楽しんで覚えそうですね。単位を言うことは、どんな意図があるんですか?

今木:単位は小学生でつまずきやすい単元のひとつですが、日頃からものには単位があるものとして生活すれば学習でも違和感なく覚えられます。「ものには単位がある」ということが肌感覚でわかればいいので、なにも単位の中身を掘り下げる必要はありません。

編集部:「そういうものだ」という前提で接するということですね。意外と子どもは親の言い方などを真似しますよね。「このお洋服90cmだから私はもう着られないね」とか。教えていないのに知っているのかと驚いたりします。

子どもの前ではキャッシュレス決済ではなく現金を使う

今木:子どもは親のことを本当によく見ていますよね。 その「子どもは大人をよく見ている」ということに関連する話で、私は普段はほぼキャッシュレス決済なのですが、子どもの前では必ず現金を使うようにしています。

お金のやり取りは「位(くらい)」の勉強に密接に関わっていますので、その機会を減らすのはもったいないことですから。

編集部:たしかに、子どもにとって現金を見る機会が減っているということはよく話題に上ります。子どもに使っているところを見せるだけで「位」の勉強になるということですか?

今木:もちろん見せるだけでも「小銭1枚しか出してないのに9枚おつりが来た」ことなんかは「なんで?」と記憶に残るでしょう。

未就学児でも数字さえ読めれば買い物も可能ですよ。ぜひ「好きなもの買ってごらんと」500円渡してみてください。自分の欲しいものを買ったらいくら残るのか、安いものだったらどれくらいの量が買えるのかなど、頭をフル回転して買い物をするはずです。それは非常に有意義な算数的学びの実践といえます。

編集部:親世代の子どもの頃と違い、消費税も複雑で難しそうですね。

今木:「500円で100円のものが5個買える」はずなのに実際は消費税が付くので買えない、ということもありますが、それも経験ですよね。 消費税とかも「そういうものだ」と教えてしまえば、理由はわからずとも次からは「100円だけど、消費税で110円必要だから5個買えない」ことが少し身についているはずです。

親子の登園時間は「算数クイズ時間」にしてみよう

今木:ほかに日々の生活で言うと、僕は毎日息子を自転車で保育園に送って行く10分、15分の間で「ひき算クイズ」を楽しんでいます。
息子は5歳ですが「27-39」などの答えがマイナスになる計算が自然とできるようになりました。

編集部:すごいですね!まずマイナスの概念がわかっている時点でほかの子と違うような…。

今木:いえいえ、最初はもちろんわかりません。マイナスとは…なんて説明しても子どもはわかりませんから、天気や気温の話をするときに「0より少ないのがマイナス」ということを会話の中に散りばめて土台を作ってあげればいいんです。

ひき算も最初は「5-4=1」「5-5=0」「5-6=-1」という感じで少しずつ難しくするとゲーム感覚で楽しんでやってくれます。

今木:1日15分程度って大した時間ではないかもしれませんが、毎日短時間ずつやる方が、一度に長時間やるより身に付きやすいというデータもあります。簡単なのでぜひ試してみてほしいです。

編集部:机に向かうより「登園の時間にパパとやったクイズ」として記憶に定着しやすいような気がします。やはり日常と算数を結びつけることが重要なのですね。

今木:そうですね。繰り返しになりますが、小学校に上がったときに算数が日常と紐付いておらず、紙の上だけで学ぶのはとても難しいことです。幼児期から日々の中で算数と遊び・興味を結び付けていくことで算数の土台作りをしていきましょう。

また、大人の興味のあることだけに子どもの興味を制限したり、「算数に関係ありそう」など先まわりしたりせずに選択肢を多く提示してあげれば、いくつかのものは算数につながっているものです。

***

算数が苦手にならないようにするには、わが子の興味と算数のつながりを見つけてあげること。そのためには数多くの選択肢を子どもの前に広げてあげることが大切なようです。

家でも外でも、まずはできることから。おやこで楽しみながらやってみてくださいね。

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お話を伺った方

RISU Japan株式会社 代表取締役 今木 智隆

京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。
デジタルマーケティング専⾨コンサルティングファームのビービットに⼊社、 ⾦融・消費財・⼩売流通領域のサービスに従事する。2012年より国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。
2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した幼児から小学生向け算数教材でのべ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。著書に『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』(文響社)。
RISU 算数 

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執筆者

ライター 松永あつこ

目が合うと即座に変顔をしてくれる5歳と、ごはんは口に運んでもらう主義の3歳の女の子のママ。主に育児・教育系メディアの編集&ライターをしています。趣味はファミキャン!将来の夢は家族でオーロラを見に行くことです。

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