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保育士が教える小学校入学までに身につけたいこと

【小1の壁の乗り越え方】じつは小学校で求められる「同時に二つの動作を行う」こと。今から始めてておきたい3つのポイント

【小1の壁の乗り越え方】じつは小学校で求められる「同時に二つの動作を行う」こと。今から始めてておきたい3つのポイント
保育士ライターの炭本まみさんが小学校入学までにできるようになっておきたいことを教えてくれる連載。今回は、”話を聞きながら移動する””黒板を見ながらノートをとる”など「同時に二つのことをこなしていく」ことについて。子どもが戸惑わないために、未就学の今から家庭でもできることを教えてもらいました。
目次

幼稚園や保育園では、担任の先生のほかに副担任やフォローするフリーの先生がさりげなく入り、活動が遅れがちな子どもや戸惑っている子どもへ声をかけてくれていたことでしょう。

小学校に入学するとしばらくはフォローの先生がいますが、徐々に担任の先生一人でクラス全体を見なければいけない日が増えてきます。

子どもへの声かけや促し、指導はクラス全体に向けて行われ、個々への声かけやフォローはなかなかありません。

そのため、先生の指示を聞き逃し、遅れをとったり、いま何をしなければならないかわからないまま戸惑う子どももいることでしょう。 周囲の友達や先生にすぐ質問したり、何となく周囲に合わせて動くことができればいいのですが、慣れるまでは難しいかもしれません。

入学に向けて、家庭でもできる意識の持ち方と関わり方をお伝えします。

小学校で求められる同時に二つの動作を行う場面って?

「二つの動作」とは具体的にどのようなことをいうのでしょうか。授業中とその他の場面で必要になることを考えてみましょう。

授業編

小学校の授業では、黒板を見ながらノートをとる「板書」をするようになります。 話を聞きながら黒板を見てノートをとるのは意外と大変なことなので、はじめはノートに書き写すとき、先生は黙って見守っていることが多いでしょう。

この動作が必要になるのは、1年生の後半ごろから。徐々にできるようになっておきたいですね。

また「生活」などの社会や理科のような科目では、植物を観察しながら立ったまま記録をする、絵を描くなど落ち着かない環境の中でも集中して記録することが求められます。

体育では縄跳びをしながら走る、ボールをドリブルしながら歩く・走るなど、二つの動作を取り入れた運動が多くなります。

幼稚園や保育園で経験したことのある動作であっても、それを二つ以上組み合わせ、スムーズにできることを前提としています。

生活編

小学校は授業が中心の生活になるので、自由に過ごす時間は極端に少なくなります。

次の授業の準備時間は10分、2時間目と3時間目の間にある中休みは15分程度、給食を食べる時間は20分程度、その後のお昼休みも20分程度しかありません。

その短時間で、授業の準備や移動教室、グランドや体育館へ移動したり着替えたりすることが求められます。

時間を意識しながら給食を食べたり、トイレを済ませる、着替える、移動する、次の教科の準備をするなど自発的にしなければなりません。

家庭でも意識できることは?

こうして書き出してみると、複雑な行動が求められる小学校生活に不安を抱く親御さんも多いでしょう。でも子どもは柔軟な心と体を持ち合わせているので、慣れてしまえば身についていくもの。心配はありません。

でもおうちでちょっとだけ意識して関わることで、子どもの意識もちょっとずつ変わっていきます。小学校生活のスタートがスムーズにできるよう、家庭での関わりのヒントをお伝えします。

1.時間の概念を意識した生活をしよう

「何時になったら〇〇しよう」、「あと30分後に出かけるよ」など時間を確認しながら行動できるような声かけをしていきましょう。

時計を見て時間を確認することが習慣づくと、学校生活での自発性・自立へとつながり、スムーズに生活できるようになるはずです。

2.年齢に合ったお手伝いをさせ、二つの指示を一度にしていく

おうちで簡単なお手伝いをさせるのも手。ほんの少しだけ難しいことをさせると張り切ってやってくれるはず!

例えば、洗面台を洗いタオルで拭きとる、慣れたら、使ったタオルは洗濯機に入れておく等複数のことをさせてみます。

学校での指示は一つひとつ確認をせず、一連の動作全てを伝えられることがほとんどなので、練習になりますね。

お料理のお手伝いも良いでしょう。レシピを考えたり、必要なものを買い物したり、手順を考えたりすることは一度に多くのことを想定し考えることになります。
お湯を沸かしながら野菜を切って準備をする、魚を焼きながらお味噌汁も作るなど、二つ以上の動作が必要になるので、楽しみながら効率的に考える習慣がつきそうです。

3.ドライブや旅行、一日の過ごし方などの計画を立てさせる

一日の計画を一緒に立ててみるのも時間感覚を養います。何時に起きて、何時にあそこへ到着して…など時間を考慮した行動計画を一緒に立て、多面的に物事を考えます。

さまざまなことを一度にしなければならない学校生活に、必ず役立つ考え方でしょう。

こんな時はどうする?とトラブルや想定外のことが起きたときのことも考えられるとより良いですね。

誰かに質問をする、忘れ物をしないように持ち物リストを作り確認する、前日に準備をしておくなど意識を持っておくことは大切です。

入学したら時間割を揃えながら鉛筆を削ったり宿題の確認をしたり、持ち物の準備をすることなど、家庭で行う「同時に複数のことを行う・考える」ことも増えていきます。

すべて親任せになっているかも!?子どもに準備の意識をさせたことがないかも!と感じたら、さっそくトライしてみましょう。

あれ?うちの子、ちょっと難しいかも?と思ったら

家庭ではコミュニケーションが上手く取れていて問題がないように感じても、参観日などで見ていると後れを取ったり先生に促されたりしているわが子…。ちょっと心配かもと思うかもしれません。

子どもの様子を観察し、指示が通りにくい、行動が遅れがち、関わる友達が少ない、一人遊びが多い、指示を聞いていても忘れている、みんなと同じ行動ができていなくても気にしていないなど、先生が問題に感じることがないか、参観日などで気になるわが子の姿がないか、チェックしておきましょう。

***

子どもの姿を見ていると、心配なことばかり…。そんなときでも焦らなくて大丈夫。入学すれば集団行動は自然と身についていくはずです。家庭で意識を持った関わりをすることで、入学後はスムーズなスタートを切れるかもしれません。

小学校生活に慣れていくのは大変ですが、入学前から少しずつ「同時に二つの動作を行う」ことの練習になるよう、家庭でも意識的に関わってみませんか。

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執筆者

炭本まみ

保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。

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