コロナ禍で気になる幼児の運動不足…!目安は「1日60分」、楽しく体を動かすために親ができることは?

コロナ禍で気になる幼児の運動不足…!目安は「1日60分」、楽しく体を動かすために親ができることは?
現代の子どもたちは体を動かす機会が減っている…深刻な問題として危惧されている中に、2020年のコロナ禍。おうちで過ごす時間が長い毎日が定着したいま、幼児の運動不足が気になる親が増えています。子どもが生涯にわたって健康的な生活を送るための基盤となる幼児期の運動を親はどうサポートしていくべきか、「幼児期運動指針」(文部科学省)の内容を抜粋しながら紹介していきます。
目次

2020年、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、子どもとの外遊び事情も大きく変化しました。

休日の子どもがたくさん集まる公園に行きづらくなったり…
お友達を「一緒に公園で遊ぼう」と誘いづらくなったり…
夏場は、マスクを着けて体を動かすことも気になったり…

親子ともに外出を控えて、おうちですごす時間が増えましたよね。

親子でおうちで楽しむ時間もいいですが、気になるのは運動不足…
とくに「うちの子の運動、足りているかしら?」と気になるママ、パパは多いのではないでしょうか。

幼児は毎日合計60分以上、体を動かすことが大切

幼児期は、1日にどのくらい体を動かすことが必要なのでしょうか。

文部科学省の「幼児期運動指針」には「幼児は様々な遊びを中心に、毎日、合計60分以上、楽しく体を動かすことが大切」とあります。

幼児にとっての運動は、楽しく体を動かす遊びを中心に行うことが大切です。また、体を動かすことには、散歩や手伝いなど生活の中での様々な動きを含めます。これらの身体活動の合計が毎日60分以上になるようにすることが大切です。

引用:幼児期運動指針(文部科学省)

※幼児期運動指針とは、文部科学省が平成24年に専門家チーム・幼児期運動指針策定委員会と作成した幼児期(3歳~6歳)の運動のあり方についてまとめた指針。 保護者をはじめ、幼稚園、保育所などの保育者など、幼児に関わる人々が幼児期の運動をどのようにとらえ、どのように実施するとよいのかについてまとめられています。

毎日60分…多いと感じますか?それとも充分遊べている時間でしょうか。
幼稚園や保育園に登園している日なら、園での活動も含めてクリアしている日が多そう…と思うかもしれませんね。

しかし、文部科学省の調査(*1)では、4割を超える幼児の外遊びの時間が1日1時間未満だった、という結果が出ています。

一方で、同調査では、外遊びをする時間が長い幼児ほど体力評価が高いという傾向も出ています。

*1:「体力向上の基礎を培うための幼児期における実践活動の在り方に関する調査研究」(文部科学省・平成19年度~21年度実施)


外遊びをする時間が1時間未満の子と、3時間以上の子では、運動能力調査でA・B・C判定が出た子の割合に約14ポイントも差が見られます。

このような状況を踏まえ、多くの幼児が体を動かすことの実現可能な時間として、わかりやすい指標をということで設定されたのが「毎日、合計60分以上」体を動かすことが望ましいという目安です。

ちなみに、この「毎日、合計 60分以上」という目安は、世界保健機関(WHO)をはじめ多くの国々で推奨されている世界的なスタンダードだそう。

各国の「子どもの身体活動におけるガイドライン」概要

●イギリス「毎日60分以上の中強度以上の身体活動を行う、など(5~18歳)」(イギリス保健省2011)
●スペイン「週のうちすべて、またはほとんどの日に、60分以上の中強度以上の身体活動を行う、など(青少年)」(スペイン教育科学省、スペイン保健消費者省2006)
●中国「毎日60分以上の運動時間を確保(全国85%の児童・生徒・学生)(中華人民共和国教育部2006)
●シンガポール「週に5日以上、60分以上の中強度の身体活動を行う、など(0~18歳)」(シンガポール健康促進会議2011)
●オーストラリア「毎日60分以上(数時間まで)、中強度以上の身体活動を行う、など(5~12歳)」(オーストラリア保健・エイジング省2004)
●カナダ「毎日60分以上の中強度以上の身体活動を行う、など(5~11歳)」(カナダ運動生理学会2011)
●アメリカ「毎日60分以上の身体活動を行う、など(0~5歳)」(全米スポーツ・体育協会2009)

引用:幼児期運動指針(文部科学省)

多くの国が1日60分以上を基準に、中・強度の以上の運動を促していることがわかりますね。

また、幼児期運動指針では、「現代の幼児期における運動(体を楽しく動かす遊び)の現状と課題」として、次の4つが主な問題点としてあげられています。

  • 活発に体を動かす遊びが減っている
  • 体の操作が未熟な幼児が増えている
  • 自発的な運動の機会が減っている
  • 体を動かす機会が少なくなっている

  • 引用:幼児期運動指針(文部科学省)

これらの課題に加えて、コロナ禍で外出しづらくなったいま、ますます、体を動かす遊びの機会が失われてしまうことが心配ですね。

幼児期における運動の3つのポイント

ともすると、つい大人は「ランニングをさせる」「キャッチボールを」「鉄棒を」と小学校のような体育競技を思いついてしまうものですが…。

こちらの記事でも紹介しましたが、何よりも、幼児の運動で大切なのは「楽しく体を動かす遊びを中心に行うこと」

幼児期は体を動かすことを通して、生涯にわたって健康的に生きるためのベースを作ることが重要であり、そのためのポイントとして、以下の3つが挙げられています。

1.多様な動きが経験できるように様々な遊びを取り入れること

運動機能が急速に発達し、体の基本的な動きを身につけやすい幼児期は、特定のスポーツのみを続けるよりも、体を動かす遊びなどを通して多様な動きを十分経験しておくことが大切だといいます。基本的な動きとしては、

「体のバランスをとる動き」(立つ、座る、寝ころぶ、起きる、回る、転がる、渡る、ぶら下がるなど)
「体を移動する動き」(歩く、走る、はねる、跳ぶ、登る、下りる、這う、よける、すべるなど)
「用具などを操作する動き」(持つ、運ぶ、投げる、捕る、転がす、蹴る、積む、こぐ、掘る、押す、引くなど)

があります。

2.楽しく体を動かす時間を確保すること

多様な動きの獲得のためには、ある程度の時間を確保することが必要です。 先に紹介した「毎日、合計60分以上」を目安に体を動かすことが望ましく、保護者は子どもがこの時間を確保できるよう工夫することが必要です。

3.発達の特性に応じた遊びを提供すること

幼児に体を動かす遊びを提供するにあたっては、発達の特性に応じたものであることが大切です。体に過剰な負担のない発達にあった遊びを中心におこなうことで無理なくいろいろな動きを身につけることができますし、怪我を避けることにもつながります。

子どもが毎日合計60分以上楽しく体を動かせるために

幼児期運動指針には、幼児の保護者ができる工夫として以下が提案されています。

保護者の方に向けた提案

  • 多様な動きが含まれる遊びを取り入れましょう
  • 楽しく体を動かす時間をつくりましょう
  • 安全に楽しく遊ぶことができる環境をつくりましょう

  • 引用:幼児期運動指針(文部科学省)

「1日60分運動しなくちゃ!」と思うと、とくに園がお休みの日などは親にはプレッシャーを感じるかもしれませんが、子どもの遊びの中でいろいろな動きが含まれればOK!

構えすぎる必要はありません。広場や公園で子どもがやりたいことを、一緒に楽しんでみましょう。

また「さあ、今から運動の時間!」と決めて取り組む必要もありません。
1日60分には生活の中での様々な動きも含まれるので、朝やお風呂上りのひと時に、一緒に体操をしてみたり、好きな歌をかけて自由に踊ってみたり。
また、布団の上げ下ろし、買い物の荷物持ち、雑巾がけ…などのお手伝いにも自然に体を動かせるものがたくさんありますね。

「安全に楽しく遊ぶことができる環境」としては、子どもたちが遊び慣れた近所をうまく活用することがすすめられています。

遊具のある公園や広場のほか、坂道や階段など…
休日など「子どもをどこかに連れて行かなくちゃ」と親はつい難しくとらえがちですが、子どもが安心して楽しめる場所は、遠出しなくても身近にたくさんあるものです。

そのような近所の遊び場をより楽しむために、幼児運動指針には親子でつくる「遊び場マップ」も紹介されています。

遊びの意欲を喚起するために家族で遊び場マップをつくってみるのも有効です。 親子で遊んで帰った後に、簡単な地図に書き入れてみるだけで、また行ってみたいという気持ちが育つでしょう。「今度はあそこに行ったらあれで遊ぼう」というめあてももてるようになるでしょう。「かわいい花が咲いている」「こんなところにお地蔵さんが…」と、新しい発見を子どもと一緒に楽しむことが大切です。


引用:幼児期運動指針(文部科学省)

遊びマップ、外遊びを振り返りながら「ここにママが好きなお花があったね」「ここの坂道、のぼるの疲れたよねー。でもがんばってのぼったら風が気持ちよかったね」など、親子トークが盛り上がりそう!
「今度はここでこんなことをしてみたい」などと、子どもがやりたいことのアイデアも引き出せそうですね。

子どもと汗びっしょりになって思い切り体を動かす…そんな貴重な時間がもてる期間は意外と短いもの。
運動不足解消にと始めたことが、"今しかつくれない"大切な思い出にも。
一緒に、体を動かす気持ちよさ、爽快さを感じてみてはいかがでしょうか。



出典:幼児期運動指針(文部科学省)

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