小学校で行う「新体力テスト」の立ち幅跳び。陸上競技の「走り幅跳び」はオリンピックなどでもおなじみですが、助走なく跳ぶ「立ち幅跳び」は親も子もどうすれば記録が伸びるのかピンとこない人も多いのでは?
そこで、これまで述べ5万人以上のクライアントを指導してきた筋肉デザイナーの藤本陽平さんに、新体力テスト「立ち幅跳び」のコツを伝授してもらいました!
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新体力テストの立ち幅跳びは、1999年以前からある旧体力テストから継承された種目なので、やったことがあるというママ・パパも多いかもしれません。
まず踏み切り線に両足を軽く開いた状態で立ち、そのまま膝を曲げ、すぐに伸び上がって反動をつけ、両足で同時に踏み切って前方に跳びます。着地のあと、もっとも踏み切り線に近い位置(かかと)と、踏み切り線を結ぶ直線の距離を計測します。
バレーボールやバスケットボールなど「ジャンプ力」が問われるスポーツはたくさんありますが、助走しながら片足で跳び上がり、ボールを持つ方の腕だけを振り上げるものが大半です。
助走なしに両手を振り上げることで勢いをつけ、両足同時に踏み切る動きをする機会はほとんどないので、ぜひテストの前におやこで練習をしておきましょう。
立ち幅跳びで求められるのは、跳躍力(ちょうやくりょく)です。これは足で地面を蹴って走ったり、全身を使ってボールなどの物に力を伝えるのにも必要な力で、瞬発力が必要なほとんどのスポーツで使う力です。 立ち幅跳びは、「垂直跳び」のようにまっすぐ上に跳ぶだけでなく、遠くに飛ぶことも求められます。この力を発揮できることをよく「パワーがある」と言います。
パワーとは、「力×スピード」のことを指し、それぞれを最大限発揮することがスポーツの記録を伸ばします。立ち幅跳びは、このパワーを測るのに最適なテストといっていいでしょう。
立ち幅跳びのコツは大きく2つあります。
1つ目が「腕の振り」。小さな子どもは跳ぶことにばかり集中しがちで、腕を振らずに跳び出してしまうことが多いのですが、両腕をしっかり後ろまで振って勢いをつけることが大切です。
もう1つのコツは跳ぶ前の「屈み方」。膝だけ曲げて跳ぼうとしても力が発揮されないので、跳ぶ前にスクワットのように股関節と膝を曲げて屈み、充分に力を蓄える必要があります。
地面に踏み込む力を利用して、ロケットが発射されるときのようなイメージで跳びましょう。下半身の力を効率的に上半身に連動させタイミングよく跳ぶことが大切です。
立ち幅跳びの高く遠くに跳ぶために重要なのが腕の振り。バレーボールやバスケットボールのように腕を前に振るスポーツが多いため、前にばかり意識がいき、なかなか後ろに大きく振れない子もいます。
最初は戸惑うかもしれませんが、大きくしっかり背中の方へ腕を振ることを意識してみてください。
立った状態で跳躍するときに大事になってくるのが、股関節にしっかりと力を蓄えて高く遠くに踏み切ることです。 屈み方が足りないと当然力が入りませんが、地面スレスレまで屈み込み過ぎても、立ち上がるまでに余計な力を消費してしまい、強く踏み切れません。理想は膝が90度になるくらいの屈み方です。次に紹介する練習方法で自然と身についてきます。
立ち幅跳びの練習は家の中でも簡単にできます。おやこで遊びながら、楽しく練習してみましょう。
まずは、子どもをイスの前に立たせます。
腕を後ろに振りながら、お尻を突き出すようにして2秒で屈ませ、イスの座面にお尻が触れたら、今度はスーッと一気に伸び上がり、まっすぐ上へ背伸びして、最後はバンザイのポーズ!
見守るパパやママは、腕を大きく後ろに振れているか、膝が90度以上に曲がり過ぎていないか、チェックしてあげましょう。
上に跳ぶ垂直跳びの練習は、跳び上がって指先がギリギリつくぐらいの高さに目標を設定するのが理想的。
ただ、ぴったりの高さを見つけるのは大変なので、パパやママがハンガーをその高さに持ち、「指先がここにつくかな? ジャンプしてごらん」と誘導する「ハンガータッチ」がオススメです。
一般的な垂直跳びと違うのは、両手で飛び上がる必要があること。ハンガーの幅を利用して「右端と左端、どっちも触れるかな」と両手タッチを促すのがポイントです。
最後は、ヨガマットやコルクマットなどを使って、実際に立ち幅跳びに挑戦してみましょう。実際のテストでは着地したときのかかとの位置で計測しますが、子どもの目線だと爪先の位置にマスキングテープなどでチェックをつけた方がわかりやすく、モチベーションが上がります。
競技の特性上、つい「少しでも遠くに跳んでみよう」と声をかけたくなりますが、そう言われると子どもはどうしても「低く」跳んでしまいがちです。「遠くを見て、フワーッと跳んでみよう」と言ってあげると、意識が上に向き、高く跳べるようになります。
ちなみに、いいジャンプは美しい放物線を描き、音も静かに着地します。前に突っ込むような形で跳び、「ドシン」「バタン」と音を立てて着地したときには「猫みたいに、フワーッと降りてごらん」とアドバイスしてあげてください。徐々に余計な力が抜けて、きれいに跳べるようになるはずです。
なお、どの練習も「1日10回」までにとどめてください。やり過ぎると、身体が疲れ、だんだんと手と足の動きがバラバラになり、連動のタイミングがずれてきます。ヨガマットでの練習で一番よかった記録をカレンダーに記しておけば、日々、上達していることが目で見てわかるので、「また明日もがんばろうね」と労って、その日の練習は終わりにしましょう。
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力とスピードの両方を求められる立ち幅跳びは、どんなスポーツにも必要とされる能力を伸ばす効果があります。テストの前だけでなく、日常的におやこで取り組んで、運動神経を鍛えましょう!
パーソナルトレーナー、筋肉デザイナー 藤本陽平
パーソナルトレーナー歴約25年、これまで延べ5万人以上を指導する。キッズアスリートへの指導経験も。現在は、東京都世田谷区(二子玉川)にて『股関節ストレッチスタジオNatural Movement』を運営。股関節に特化したパーソナルトレーニングの他、オンラインレッスンも幅広い世代から好評を得ている。
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ライター 福田チヅコ
主として大手通信教育会社にて未就学児や小学生向けの教材や告知物の編集・原稿執筆を担当。
その他、女性誌やWEBでインタビューや対談記事を手がけている。
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