【小学校受験のリアル】世帯年収1000万以上が6割超え!いくらあれば挑戦できる?幼児教室や入学後の必要経費は?

【小学校受験のリアル】世帯年収1000万以上が6割超え!いくらあれば挑戦できる?幼児教室や入学後の必要経費は?
ここ数年の志願者増で注目されている小学校受験。教育環境が充実した私立小学校は魅力的なものの、経済的負担が大きいのも事実。子どもを私立小学校に通わせるために世帯年収はいくらくらい必要でしょうか?
目次

3人の子どもを子育て中の現役ママFP・北村由紀です。

秋になると各地の私立小学校の多くで来年度新入生の入学考査が行われ、年々志願者数は増加しているといいます。小学校から私立を選択する世帯は子育て家庭全体に占める割合はかなり低いものの、世帯年収がどのくらいあれば挑戦できるのか、入学後の学費の負担はどのくらいなのか、気になりますよね。データと共に解説します。

増加傾向の私立小学校受験組とその理由

子どもの成長において大切な時期に良い教育環境でのびのび過ごさせたいという思いで、私立小学校受験を検討しているご家庭もあるかと思います。

少子化で子ども1人当たりにかける教育費が高くなっていることもありますが、近年の新型コロナウイルス対応への公立校との大きな差が私立校への注目度を大きく上げた印象も。また、近年の中学受験の過熱化により、中学での私立受験を避けて小学校から付属校に入学させたいと考える保護者もいるようです。

そのような背景が影響し、年々、私立小学校志願者数は右肩上がりとなっています。

気になる保護者の経済力は?

前述のように、私立校進学を志願する家庭も増えてきたとはいえ、やはり気になるのはその学費ですよね。

文部科学省の調査によると、私立小学校の学習費総額も右肩上がりの傾向です。なんと10年で年間約20万円アップしています(※)。そんな教育費を捻出できる世帯収入がどれほどなのか、同調査の分布データをご紹介します。

※平成30年度「子供の学習費調査」(文部科学省)より

私立小学校に通う家庭の約65%が1,000万円以上

では、実際に私立小学校に通う家庭の世帯年収を見てみましょう。

文部科学省の調査によれば、子どもが私立小学校に通う世帯のうち約65%が世帯年収1,000万円以上であり、その中でも1,200万円以上の家庭が約半数を占めることがわかります。ここだけ見ると、子育て世帯の平均年収(※)をはるかに上回っています。

事実、小中公立校であれば、高校受験以降にかかる学費の「貯めどき」として小中の就学期間を考えることができますが、私立小学校の場合は、中学校、高校も系列校へ進学することが多いため、教育費の負担は小学校からずっと長期間続きます。
その継続的な私立校の教育費を支えるには、やはり年収1,200万円以上が必要なのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

※2021年国民生活基礎調査「各種世帯の所得等の状況」より

私立小学校受験に向けての教育費

いざ私立小学校を受験しよう!と決めたら、その準備にも結構な費用がかかります。
一般的に小学校受験には対策をするケースが多く、受験ノウハウを教えてくれる幼児教室や塾に通うケースが多いようです。

公的なデータはないため、筆者が調べた一例にはなりますが、その費用等をまとめてみました。

それぞれの項目を具体的に見ていきましょう。

塾や幼児教室

受験対策の塾や幼児教室は、各教室によってかなり幅があるのが実態ですが、小学校の年間の学習費と大差ないかそれ以上になることも。

とはいえ、この費用を削りにくい背景も。受験では学校によって学力の筆記試験だけではなく、絵画、運動、集団の中での他者との関わり方といった行動観察要素もあります。そのため家庭だけでは対策しきれず、幼児教室や塾といった集団の中で過ごす必要が出てくるわけです。

また、子どもだけでなく、親子での面接対策も必要です。月謝以外にもさまざまなオプションがある場合は、的を絞った対策にするなど工夫をしながらも、ある程度の金額を想定しておく方が良さそうです。

ちなみに筆者の子どもも小学校受験を経験しており、自宅から近い塾の国立コースに通っていました。少人数制で子どもと先生との相性も良く楽しかったようで、「お友だちと一緒に楽しく協力して取り組む」という感覚が、行動観察の評価にいきたように感じました。子どもにとっての"楽しい通塾"を大事に、本番につなげられるといいですね。

受験用の洋服・靴・鞄

試験日当日用に、フォーマルな服装を一式そろえると親子で結構な費用になります。併願の学校の傾向ごとに何着か揃えるという例も聞きますので、レンタルの利用も合わせて、ほかの出費とのバランスで工夫できるといいですね。

受験料・入学金

受験料も注意が必要です。複数校受験するとなるとかなりの額になります。

また入学金も忘れてはいけません。たとえば、第2志望校に合格して入学金納入期限内に第1志望校の結果が出ないといったケースでは、第2志望校の入学金を「保険」として納入しておくケースもあることでしょう。その場合、辞退したとしても入学金は戻ってきません。まとまった額の出費となるので、事前によく考えておくことが必要です。

年長1年間で小学校の平均1年分以上!?

ここまで、受験に必要な費用の目安をお伝えしてきましたが、私立小学校の学費は1年あたりの平均が約160万円なので、塾等で対策をしっかりする場合は、年長の1年間でそれ以上の費用がかかることを想定しておく必要がありそうです。

では、次に親子の努力が実り、入学が決まった後の教育費について見てみましょう。

公立校6年間と私立校1学年時の学費がほぼ同じ!?

ここからは、入学後、どのくらいの学習費が必要になるのか、文部科学省の調査結果をご紹介します。

私立小学校6年間で必要な費用

6年間総額は約960万円にもなります。もちろん1人あたりなので、兄弟姉妹もとなると、家計への影響はかなり大きくなります。

公立小学校は6年間総額で約190万なので、私立小学校1年生時の総額がいかに大きいか分かりますね。

さらに学費の内訳をみていきます。

学校教育費

学校教育費には、授業料だけでなく、寄付金、学用品、通学費、制服費なども含まれています。特に、初年度は入学金や寄付金、指定用品の購入費がかかるため6年間で一番高くなっています。

また、学年が上がるにつれ、授業の幅が広がり教科外活動費や遠足や見学費、修学旅行などの費用が高くなっており、年平均で公立校の4~5倍はかかるので、それだけ充実した内容であることがうかがえます。

学校教育費は学校によってさまざまです。年間の学習費等の納付額は各学校で公開されていることが多いので、ぜひ一度、志望校の公式ホームページで確認してみてはいかがでしょうか。

学校外活動費

つづいて、各家庭で子どもにかけている費用です。

学年が上がるにつれ、体験活動費や芸術文化活動費、いわゆる「習い事」などが減少し、家庭教師や学習塾の費用が格段に高くなっていきます。私立小学校から系列校へ進学するとしても、塾の内部進学コースや家庭教師をつける家庭は少なくないようです。
とはいえ、これは全国平均。学校外活動費については、お住まいの地域事情や家庭の教育方針によって変わってきます。

年収1,000万円はあくまで目安。"わが家の"ライフプラン検討を

紹介した費用はあくまで目安であり、当然ですが受験校や受験対策、各家庭の事情によっても、必要な世帯年収は大きく違います。約65%が1,000万円以上である半面、約26%が600万~1,000万円未満の世帯であることも事実です。

住居費が不要であるとか、親の援助を受けられる状況であるとか、共働きで継続的に教育費が工面できるなど、現状の年収だけでは一概に判断できないでしょう。

まずは早い段階で「"わが家の"未来へのライフプラン」を検討することをおすすめします。

大切なのは、志望校進学にかかる教育費を具体化していくだけでなく、新しい家族の誕生、マイホームや車の購入、旅行の計画など、家族のライフイベントを盛り込み、今後の収入と支出を考えながらこの機会にしっかり検討することです。

前述の「子供の学習費調査」を見てみると、教育費の収入に占める割合は多くの世帯で5~15%ほどです。その数字も参考に、無理のない家計で長期的にバランスがとれるのか、無謀かどうかは我が家のリアルなライフプランを見える化することで自然と明らかになるでしょう。

大きなお金が動く私立校進学です。そのスタート地点である小学校受験において、子どもの成長と家族の未来を楽しみに、わが子にあった学校選びを話し合える機会にできたらいいですね。

参考・出典:平成30年度子供の学習費調査(文部科学省)

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監修者

キッズ・マネー・ステーション

「見えないお金」が増えている現代社会の子どもたちに、物やお金の大切さを知り「自立する力」を持ってもらいたい、という想いで設立。 全国に約300名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2020年までに1500件以上の講座実績を持つ。http://www.1kinsenkyouiku.com/

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執筆者

キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャルプランナー 北村 由紀

小5・小3・年中の現役ママFPとして和歌山市で親子の学びを応援する教室を開催。「家族の未来にワクワクを」をモットーに、ママ向け、親子向けに家庭で楽しく生きるチカラを育む方法をお伝えしている。他に、行政講座講師、小学生新聞・WEBコラム執筆で活動中。

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