コロナ禍によって一時中止を余儀なくされる小学校が多かったプール授業。
2022年から再開する学校が増えてきた一方で、コロナを含むさまざまな問題から小学校のプール廃止を検討する学校も出てきています。
コロナ禍を経て大きく変わりつつある小学校の最新のプール事情を、授業内容や開始時期、必要なものなど、プール再開までに知っておきたい情報とあわせて解説していきます。
小学校で当たり前に行われていた水泳の授業。コロナ禍によってどう変わってきているのでしょうか?
2020年から2021年にかけて、新型コロナウイルス感染防止の観点からプールを中止にする学校が多くみられました。「わが子の学校も中止になった」という人も多いはず。更衣室で生徒同士が密になること、学年単位で行うため人数が多く感染対策が十分に取れない…などの理由が多いようです。
徐々に再開する学校も見られるものの、感染防止と教育活動の両立が難しいことから、いまだ中止が続く学校があるのが現状です。
コロナ禍でもいかに安全に配慮してプール授業ができるか?という議論が進む中で、問題となっているのはプール施設の老朽化問題。
改修にかかる億単位の費用や維持管理に必要な先生たちの負担、近年のゲリラ豪雨や猛暑でのプール中止の多さをふまえて、小学校のプール廃止を検討する動きも見られています。
廃止をした学校は座学中心にするところもあれば、民間のスポーツクラブなどを借りて学校外で水泳の授業を行う学校もあります。
プールを維持していくよりもはるかにコストが抑えられるのはもちろん、安全面の配慮や指導面でも先生たちの負担が軽減され、屋内で安定して授業ができると子どもたちへにとってもメリットが多く、学校外のプールへシフトする学校も出てきています。
プールが通常通り再開される学校も多い中で、知っておきたいのはプールが再開された場合どうなるのかということ。プール開きは地域の気候によって異なるものの、通常であれば梅雨が明けて気候・気温も安定してくる6月中旬頃から、プール納めは9月頃のケースが多いよう。
ただ、近年ではゲリラ豪雨や猛暑の熱中症対策としてプールが中止になることも増えてきていることから、コロナだけでなくその年の天候によっても左右されそうです。
水泳の授業はもともとは軍事目的からはじまり、江戸時代にはすでに泳ぎの練習場があったといわれていますが、1955年に多発した水泳の事故や水難事故でその重要性が見直され、プールの建設とともに小中学生の授業に本格的に導入されるようになりました。
海に囲まれている日本にとって、水泳は自らの命を守るための大事なカリキュラムのひとつ。水に触れて水に関する知識を得ること、水の中の運動を通じて体力や持久力を養うことは、水の事故を未然に防ぐための理論的な思考を育み、水の危険から身を護ることにつながっています。
気になる小学校の水泳の授業の内容では、高学年までに泳げるようになることを目標とした以下のような学習指導要領が定められています。
スイミングを習っている子もいたり、泳ぎのレベルは一人ひとり違うため習熟度別にグループ分けして行われることも多いです。
小学校1・2年生の授業は、水中で遊ぶ楽しさや心地よさを味わい、遊びを通じて水に慣れることを目的としています。まずは立ったままの状態で遊ぶ電車ごっこやリレー遊びなど。水に慣れてきたら水中じゃんけんや石ひろいで浮いたりもぐったりしながら、浮いて進む運動遊びにつなげていきます。
小学校3・4年生の授業では水に対する恐怖心をなくし、安心して泳げるようにすることが目的です。力を抜いて浮く、壁を蹴って一直線に進む、呼吸法やばた足やかえる足など初歩的な泳ぎの基礎を学びます。
小学校5・6年生の授業ではクロールと平泳ぎができることが目標に、いよいよ本格的な泳ぎの指導がスタートします。距離の目安は25~50m。手と足の動きに呼吸を合わせながら続けて長く泳ぐことができるように、それぞれの泳ぎのポイントをていねいに学んでいきます。
プールが中止されていたことから、持ち物などの準備ができていないという家庭も多いですよね。プール再開に向けて今から準備しておきたいものは以下の通りです。
日焼け止めやラッシュガードの使用可否は学校の方針によります。ラッシュガードもフードなしや着脱しやすいものなど、デザインに指定があることも多いので学校側に確認しておくと安心ですね。
プールの再開が楽しみな子もいれば、すでに憂鬱という子もいるはず。子どもがプールの授業に前向きにのぞめるよう、プールの楽しさや大切さを話してあげるといいかもしれません。そんな家族の会話にぴったりな小学校のプールの雑学を紹介します。
学校のプールの縦の長さは25メートルが一般的です。25mという中途半端な長さは、50mや100mで行われる水泳の公式競技を考慮しているから。 横幅と水深は学校によってさまざまですが、横幅は約12.5メートル前後、水深は約1.35メートル前後のところが多いようです。
上記の一般的なサイズの場合、「縦25メートル×横12.5メートル×水深1.35メートル=421,875立方メートル」の水が必要になります。1回あたりの水道代はなんと20~30万円とかなり高額なため、水の総入れ替えは2回程度で済ます学校が多いのだそう!
ママパパ世代は使ったことがある人も多い「目を洗う蛇口」。なんと「角膜を傷つける恐れがある」ことから今は使用を中止している学校がほとんどなんです。また、プール前に必須だった腰洗い槽での消毒も、殺菌効果が低いことから設置が必須ではなくなるなど、時代の変化とともにプールの常識も変わってきています。
プール授業を行う基準は「気温+水温」で判断されています。学校や学年ごとに基準は変わるものの、おおよその基準は水温+気温が45〜50度ほど。具体的な規定があるわけではありませんが、「気温+水温」の他にも天気やプールサイドの気温、学年や能力を考慮したうえで総合的に判断されています。
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令和に入って大きく変わっていく小学校のプールの授業。懐かしい風景が無くなってしまうのは少し寂しい気がしますが、子どもたちが安全で快適に使える環境が整っていくのは親としてもうれしいですよね。今年もプール開きに向けて購入品の品切れや品薄状態が予想されます。学校側からの情報をもとに、プールの準備は早めにしてくださいね。
ライター Ichika
山梨県生まれ。関西、九州での生活を経て11年ぶりに地元に戻りライター業をスタート。身内や友人に教育関係者が多く、たくさんのヒントを得ながら自分なりの育児を模索中。子育て経験をもとにした体験談やコラムも発信しています。
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